適性試験
裏手の広場はちょっとした道場という程度であまり広くはなかった。片隅には木刀や木でできた斧や棍棒が立てかけられていた。
アベルはどうすればいいか迷っていると、兎人族の担当者が抱えていた板を出してきた。
「まず、魔力測定しますね。」
板には六つの宝石がついていた。どうやら魔石らしかった。
「ここに触れてください。」
担当者が一番右の宝石を指差したので、アベルはそれに従って宝石に触れた。すると触れた隣の魔石が一つだけ光った。
「レベル一ですね。」
アベルはすこしがっかりした。魔力が最低ということだからだった。
「次はあなたですね。」
担当者が猫人族の子に向かってそう告げた。
ふんす。
彼女は鼻息を荒くして手を高く掲げると、アベルと同じように宝石に触れた。すると、魔石が三つ光った。
「レベル三、なかなかですね。」
彼女の魔力はなかなかのようだった。そして、彼女は良しっと小さくガッツポーズをしていた。
「次は模擬戦闘ですね。」
担当者は手元のボードに何かを書きながら、木刀などがある場所に向かった。アベル達はその後をついていった。
「好きな武器を選んでください。戦闘の適性を見るだけなので、相手が降参したら直ちにやめてくださいね。」
アベルは戦闘などしたことはなかったが、木剣の素振りとかはしたことはあったので、素直に普通の木剣を選んだ。彼女はふんふんと色々手にして振り回し、最終的にアベルの選んだ木剣より一回り長いものを選んだ。それを見たアベルは嫌な予感がした。
「魔法は相手を傷つけない程度ならありです。それでは、はじめ。」
予感はすぐ的中した。彼女は戦闘経験者だったのだ。上下左右、容赦ない攻撃に彼はなんとか剣で防御するのが精一杯だった。剣を取り落とさないで済んだのは、素振りでしっかり剣を握れるようになっていたからではあったし、多分彼女は手加減していてくれたのだ。
「はい、やめてください。」
担当者が声をかけると、彼女はあっさりと攻撃を中止してくれた。アベルは息を吐き、力を抜いた。もう少しやめの合図が遅かったら、きっと手がしびれて剣を落としていただろう、そう考えると担当者は力量をちゃんと見抜いていたのかと、アベルは感心した。
「ふふふ。」
彼女はまだ余裕があると言わんばかりに、二振りほど剣を振るった後、鞘にしまう真似をした。多分、どこかの道場などで正式に剣を習ったことがあるのだろうということがよくわかった。
「最後に、どの程度の魔術が使えるか、申告してください。」
担当者にそう聞かれたので、アベルは、
「魔術は使ったことがありません。」
と答えた。彼女は、
「風魔術、レベル二の『強風』あたりまで使えます。」
と答えた。なるほど、彼女は貴重な魔術戦士の卵だったのだ。
ちなみに、魔術は生活魔術のレベル一、支援魔術のレベル二、本魔術のレベル三以上となっており、ほぼ魔力が使える魔術レベルに対応している。
「以上で試験は終了です。冒険者タグを発行しますので、ロビーでお待ちください。」
担当者がボードに色々書きながらそう告げた。とりあえず、冒険者にはなれそうだと、アベルはほっとした。




