第一関門:ひょうが降る場所をこえろ
語り手は明日谷大和君です。変身をする前の一人称は「俺」です。大和君が変身すると「キラナデシコ」に化けます。そのときの一人称は「私」に代わります。ではきらめく世界をお楽しみください。
1000メートルの山など、すぐ上り終える――。思っていたが甘かった。登り始めるとすぐにひょうが降った。氷の大きさが成人男性の手のひらと同じくらい大きい。
「痛い!」
マナテが氷にあたると、雪だるまに変わってしまい、ごろごろ転がっていく。
「マナテええええええ」
カナセが手を出すと氷が彼女の頭に当たり、雪だるまに変わったら私まで当たったああ~ごろごろ転がるぅ。
「やだ、オマエガイウナさんと話をしたところじゃない」
雪だるまから人に戻る。ああ痛い、痛い、痛い。
「ナデシコ、あの、左手をそ、その、どけてもらえないでしょうか。あぁっ!」
彼女のメスを触っていた。私の鼻息が荒い。彼女の吐息が私の口中に入る。
「ごごごごごご、ごめん」
「こらあ。右手僕のあそこをいつまでも握るな。ふにゃぁ!」
彼はむくむくっと固くなっている。体が熱い。
「ごめん、二人とも。本当にごめん」
「なんとうらやましい。私もやりたかった。ナデシコ、ふ、降れてよろしいのですよ」
士鶴姫はふわふわな自分の胸に手を当て、私へお近づきになる。
「冗談でもやめてください、士鶴」
「残念です。話は変わりまして、あのひょうを避けなければ、先へ進めませんね」
私はじいっとひょうと山を見る。とにかく観る。アスレチックな山だとオマエガイウナさんは述べた。アスレチックなら、頭を使えば何とか、進む糸口が見つかるはず。
「あのひょう、山全体に降っていないんだな。わっかを描くように降っているだけなんだな」
カナセが指をさす。
「どこか、降っていない部分はありますか?」
「ちょっと周りを飛んでくる」
私はひょひょいっと大きく飛びながら、山の周りをまわった。そういえば私、いつから飛べるようになったのかしら? 初めからだっけ。あの山を攻略するために、頭を使っているのに、どうでもいいことばかり疑問が浮かんでくる。あ、一か所見つけた。
「みんな、ここ」
「みなさん、回りましょう」
お飛びになり、マナカナも飛ぶ。ひょうが全く降っていない道を見つけ、初めに向こうへいらっしゃる。
――「誰」がいらっしゃった、お飛びになったって? そりゃ姫しかいないよ。敬語をつけた場合、主語は姫だと思ってほしい。今、心臓がバックバクと音を立てて状況をうまく伝えられないんだ。少しでも言葉を削りたくてさ。私、敬語なんて勉強もしていないのに、どうして使えるのかしら? 時々、私があなたにしゃべっているのか、ふと疑問に思うことがあるんだ。
「やったあ~やりました~。きちんとたどり着きました。みなさん。いえ~いです☆」
ごごごごごごご。
「どーしてーーー」
「声が大きかったので、雪崩がおきたのですね。みなさん、雪崩に巻き込ま」
ごごごろごごろごろごろっと転がる。私を挟むようにマナテが前に、カナセが後ろに抱き着く。柔らかい胸と熱く硬い突起物が私の尻と胸をイかせ、気持ちいい。数百メートル流され、私たちは雪から逃れた。白い雪に混じって、別の白い液体が見えるのは気のせいだろう。
「登っても、声を出さないで手を振る、それでいきましょ」
今度は私が先にひょいっと飛び、ふぉうっと姫、ひゅうっとマナテ、ふぅぶんとカナセと続いた。ひょうが降る地帯を乗り越え、カナセが笑う。
「仕掛けがわかれば、簡単に登れるんだな、あっはっは」
ドドドドドドドドド。
お読みいただきありがとうございます。次回はどのような展開になるか。楽しみにしておいて下さい。
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