キラメキDaughters誕生、私、体が熱くなっちゃうの
語り手は明日谷大和君、変身をする前の一人称は「俺」で、人前だと「僕」に、「キラナデシコ」に化けると「私」に代わります。
ではきらめく世界をお楽しみください。本日もお読みいただき、ありがとうございます。あなたに良きできごとが起こりますよう、心からお祈りします。
「暗き心に明るい光を、キラアスナ」アスナ(由良?)が言う。
「枯れた心に元気な花を咲かせよう、キラナデシコ」私が言う。
「我ら、キラメキDaughters」二人合わせて言う。
私は自分の姿に違和感を抱いたが、なぜ抱くのか、答えに出てこない。
「アスナ、どうすればいいの?」
「イチゴに元気を与えるの、さ、ナデシコ。二人で踊って歌って、イチゴさんに楽しんでもらおう」
私は扇子を持ち、踊るようにゆっくり回す。扇子の先から炎が現れ、口から勝手に言葉が出る。
「イチゴさん、激しく光って。キラ・炎の舞」
イチゴを焼き尽くす。ひょおおおお、イチゴが泣いているのでなく、喜んでいる。何が起きているの、一体?
「ナデシコ、その調子、歌っちゃうよ~、ハピ☆ラキ!!な~る」
由良が歌いだした。笑みがこぼれる。
「ハッピーラッキーなるりんロード、イエイ!」
「イエイ!」
扇子をサイリウム・ペンライトとして握り、踊ってしまう。体がどんどん火照る。ホテルがそばにあれば、今頃かっこいい男の人と寝ているかもしれない。
――え、なんでアスナと寝ないのって?
あなた、女同士で寝るって、ハレンチな考えを抱かないでくれます。私は女の子。ああ、体が熱く蛍みたくなりそう、ひ、ヒカルゥゥゥゥ。
「いえ~~い。イチゴさんもあと一息だね。これで片づける。ナデシコ……はぁはぁ」
アスナが私を見る。顔を赤く染め、甲高い声を上げ、私にぎゅううっと抱き着く。ほんのり甘い香りに心を奪われ、胸と胸があたり、アスナに唇を奪われた。
「アスナ、ちょっと」
「ナデシコ、はあはあはあ」
発情している。私はアスナの頬を軽くつねった。
「もう、何をしているのさ」
「ごめんごめんご。つい、ナデシコがかわいくて」
「勇者様、イチゴが」
子熊の一言で、私たちはイチゴを見た。青青赤青青青赤と光っている。
「あと少しです。イチゴにキラメキの力を注いでください」
「ナデシコ、私の手を握って」
私はうなずいた。温かい、とろけそうだ。口から言葉が勝手に出る。
「楽しく踊れ、歌え、キラメキサニソンシャワー」
私は左手でアスナの手を握り、右手に扇子を持つ。アスナはマイクをイチゴに向け、ともに放った。するとイチゴは点滅をやめた。
「ふう」
アスナが私を見て微笑んだ。心が動かされる。イチゴが落ち着いて余裕ができたのか、アスナをじっくり見れた。
ふっくらむっちりしたおなか、ひょっこり出るへそ。黄色を基調とし、水色が混じったフリルの半そでにジャケット、スカート、ルーズソックス。髪の毛についているひまわりの花が明るい。
「それ」
アスナが光に包まれ、由良に戻った。私も光に包まれた。
……うう、さっきの俺はいったい何だったんだ?
「お仕事完了」
「由良、さっきのあれはいったい」
由良は腰に手を置いた。
「あれはキラメキの力を受けて変身をした姿。細かいことは気にしなくてオッケー。私も大和君が女の子に変わったことしか覚えていない。あ、大和君とキスしたのは覚えているよ」
由良が口をむずむずし、ちらちら俺を見てつぶやいた。
「女の子にキスされたからって、嫌な男はいないよ」
俺はそう思う。あんたはどう?
「お疲れ様でした。今からとれたてイチゴを使い、ケーキを作るので、食べていってください」
子熊たちが由良の手を握り、大きな家へ連れて行った。待つこと2分。シリウスで取れたイチゴを摘み、俺たちは子熊が作ったケーキを食べた。あらかじめケーキを作り、その上から先ほどエネルギーをぶつけた、青白く光るイチゴを載せる。俺の知っているイチゴと色が違うため、まずそうに見える。
「さ、どうぞ」
子熊がケーキを俺に渡す。さっそくイチゴを食べる。おや、甘くておいしい。
――え、それだけって。俺はグルメ評論家じゃないから、細かく言えないよ。食べたい? 俺じゃ嫌だ? そうだよな、俺より由良から欲しいんだろ……由良、もう平らげちゃったよ。
「勇者様、ありがとうございます」
小さな熊やウサギが頭を下げる。
「おい、そこの怪物、お前にも一応、礼を言うからな」
「僕は怪物じゃない」
俺がイチゴを食べ終えた。
「私は驚いたぞ、怪物なのに変身をして勇者になるのだから」
「だから怪物じゃないって。ところで、勇者って何?」
「キラキラした瞳、力を持つ者だ。私たちが元気を失って絶望に陥った際、勇者様が向こうの世界からやってきて、元気と勇気と光を与えてくださる」
ちらりと由良を見ると、熊さんらと手を握り、踊っていた。一部のくまさんは彼女の胸をもみ、スカートをめくる。
「おい、お前らは勇者に対し、あんなことをするのか」
「あんなこととは」
「スカートをめくって、おっぱいをもんで」
熊は「はぁ」息を漏らす。
「あの程度で怒るとは、怪物はなんと短気なことよ。怒りっぽい性格は命を縮めるぞ、やめた方がいい」
「いやいやいや、由良も困った顔をしているんだけど」
と口で言うものの、由良は動物たちと仲よく踊っている。この子、大丈夫かなあ。初め、お姉さんっぽい子だなあと思ったんだけど……
「大和君、そろそろ帰ろうよ」
踊りを終えた由良が手を振る。たくさんのイチゴを摘んでいる。
「あ、うん」
彼女は俺の手を握る。まるで由良の彼氏になった気分だ。まあ、由良は美人だし、将来トップアイドルになるのだったら、その彼氏になっても悪くはない……かも。だめだ、俺には好きな子がいるんだ。
「お前、やっぱ怪物だな」
髭を生やした子熊がささやいた。俺のどこが怪物なんだよ。あんた、わかる?
1話目が終わりました。
この物語は二つの側面でお話が進みます。今回は「夢」こと「アルム」での出来事。で大和君にとって「現実の世界」はどうなっているのでしょうか。彼には好きな子がいるそうですが……
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