表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
3話:夢からいきなり現実に戻されたら、運気が落ちてひどい目にあった
10/55

大和様のきらめきを取り戻します(語り:愛良)

ここから語りは「愛良」になり、一人称は私です。

今日もお読みいただきありがとうございます。

「ふええええええええええんんんん」


由良が目をキラキラ輝かせ、のどちんこを見せて泣いている。マナテが「よしよし」甘やかしながら、彼女の頭を撫でていた。


「コンサートホールに男性を連れて行ったら、容赦なく追い出されるといったのに」


私はため息をはく。カナセが腕組みをした。


「ドーターズライブも急きょ中止。損害は生じないからいいけれど、由良の心にある違約金がかさんでいく」


由良は雲も避けるような声を出した。


「あの金髪女、怖い、鬼。どうして大和君をあっちの世界に追い出すの」

「あなたねえ」


由良の頬をつねった。


「規約にあるでしょ。男性は絶対に連れてきてはならない。男を連れて来るなら、女の子の姿として入れなさいって。だからホールに入る前に変身をしなさいって言ったのよ」


「忘れたもん、規約なんて少しくらい破っても、だ、大丈夫だと思ったもん」


反省しない態度に、イラつきはさらに増す。


「規約くらい読みなさいよ。みんなに迷惑をかけるのよ、由良」

「そのくらいにしてください、愛良」


優しい瞳で私を見るマナテ、私の手をつかむカナセ。


「愛良、由良はまだ何も知らない子供」

「し、失礼な。わ、私だって知っているよ、カナセ」


由良が目を充血させながら、手で涙をぬぐった。


「じゃあどうして大和様を変身させなかったの? 由良がきちんと言っていれば、浮かれていなければ、こうならなかった」


「だって、だって、だってえ~」


由良が大声を出して泣きだした。大和様が見たら、幻滅するだろう。頭が痛くなる。


「とりあえず、師匠に報告すべきではないかと」


マナテが由良の頭を撫でた。彼女は由良より2歳年下、しっかりしている。


「そうね。でないと私たちだけでなく、大和様も不幸な人生を歩んでしまう」


私がはっきり言うと、由良は軽くうなずいた。


「由良、とりあえず鼻水を拭いて」


私はティッシュを由良に渡した。ぐしゅぐしゅ鼻をかむ彼女に可愛さといら立ちを感じた。マナカナが魔法を唱え、スピカからアルムへと戻る。恵麻師匠が驚いたお顔で私たちを迎えます。


「……大和が覚めてしまったのか」


由良は泣き止んだものの、顔が真っ赤になり、氷魔法で頭を冷やしている。


「大変危険な状態だ。みんな、兆候がすでに出始めている」


師匠は魔法をかけ、画面をお出しになりました。大和様が胸のあたりをぎゅうっと押さえつけております。「現実の私」はぽえぽえ7の話で盛り上がっている。


「どうすればよいのですか」

「そうだねえ、この中で大和に声を届けられる子は由良だけだ。愛良、お前は現実の愛良に声を届けられる。かけてごらん」


私は右手人差し指で空間にひし形マークを作り、静かに祈る。ひし形から光が現れる。私は語る。


「大和様とお話をしてください」


しかし「現実の愛良」はぽえぽえ7の話で盛り上がっている。私の言葉に耳すら貸さない。


「ああ、私の声を聴きなさい、愛良」


けれど、彼女は「そうそう、そこでだーんす」バカ騒ぎをしている。大和様の瞳がどんどん濁っている。私は立ち上がり、ぐるぐる回る。師匠が私の肩をお叩きになった。


「焦っても仕方ない」

「みんな、ごめんね。大和君、ごめんなさい」


由良が頭を下げる。「現実」の映像をまばたきせずに見る。もし大和様の気持ちがずっと沈んだままだと、この世界にも影響を与える。いや、私や由良からキラメキの心が失われ、このままでは……と、電話音が激しくなる。師匠が応対なさる。


「お前たち、活動だよ」


私は背筋を伸ばした。


「場所は先ほど行ったスピカ、お前たちが歌うはずだった場所。そこで心が凍えてしまった子がいる。今すぐ彼女を温めてあげるんだ。もちろん、お前たちの踊りで。『キラメキの力』を最大限に高め、『希望』を出せば、大和の周りにも変化が現れる。由良」


由良は張り切った声をあげ、返事をした。


「今すぐライブ会場に行き、お前の中にある『キラメキの力』を高めるんだよ」

お読みいただきありがとうございます。

人間、誰でも取り返しのつかない失敗はするでしょう。

でも大失態を行ったから、人生も大きく変わるのです。

失敗は悪い結果ばかりじゃありません。


由良にはどのような影響を与えるのでしょう。

次の話>> で二人の活躍をお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ