女性専用電車的な発想
シャワーを浴びようと立ち上がり風呂場に向かった私の視界に
外へと出入りする玄関扉が目に映る。私は足を止め少し思案に耽る。
このままで大丈夫なのだろうか?
自宅からほんの短い距離とはいえ 外に出てからまた戻ってくる間に
多くの玄関扉が「く」の字に曲がって地面に転がっていたり
木っ端微塵を絵に書いたような状態だったのを 私はこの目で見たのである。
ゾンビものでも大体は 扉についてる小さなガラス窓が破られた後
数の圧力で扉が外れ 室内にゾンビが侵入する流れが多いと思う
まぁ最近は飛行機から飛び降りて 屋根をぶち破って侵入してくるゾンビや
床や壁をこれまたぶち破って 入ってくるトリッキーなゾンビもいるが
そこまで考えたら もうどこにも落ち着いて居られなくなってしまうので
ここはスタンダードな所から対処する事を考えるべきだと思う。
まず何故 扉から入ってくるのかを考える
理由は簡単で 入りやすいからである そしてもちろん出やすくもある
外部と内部を遮断する形で備え付けられてはいるが 危ないからと
完全に遮断してしまうと それは単なる壁になるからその為に扉を設置するのだ
そして次の理由を考える
何故 扉から破壊してくるのかである
こちらも理由は簡単で破壊しやすいからである
扉は蝶番と呼ばれる器具で扉本体が壁と接続されているが 殆どの扉は
上下二箇所が止められているだけであり 強い圧力が掛かれば どうしても
そこが壊れてしまい 蝶番が外れて扉の用をなさなくなってしまうのである
そこで扉を補強するために映画や漫画などでは 扉に板を打ち付けたりするのだ
だがそれでは扉ではなく壁になってしまうし ここが賃貸という事を考えると
リフォーム料金の事が頭によぎり 少し躊躇してしまう
そこで私は考える さあどうしよう?
どんなに凄い力でも破壊したい面に接してなければ
力の掛かりようがなく破壊出来ないのである
ならば まずは扉に触らせない触りにくい状態を作るべきと考える
身近な具体例をあげれば 女性専用電車がこれにあたる
「おめーなんか頼まれても触らねーよ!」と言いたくなる田嶋顔の者が
女性専用車両にいて 可愛い女の子が共用車両にいるのをみると
その光景がシュールすぎて何とも言えない気持ちになる
「私は特にどこでもいいです」のあの子を思い出す
それにしても・・と考える。
私は痴漢をした事もされた事もないのだが よく触ろうと決意し
それを行動に移せるなと違う意味で感心してしまう
もう一つ疑問に思う点がある
私も志保子の肢体を付き合い始めて わりとすぐにタッチしたのだが
そうするとどうしても体の一部が巨大化と硬質化をしてしまうのである。
「なんとかの巨人」のようであるが ほんの少し違う
そうすると多分だが 痴漢発生の現場で一番多いと思われる電車の中で
その状態を如何に鎮めるのか聞いてみたいものである。
「まさかノーハンドで・・・」や「それ専用の道具でも・・」など
私の想像力を更なる高みに飛翔させる何かがある
まさかとは思うが元気一杯に起立した状態で会社や学校に
触れる事が出来た喜びに満ちた笑顔で 出勤や通学をするとは思えないし
こう考えると そういうものに多分一番関わることが多い
警察官を目指すのも良いかもと考える 興味深い話が色々聞けそうではある
こういう風に思うと 痴漢本人やその被害にあっている女性の方たちに
失礼なのかもしれないが 私も男性なので魅力的なスタイルの女性を
見れば触れたいとは思う だがそこで行動に移せるかは別問題なのだ
社会的に乗り越えちゃいけないラインを ジャンプして乗り超えられる人
いうならば「野生で正解 人間としては失格」という事なのかもしれない
気を取り直し 私は台所の流しの下にある物入れからホースを取り出すと
蛇口にセットし まず部屋の電気を落とし暗くしてから 玄関扉へと壁伝いに
手をついて扉に向かい開けてみる事にする
室内が明るいままだと外に明かりが漏れて 目張りした意味がないからである。
うまい具合に今夜は雲が少ないため 月明かりがあり
これなら少し見にくいだけで作業をするにも都合が良い
そして自宅や両隣の部屋の扉の横に置いてある 二層式の洗濯機大くらいの
鉄製の外装をもち内側がプラスチックのゴミケースを確認する。
畳一畳ほどの幅しかない通路にこれが置いてあるおかげで
私がこれを置いている側の203号室の住人は通路が通る時に
かなり通りにくそうだったのを覚えている。
中身を取り出し自宅の前の階段の踊り場の所に二つ並べると 踊り場は埋まり
ケースを乗り越えないと通路に入れない事を確認する そして水道の蛇口を開き
ケースが満杯になるまで水を入れていく 満杯になったケースを動かして見るが
一つでもかなりの重さで ほんの少しも動かない。
ケース自体は頑丈とは言えないが時間稼ぎなら充分だと思う
階段踊り場にあるのでそれなりの高さもあり これならケース自体を壊したり
乗り越えようとしても 水のこぼれる音が警告音になり すぐ危険に気が付き
ベランダの避難はしごで逃げる時間も稼げると思う
もう一つは玄関扉の内側に置いて 同じようにしておけば万全である
邪魔な場合は蓋を開けてバケツで水を汲んでから動かせば良いのだ
水なので捨てるのも減らすのも足すのも簡単である。
重量物をわざわざ持ってくるよりも その場で重量物を作ったほうが
手っ取り早いので 下の階のケースも使ってもう少し補強しようと考えながら
他にも何かないかと 私は思案に耽るのであった