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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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声豚思考でナンパ と 壁ドンの真実

ベランダで先程と同じように聞き漏らしのないように気を付けて聞いてみたが

流れた放送は今までと代わり映えせず やはり録音のようだ。


新しい情報があれば書き込めるようにとペンとノート用意したが

どうやら無駄足だったようだ。そうして無駄足という単語に嫌な記憶が蘇る


家庭の事情で茨城から都内に引っ越して都内の高校に通っていた頃。

大好きだった志保子と別れてしまい その悲しさで空いた心の穴を埋める為に

クラスメイトの男五人と他校の女子五人で 合コンをした事があったのだが

他の四人は彼女が出来たのに 私だけ振られて心の穴を埋めにいったのか

拡げにいったのか判らなくなった事を思い出し気分が悪くなる。


そんな気分で仕方なく部屋に戻りテーブルにノートを置く。

気持ちのままに放るように置いたので テーブルの端にあった書類に当たり

書類がテーブル下に落ちてしまう。溜息を付いて拾い上げると落ちたそれは

昨日出しておいたプロバイダー契約書だった。


書類に記載されたサポートセンターの電話番号を見て

ネットに接続出来ない事を伝えるとともに 一体何が起こっているのか

少し尋ねて見ようと思い立ち電話を掛けてみる事にする


ついでに声が可愛かったら口説いてみようと 声豚ような思考で受話器を外す。

しかし私の邪な考えに警戒したのか コール音は鳴るのだが誰も出る気配が無く

諦め切れない私は百コールほど鳴らしてみるが繋がらないので

渋々ながら受話器を戻す。


怒りに震え「仕事しろよ!」と思ったが ブーメランになるので

気持ちを切り替え 誰かにコールセンターは都内や人件費の安い

沖縄や震災後の東北被災地に多いと聞いた事を思い出す。

もしかしたら都内や東北の方も ここと同じ状態なのかも知れないと考える


他の所にも電話を掛けて見ようと思ったが携帯電話を解約した為

会社の元同僚や連絡が途絶えていた友達の電話番号も分からない。

市役所とかに聞けば分かるかなと思ったが電話番号が分からない。

必要な時にネットで調べるから良いやとメモしておかなかった事を

悔やむが後の祭りというものだ


「あとわかる番号は・・そうだ警察だ!」

良くも悪くも警察と関わる事が今まで無かった為 思い付くのが遅すぎたが

取り敢えず110番に掛けてみる。だがここもコール音は鳴るのだが

繋がらない。119番にも掛けるがこれまた繋がらない。


ここまで来ると流石に何か大変な事態というのが嫌でも気が付く。

防災放送の内容で大変な事態が起こっているのは分かってはいたのだが 

何というか実感が沸かなかったのだ。


実感が湧くと嫌な汗も沸く。背筋が寒くなる。


電話番号が分かる所に片っ端に掛けて見ようと 取り敢えず室内にあった

公共料金の料金通知に記載された番号や食品のパッケージに記された

お客様センターの番号 果ては雑誌や小説や漫画に記載された 

出版社の番号にも掛けてみるが何処にも繋がらずじまいであり

声豚思考でのナンパは失敗したのだった。


結局分かったのは電話は使えるが何処に掛けても繋がら無いという事実。

それって使えるっていうのかな?と考えて どうしようと思案する。


防災放送では外に出ないようにと屋内待機を伝えていた。

それは確かに私の得意分野で任せておけと胸を張って言いたい所だが

ここまで手詰まりだと どうにもしようがないので外に出て

少なくとも同じアパートに住む他の住人に聞いて見ようと思い立つ。

まあ外に出ないで声を掛ける方法は他にもあるにはある。


「壁ドン」である


最近テレビでは男性が女性を壁に追い詰める行為 具体例を挙げれば

「私なんかじゃイケメン君と釣り合わないし・・」と自分を卑下した女の子を

イケメン君が 壁にドンと追い詰めて「黙れよ・・」とかいうシーンか

「俺はお前じゃなきゃダメなんだ!」とかいうシーンを

想像して頂ければ分かり易いと思う。


但しこれは誤報である


本来の意味は快楽天と呼ばれる芸術本やSODという会社が出している

人類の生命の営みを映したDVDなどを購入しウキウキしながらの帰り道。

自分とあまり変わらない むしろ自分の方が勝っていると思えるルックスの男が

すんげえ可愛い彼女といちゃこらしながら自分の横を通り過ぎた時


それまで宝石のような輝きを放っていた芸術本やDVDがゴミのように思えて 

家に帰った時に その悔しさやモヤモヤを壁にぶつける行為の事である。


もしくはアパートなどの集合住宅で騒がしい隣人に

「うるせえぞコラ!」と優しく伝える行為でもある 


今回の使用ケースとしてはこれに当たる。

なので声を掛けているのに黙らせちゃう という困った事になってしまう


状況が状況だ 仕方ないかと立ち上がり玄関に足を向けた




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