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最初の依頼

 タリアさんはミルリーに差し出された三枚の依頼書をよく読んだ。そしておもむろに、ミルリーに問いかけた。

「ミルリーはどれがいいと思いますか?」

「そうねぇ...」

 ミルリーは三枚の依頼書を自分の前に並べると、ブツブツ言いながらそれぞれを見比べ、ふとアベルを見た。

「...えっと...何?」

 ミルリーはアベルを上から下まで見ると、はぁとため息をつき、おもむろに一枚の依頼書を指差した。

「これがいいと思うわ」

 その依頼書は、薬草の収集であった。

「理由は?」

 タリアさんがミルリーに尋ねた。

「あいつがいるからね。まだ未知数とはいえ、見てくれはこんなだしね」

「まあ、妥当なところでしょう」

 タリアさんはミルリーの判断に賛成した。

「あなたもそれでいい?」

 ミルリーがずいと指をアベルに向けた。

「...はい、わかりました」

 アベルは少し残念とは思った。タリアさんがいれば、ジャイアントラットなんて赤子の手をひねるようにやっつけられそうだし、それをちょっと見てみたいななどと思っていたからである。

「何よ、不満そうね」

 ミルリーはアベルを睨むとそう言った。

「い、いや、そんなことないよ」

 アベルは冷や汗を少しかきながら、両手と首を振って答えた。ミルリーはまだ少し睨んでいたが、

「まあいいわ」

と言って視線を外した。

「とりあえず、明日の準備をするわよ。日帰りだけど、準備はしないとね」

 ミルリーは席を立つと、アベルに向かってそう言った。


 ミルリーはギルドを出ると、迷わずに中央広場に向かった。とある一角の保存食屋にまっすぐ向かい、さっさと明日の昼食と予備を買っていた。買う直前にタリアさんが何かミルリーにささやいていたが、アベルには聞こえなかった。

 アベルがミルリーに続いて買おうとすると、ミルリーに肩をぐっと引かれた。

「何やってるの。あんたの分も買ったわよ」

 ミルリーは何かの葉に包まれた保存食をアベルに渡し、ほれほれという感じで手のひらを差し出した。

「...えっと?」

 アベルが戸惑っていると、ミルリーはムッとしながら答えた。

「まとめて買ったほうが安くなるに決まっているじゃない。あんたの分も私が買ったんだから、お金よこしなさいよ」

 再度ほれほれという感じで手を出したミルリーにあっけに取られつつ、なるほどと思い直してアベルはお金を渡した。

「...多いわよ」

 ミルリーはお金を数えると、銅貨を一枚返してきた。微々たるものとはいえ、買い物上手なんだなぁとアベルは感心していた。


 その後、少し移動してタリアさんの買い物が済むと、翌朝朝鐘二つ(八時頃)に中央広場の噴水付近で落ち合うことにして、その日は解散となった。


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