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キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
11話 「王様の言うことは絶対」は突き崩せるのか?
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呪われた王様と洞窟探検(クイズつき)

お読みいただきありがとうございます。

語り手の明日谷大和君、一人称は「俺」で、人前だと「僕」です。

前回はひどい話でした……


王様は何度も頭を下げている。ゴジラもシンから驚くマナテと美鈴の笑顔。カナセが住宅を壊すように歩いてきた。


「カナセ、無事だったの」

「うん、王様の見えないところでは兵士が頭を下げていたんだ。国王の儀式を終えてから、王様が一気におかしくなったって」


俺はやせ細った男の人に尋ねる。


「国王の儀式とは何ですか? あ、すみません、あなたのお名前を」


彼は頭を下げた。


「私は陛下がお生まれになってから仕えている、タケルと申します。陛下に潜むくすんだ煙を光で追い払ってほしいため、あなたたちを招きました。それがあの様、お許しください」


タケルは深々と頭を下げた。兵士らも頭を下げる。


「一つ聞いていいでしょうか、王様は女の子ですか?」

「いいえ、男です。男として大切なものが、くすんだ煙にとられたのです」


王様は両手で手を覆って、涙を流していた。


「陛下は先月、国王になられました。この地下で儀式を終えた後、晴天の空から紫色の雷が陛下の頭に当たり、性格が変わりました。『王様の命令は絶対!!』発言し、私たちは不自由な生活を強いられたのです。私の体は本来、痩せていません。『この国にある力はすべて俺が奪う』言われた後、最小限の行動しかできなくなったのです」


「すまない、タケル」


王様は声を絞り出すように言った。タケルは話を続ける。


「時折、陛下が優しいお姿に戻られます。お体を拝見したとき、あそこがなくなっていたのです。陛下は来月、隣国から同い年の姫と結ばれます」


政略結婚――姉が小声でつぶやいた。


「今、王様の周りに邪悪な影がうろついています。こいつを追い払わないと、民は疲弊し、私たちの生活にまで響いてしまい、国が滅びます。そこであなたたちの助けをお借りしたいと思いましたら、あいつに力を封じられてしまいました」


タケルは少し頭を下げた。静かな祈り声が聞こえて振り向くと、服を着た姫が祈りをささげなさる。


「この真下に力があります。重たい石にさえぎられ、出られないようです。重たい石はふたをしています」


ペンを取り、簡単な図をお書きなさった。


「儀式が行われた場所だ」

「王様、私たちをそこに連れて行ってもらえませんか」


愛良が尋ねると、王様は震えながらもうなずいた。


「みなさん、ついてきてください」


タケルの後に従い、俺たちは庭の地下にある洞窟へ向かった。彼がたいまつに火をともす。


「あれ、入れない」


由良に愛良が見えない壁に挟まれ、進めない。俺にカナセ、王様にタケルだけが入れた。


「この国の女子は巫女が多い。影にとって祈りをささげる巫女は邪魔でしかない。だから奴は対策をとったのか」


タケルが『途中で』立ち止まる女性陣を見る。


「大和にカナ君、タケルさんたちを支えるんだよ」

「どうしてカナセが入れるの?」


マナテが頬を少し膨らませ、見えない壁を叩く。


「普段の行いに決まっているだろ」

「後でお仕置き」


ヒッという声が響き渡った。


「お仕置きしないでよ、マナテ。優しいから」

「大和さ~んの前ではしませんよ」


マナテが微笑むと、カナセはむっとなって、俺の頬をつねった。


「お前、マナテにも手をかけるつもりか。豚国王のように」

「「「カナセ」」」


姉、妹、マナテの3人が声を合わせる。


「僕は豚とさげすまれて当たり前だ」


国王が力なく笑った。俺はカナセの背中を叩く。


「ほら、行こう」

「わ、わかった。たいまつを貸せ、僕が持ってやる」


たいまつを握るカナセ。あたりを警戒しながら大股で歩いている。


「早いです」


王様が「はあ、はあ」息を漏らしながら小幅で歩く。雪だるまを思い出す体つきだ。


「痩せればいいだけでしょ」


カナセが皮肉を述べると、


「カナセさん、当初国王はやせていました。国王の儀式を終えてから1日でこのような体型になられたのです」

「1日で? ありえない」


あたりからもやっとした影が王の周りをうろついている。


「カナセ、耳を貸して」

「はぁ?」

「いいから」


俺はちらりと後ろを見てうなずいた。カナセに適当なことを言った。内容はここじゃ言えない。あんたの後ろに影がいて、聞かれたら困るからだ。ごめんな、あんた。俺の発言にカナセは強くうなずく。


「僕は王のそばにいる。タケルさん、王の前を歩いてもらえないでしょうか」

「いいですけれど」


俺は王様の後ろに回り、紫色の影と進む方向に何度も目を配った。


「いて、なんだこれ……クイズだ。王様、答えを頼む」

「これは確か……問題が変わっている!」


問題:小人を大王に変えよ。

例:e-i=三

では e+i=?


<以下、クイズを解く、答えは後日>


「や、やるじゃないか、大和」

「王様や僕らの命もかかっているからね、頭が必死に働くんだよ」

「その心持で須田愛良に告白しろよ」


カナセが一歩踏み出した。


「愛良ちゃんは今、か、関係ないだろ」

「関係ある。マナテがいつも寝言で言っているんだ。大和さん、そこをいじっちゃだめとか。お前がはっきりしないから、マナテまでお前を好きになっている。僕は本当にわからない。どうしてマナテや愛良、由良がお前みたいなやつを好きなのか。マナテが都合のいい女になるような気がして、僕は嫌だ。お前に言っても仕方ないか」


マナテが……あの時『大和さんは大好きです』言ったのは『建前』でないのか。


「カナセ君は好きな人、いるのかい?」


タケルさんが尋ねる。


「い、いないよ。僕が好きな人物はきちんと叱ってくれながらも、引っ張ってくれる人だ。後、かわいくて僕をいじってくれて……い、今のは関係ない」


関係ない、関係ない……言葉が響き渡る。


「好きな人がいるのはいいことだ」


王様が何度もつばを飲みながら言った。


「余はあったこともない女と結婚だ。相手も同じ。余の顔を見たら蔑むだろう。心底嫌だと感じるだろう」


通路がますます暗くなる。


「余は生まれてから自由を味わったことなどない。気づいたらパーティーにお稽古、勉強の毎日だ。民を見ていると、時々うらやましくなる。王は王で辛い。明日の生活を一番に考える民がうらやましい」


カツーン、カツーン……音だけが響く。


「コ、コウモリとかいないんだね、この洞窟」

「モンスター一匹すらいない『聖なる』環境です」


俺は別の話題を切り出した。紫色の影が王様の体に入り込みそうな雰囲気だった。


「あれが墓か」


カナセが指をさす。


「墓前にある像で国王引継ぎの儀式を行います」


手を握れと像が言い、思わず握る。


「何をやっているんだ、大和。お前が握っても王様になれないぞ」

「悪い、カナセ。何か知らないけれど、思わず握りたくなったんだ」


「くはは、ひざまずけ、王様の命令は絶対!!」

お読みいただきありがとうございます。

またひどい話になりそうです。

王様の弱さは広い目を見ると誰を表すのでしょう。


次の話>> を踏んで、続きをお楽しみください。

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