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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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この手の中に

先生の言い付けをきちんと守っていたおかげか 

何時もの居残り説教タイムも無く放課後になると僕は

どっかの国のお姫様を救いに行く勇者のような気持ちで僕は学校を後にする。


先生の言い付けをちゃんと守れば放課後に居残りさせられず 

毎日すぐに遊びにいけるのでは?と考えたが

そこは明日は明日の風が吹くというやつである


そして放課後の教室で 僕が一人でお見舞いに行く事の危険性を

先生に切実に訴えていた四組女子の憎たらしい顔を思い出す


僕の邪な野望を阻止しようとする奴らは 僕が志保子さんにしそうな悪い事を

口々に先生に訴え それが何故わかった!な本当の事だったので 

先生の気が変わり「あや やっぱり一人で行くのはナシで!」と

言われる前に 僕は急いで教室を飛び出して来たのだ


教室から飛び出したので奴らの事を忘却の彼方に送り込み 僕は考える


もし僕がまた他の女の子と仲良くしてたら志保子さんは焼きもちを

焼いてくれるかな・・昨日のように と少し想像してみる


昨日のあの可愛らしい仕草は最高でした・・・


一昨日の放課後にスイカバーを食べながら決めた初デートの水族館へ

昨日行ってきたのだが 水族館へ向かう途中で一・二年生の時 

同じクラスだった岡田由美と出会い僕は彼女と少し立ち話に興じたのだ


そして由美にさよならの挨拶をして 待たせていた志保子さんの所へ戻ったら 

志保子さんが凄いむくれた顔で 戻ってきた僕をジト目で見つめながら

「もう浮気ですか?」と 結構とんがってる声音で言うと

その後は明後日の方向を向いてしまい「怒ってます!」オーラを全開で出すと

水族館に着くまで 僕と一言も口を聞いてくれなかった事を思い出す


初デートなのに機嫌を損ねちゃったかなと思う焦る気持ちと

またあの「万力のような」握力でギリギリとされるかもと思う恐怖に怯えながら

それでも僕が他の女の子と 仲良く話をしていた姿に面白くなく

拗ねてくれたのかもと思うと嬉しい気持ちで つい顔がにやけてしまうのだった


そうして水族館について やっとこちらを向いた志保子さんが僕の表情を見て

更にむくれた顔とジト目のレベルを急上昇させながら

「怒ってるんですけど?・・」と 妙に迫力がある声で伝えてくる


僕は恐怖で震えそうになる声を努めて落ち着いた声音にしながら

「焼きもち 焼いてくれたの?」と彼女に恐る恐る尋ねると その僕の言葉に

彼女は日に焼けた所の全くない白い頬を真っ赤にしながら口篭る

その可愛いらしい姿に僕は本当に嬉しくなったのだ


僕が志保子さんに告白した理由は もちろん彼女を美しいと感じ会話も楽しく 

ずっと一緒に居たいと思ったのは間違いではない


ただそれ以上に自分以外の誰とも彼女と仲良くさせたくないという 

下らない独占欲の方がずっと強かったと思う。

 

自分が見つけた宝物を机の引き出しの さらに箱の中に入れるように

この手の中に隠しておきたい そんな気持ちだったと思うのだ


そんな割としょーもない僕の事で焼きもちを焼いてくれる彼女に嬉しくなり

僕の言葉に嬉しい答えを返してくれた彼女の その白い華奢な左の手を掴み

僕は「ありがとう」と心からのお礼を伝える


そうして僕は 可愛らしく頬を染めたまま頷いてくれた彼女を連れて 

二人で水族館の建物へと足を向けるのだった。



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