大和のいないキラメキDaughters(語り:愛良)
語りは愛良で、一人称は「私」です。
ではごゆるりとお楽しみください。
「愛良」
由良が私の瞳を見る。
「どうしたの、由良」
「あ、あの」
「うああああああん」
泣いている女の子がいた。
「由良、変身よ、あの子よ、師匠がおっしゃった『心が凍えた子』は」
「うん、愛良、行くよ」
私と由良は声を上げ、変身をする。私とアスナは衣装の色が違うだけで、形は同じ。チアガールを連想する服装だ。
「暗き心に明るい光を、キラアスナ」
「乾いた心に愛と潤いをもたらす、キラココア」
「「我ら、キラメキDaughters」」
女の子はどんどん顔が青ざめ、マナテとカナセが気を送って温めている。双子が使う「気」は私やアスナが使う「キラメキの力」とは違う。
「助けて、寒い、寒い、寒い」
「大丈夫です、今、アルムの世界からやってきた私たち、そしてキラメキDaughtersが冷えたものを取り除きますから」
マナテが笑顔をつくり、女の子の手を握る。カナセは険しい表情でうなずいた。
「しっかり気を持つんだ。大丈夫、僕らもついている」
「アスナ、明るい歌を」
「う、うん」
ハートの木の葉が一枚、私たちを引き裂くように落ちる。
「ハッピーラッキーなるりんロード、イエイ」
アスナの声が震えていた。私は「イエイ」を言うタイミングを逃す。
「うあああああああああ」
女の子はますます凍え、空は灰色と黒に染まり、雪が降ってきた。マナテとカナセは女の子を抱きかかえ、三人で体を温めている。
「さ、寒い、寒い。うおおおおおおお」
カナセが体を女の子にこすりつけると、マナテが顔を赤く染めて尋ねた。
「カナセ、どうして立っているの?」
「立つのが悪いのか。僕が立たなければ、彼女を温められないだろ」
「違う、×××(私には聞こえなかった)よ、この子がいる前で言わせないで。後でお仕置き」
マナテが白い息を吐きながら、カナセをにらむ。
「ぼ、僕に言われたって、体が勝手に反応をするんだ」
ジワリ、彼は涙を流した。アスナは吹雪に紛れ「私、私」つぶやいている。このままではアスナが曇ってしまう。今、私ができること。彼女の手を握り、励ます。
「アスナ、私は明るくて能天気なアスナも好き。大和様もそう。あなたの突拍子もない行為にたじろいでも、あなたは元気を与えているの。大和様もあなたと出会い、話をし、変身をして活動をして、元気をもらっている。自分を追い詰めないで。いえ、ごめんなさい。私がアスナを追い詰めていたんだよね」
「違うよ、ココア。私がルールをきちんと読まなかったばかりに、私があまりにも浮かれていたから、こんな事態になっちゃった。私のせいで」
私は彼女にキスをする。アスナをかけがえのない仲間として愛しているからであり、元気を分け与えるためでもある。
「アスナだけのせいではない。私のせいでもある。しょい込まないで。ほら、暗い気持ちを吹き飛ばして、寒い空気を吹っ飛ばしましょ。この寒さは私たちが招いた冷たさ。歌って踊って温かくさせましょ。そうすれば、自分の中にある沈んだ気持も吹っ飛んで、明るくなるから、ね」
私が諭すと、アスナは涙を流し、うなずいた。
「さあさあ、歌って踊りましょう。ハッピーラッキーナルリンリン歌って踊って陽気な気分」
私が笑顔を作り、声を大きく出すと、アスナも続けていった。体を回す、2秒止まる、カチャンと鳴子が勢いよく手を叩く。叩いた先から陽気が女の子たちに伝わる。青白い顔は少しずつ赤みを染め、雪は解け、空は晴れる。アスナは笑った。太陽も彼女を照らしている。
「ココア、私、すごく今、温かいの」
アスナが私に抱き着き、キスをする。お、女の子同士のキスは恋愛と違います。手をつなぐようなもの。特別な意味はない。しかし、私にもとても気分の良い何かを感じた。
「これがキラメキの力ですね」
マナテとカナセがお互いの手を握る。キラメキの力があれば、大和様の未来にも少し、良い方向に影響が出るらしい。確信を持って言えない。でも、ゆったりと温かいこの力は私たちの心配を消してくれるだろう。いや。心配など初めから存在しない。
「大和様にもキラメキの力を」
お読みいただきありがとうございます。
おや、現実で何か動きがあったそうです。
新しい人物が出てきます、いるだけで熱い男です。
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