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キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
10話 大和君と二人でデートごっこ(語り:愛良ちゃん)
43/55

お化け屋敷を脱出し、デート再開だ。え、また

おはようございます、語りは須田愛良ちゃんです。一人称はすべて「私」です。

では、ごゆるりとお楽しみください。

「愛良ちゃん」


目の前が明るくなり、景色も元に戻る。目の前に大和君、後ろにはお化け屋敷。


「よかった、無事で」


大和君が何度も深く息をはいた。目から涙をこぼしている。


「大和君、君はどこにいたの?」

「わからない、気づいたらここにいた」


大和君は目を左に動かし、姉を見る。


「ふう、怖かった。大和君も無事でよかったよ。いきなり消えたから」

「ご、ごめん。僕も本当に何が何だかわからないんだ」


大和君はきょろきょろ目を動かす。あの時持っていた小さな鏡はない。消えたというべきか。

わんわん、にゃふ~。犬と猫の鳴き声に回りの人も振り向く。猫と犬の先に英子が立っていた。


「やっと見つかった。愛良、大和、それに由良さん。この子たちを探してくれてありがとうございます」


英子が頭を下げる。大和君は大きく瞬きを行い、姉は犬と猫に近づく。


「この子たちの名前は?」

「犬がロロナで猫がナツリ」


ナツリが私に抱き着く。ロロナは姉の頬をぺろぺろなめっている。大和君はただ立って見ていた。


「大和」


英子が大和君の前に立つ。


「小野田、どうしてそれを!」

「……わかった? 帰るよ、ロロナ、ナツリ」


ナツリが私から離れ、ロロナも飛んで、英子を追いかける。


「大和君」

「な、何でもないんだ、愛良ちゃん。ありがとう」


大和君は頭を下げた。彼の体は震えている。姉がじいっと見て、私と大和君の手を握らせた。もう片方の手に、姉は大和君と手を握る。


「ここここ、これは」

「お姉ちゃん!」

「ほらほら、姉妹に囲まれていい気分だろ、大和君」

「由良」


大和君がまた姉を呼び捨てた。大和君の体が真っ赤に染まる……そういえば鏡で見た少女、大和君が女の子になったらあんな感じになるのかな。気のせいだよね。


「よし、ご飯を食べに行こう。その前に、もう一度あのお化け屋敷へ入ってみる?」


姉がお化け屋敷を指さす。私は首を横に振った。しかし大和君はうなずいた。


「二人とも、お化け屋敷に入ったの?」

「すごかったんだよ、別の意味で怖かった。それに、ここが現実かどうか」

「現実だよ、由良……さん」


大和君が首を横に振り、姉に頭を下げる。


「大和君、わ、私、怖いの苦手だよ。だから」

「その割に、あそこで愛良は冷静だったじゃん」

「それはお姉ちゃんがいるからだよ」


にや~っと姉が微笑む。


「じゃあ、三人で行こう、愛良、怖かったら大和君にしがみつきなさい。私もしがみつくから」

「お姉ちゃんはだめ!」


は、しまった。姉がニタニタ勝ち誇った顔を浮かべる。


「あ、あの」


大和君が姉に言う。


「入るのですか?」

「もちろん、ね、愛良」


姉の狙いが読める。私のためにお化け屋敷へ連れていくのだろう。覚悟を決めるか。


「うん」


その後、お化け屋敷に入った、何も語りたくない。私はギャーキャー叫びっぱなしだった。さっきの怖さとは全く違う。こっちはいつどこで何が出てくるかわからないけれど、死なない。しかしあっちは怖さよりも生きるか死ぬかが先にあった。


「はあ、すっきりしたあ」


大和君は背筋を伸ばし、風呂上りとは違う気持ちよい表情を浮かべる。私はまだ、大和君の腕にしがみついている。、


「じゃあ、次は愛良の言うことを聞いてあげる」


姉が笑顔で言った。私は笑みがこぼれた。姉が最も嫌いな乗り物を選ぶ。


「ジェットコースターで」

お読みいただき、ありがとうございます。10話はここで終わりです。

クイズの答えについては「おまけ」として裏話を載せます。

愛良も大和も語りません。誰が語るのでしょうか?


次回もお読みいただく場合、ツイッターをフォローしていただけると助かります。更新したら情報を載せますので。

ツイッター : https://twitter.com/megabi0

(あるいはツイッターで @megabi0 と検索)



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