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キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
4話:気持ちを由良ゆらさせないために特訓をしたら
17/55

こぼれ話~3日目以降の特訓~

さて、ここでは合宿中のこぼれ話をあんたに伝えたい。俺らの愚痴を聞いてもらいたいだけなんだ。いやだったら聞かなくていいからさ、もしよかったら付き合ってほしいんだ。あんたの運気を落とさないよう、汚い部分はなるべく話をしないからさ。


■ 歌のトレーニング裏話


「やっぱりずれるね」


ココアと私はそろうが、アスナと私はわずかにずれる。


「合わせるって、本当に大変だね。植物さんをなだめるときは合うのにね」


「おそらく」


カエル先生がイゴイゴ言いながら、お茶を飲んでいる。


「イザ、という場面でないからだろう。初日に比べると、君たちはとても良くなっているよ」


「本当ですか、全く気が付かないのですが」


カエル先生はうなずき、座った。


「データがないから、育っているとわからない。一応、君たちの歌声をこれにとってある」


先生は一枚の音符葉っぱを取り、指で鳴らした。私たちの声が聞こえた。こんな恥ずかしい声をしていたのか。あなたは自分の声を聴いたことがある? 普段話す自分の声とかけ離れて、大変驚くわ。


「そろっていませんわ」


「いやあ、キャピっとした声」


カエル先生は私たちの反応を見て、イゴイゴッと笑った。


「己に気づくのが成長なんだ。君たちは若い。だからものを知っているようで、奥深さを知らない。一つの単純な部分を追いかけてごらん。特にみんながまねできる分野ほど、細かい技が必要なのだよ」


音符植物は私たちの声をただ、繰り返した。


「後、君たちはファンとアンチを知らなければならん」


ファンとアンチ。よく聞く言葉だ。私たちを応援するか誹謗中傷を行うか。


「ファンもアンチも紙一重。ちょっとしたきっかけと感動で、ファンにもなれば、アンチにもなる。私も音楽家を目指してライブ活動をしていたころ、よくアンチから叩かれていた。私もゲコゲコ言いながら、腹がたったものだ」


音符植物がちりんちりんとなる。


「でもな、私もある偉大な歌手のアンチだった。みんながメロメロだったから、私は反抗心がでた。まあ、アンチもファンもこんなもの。彼らも感動を欲する人たちだと思って、ワクワクを与える。さ、休憩を終えよう」


私たちは立ち上がり、再び歌のトレーニングを始めた。




■ 新しい歌の作詞について


「新曲の歌詞を作りなさい、曲は私が作っておくから」


恵麻さんが指を鳴らすと、ノートとペンが渡された。歌詞と言われても、私は歌を作った経験などない。リズム、感情の揺らぎ。どうやってつければよいの。


「師匠、歌を作るコツを教えてください」


「そんなものはないよ。装飾は後回しでいい。まずは言葉をたくさん書きなさい。その後、大切な言葉、流れをまとめ、声に出し、リズムをつけてみなさい」


わからないなあ。適当に私たちは歌を作る。


「できた」


「じゃあ由良、声に出してしゃべりなさい」


由良はうなずき、詩の内容を語った。


「由良、キミの前で咲いた花びらって歌詞があるね。キミって誰?」


「え、わかんない」


「それじゃあ人に伝えられないよ。きちんと考える。ココア、ナデシコ、途中でいいから読んでもらおうか」


私は心をびくびくさせながら、詩の内容を語った。


「ナデシコ、リズムは取れているけれど、全体から見て詩の内容に関係ないじゃないか」


「こ、これは言葉遊びで」


「なら、関連した言葉を使うのだね。ココア、全くできていないね」


「思いつかなくて」


厳しい時間が流れる。マナテとカナセは外でポンポンを持ち、ダンスをしていた。


「三人で会議をしながら、歌を決めなさい。私はちょっと仕事をしてくるよ」


恵麻さんが目の前から消えた。


「歌を作るって簡単に見えたけれど、難しいね」


私が寝転がる。アスナもごろごろ転がる。ココアは座っていた。


「トレーニングよりも汗をかきましたわ」


「はあ、みんなはどういう気持ちで書いているの?」


アスナは私に抱き着きながら尋ねた。


「適当」


「私もです」


ココアは空に向かって息を吐いた。空は今、紫色に染まる。


「私も適当。何を考えればいいんだろうね」


「それは、歌を聞く人への気遣いじゃないですか」


ココアも寝転がる。


「歌じゃなければできるのになあ」


ぼーっとしていたら、恵麻さんが戻ってきた。


「お前たち、歌が思いつかないのかい」


「はい」


私たちは頭を下げる。恵麻さんがふうっと息を吐いた。


「まあ、思いつくときは自然と出るか。私が悪かったよ」


恵麻さんが指を鳴らすと、ノートとペンが消えた。どうしてだろう。恵麻さんに見放された気持ちがする。そのとき、私はふっと歌詞が思いついた。


「恵麻さん、私たちにもう一度ペンを」


「なんだい、あきらめたのかと思ったよ」


アスナとココアは私を見る。


「あきらめきれません」


「ほれ、じゃあ書きな」


恵麻さんがふふっと微笑み、再び紙とペンが出た。想いや言葉が、どういうわけか出て来るのだ。そのとき生まれた歌詞は、ヤナミが出したクスミ鳥人間を封じるとき、歌った。


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