大和が好意を抱く女の子
語り手は明日谷大和君、変身をする前の一人称は「俺」で、人前だと「僕」に代わります。
ではきらめく世界をお楽しみください。本日もお読みいただき、ありがとうございます。あなたに良きできごとが起こりますよう、心からお祈りします。
由良は「また用事があったら呼ぶからね」といって、強引に俺を地球へ戻した。朝になっていた。初めて徹夜した。疲れはまったくない。頭が冴えているせいか、疑問が浮かんだ。
1 なぜ俺は変身でき、女の子になっていた
2 由良って何者、実在する
俺は朝食を食べず、自転車に乗って雪丘中学校に向かった。学校は自転車通学を許可している。ただしヘルメット着用かつ、ステッカーを貼らなければならない。
学校についた。俺のクラスは2年3組だ。自分の席に座り、カバンを机の横に引っ掛ける。
「よう、大和」
小学校からの友達である風間広が声をかけた。ぼさぼさな髪の毛、頬にニキビがあり、鼻は丸っこく、少し太っている。
「おはよう、広」
「お前、今日はやけにぴんぴんしているな」
あのイチゴを食べたせいだろう。
「なあ、広、お前に聞きたいことがある」
「なんだ」
「俺さ、昨日、月から虹が出たのを見たんだ。お前も見た?」
広は首を横に振る。
「見てないよ。夜になったらすぐカーテンをかけるから」
「そうか」
「お、おはよう」
隣から須田愛良ちゃんが声をかける。
「お、お、おはよう」
俺があいさつをすると、愛良ちゃんの友達が彼女に声をかける。そこから女の子らしい話を始めた。
「お、大和、顔が赤くなっている」
「な、なってないし」
ちらりと俺は愛良ちゃんを見た。友達が笑い、彼女も笑う、かわいい。その後、彼女とは一言も話をせず、1日を終えた。俺は一人、自転車に乗って帰る。学校から出ると、すでに何組かのカップルは手をつないぎ、歩いている。俺は、愛良ちゃんと手をつないで帰りたい。俺は。俺は。なぜ、俺は言えないのだ。
「あなたが好きです、付き合ってください」
家について、ドアを開ける。姉も妹もいないようだ。父と母は仕事の関係で海外にいる。
「やーまと君」
どこかから由良の声が聞こえる。
「由良、どこ」
「ここだよ」
俺の部屋に飾ってある絵から、由良が飛び出てきた。
「びっくりしたぁ」
「どうして? あ、そうか、絵から飛び出てきたら驚くよね」
由良はベッドに座り、近くにおいてあった少女漫画を読む。姉から借りた漫画だ。
「大和君ってさ、少女漫画を読むんだね」
頬がジワリと熱くなる。
「中学生は少年も少女も関係なくなるの。その漫画は作者が狂っていて面白いし」
へえ……由良は声を漏らし、じっくり読む。
「あ、そうだ、読んでいる暇じゃなかった。大和君。これから私と一緒に来て」
由良は俺の手を握り、夢の惑星ことアルムへ連れて行った。桃色の空、雲一つない。
「やっときたか、遅いぞ、大和に由良」
紫から桃とグラデーションをかけ、ウェーブをかけ、肩までかかっている髪の毛。右に星マークのヘアバンド。つり上がった瞳、細い鼻、ふっくらした頬。紺色の半そでジャンパー、桃色のスポーツブラ、へそが見える。紺色のピチピチな短パン、ジャンパー共に光沢がある。黒のニーソックスに革靴。見た目、レースクイーンが着る衣装だ。
「そうだよ、カナセ」
「お待ちしていましたわ、大和さん」
桃から紫とグラデーションをかけ、肩までかかっていないボブヘア。左に星マークのヘアバンド。垂れ下がった瞳、鼻と頬は隣の子と同じ。修道女がよく着る、肩を覆う光沢ある服(名称がわからない、ごめん)。胸が膨らみ、谷間を強調。腹は見えない。桃色のフリルスカート。ニーソックスに靴は隣の子と変わらない。
「君たちは姉妹?」
「はい、私はマナテ、こちらは姉のカナセ」
「カナセだ、よろしくな、大和」
彼女たちの手を握った。カナセはしっかりと、マナテはやんわりと握る。
「挨拶もおえたところで……大和君、今から私たちが助ける子を見ておいて」
由良が指を鳴らすと、目の前に四角い画面が現れた。
――あ、愛良ちゃん?
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
大和君にとって好きな想いを寄せる子、
愛良ちゃんがどんな姿になっているのでしょう?
では続きを読んでお楽しみください。