地図を見て明日という日を考える
私は手元の地図を眺めつつ明日は朝日が昇ったら
もう少し広い範囲で情報を集めるように早起きしようと考える。
そう考えながら無職になってから明日の予定を前向きに考えるのは
初めてだなと思い ちょっと上がってたテンションが下がってくる。
無職の心はデリケートなのだ
今のうちに日が暮れて多少は暗くなったけど もう少しだけ周りを
確認しようかとも思ったが 耳が尖って弓と魔法が得意な種族では無い
私には暗闇を見通す力はないのである
懐中電灯でも持って・・とも思ったが暗い中で灯りを持って歩くのは
「僕ここにいますよ!」とアピールするようなものなので危険である
取り敢えずは目覚ましのセットを と時計を手に取り少し悩む
こちらは音で自分の所在が分かるようになるので
しない方が良いだろうと判断する
昔のことだがFFⅪというネットゲームで パーティを組み狩場に向かう最中に
私の前を走っていた戦士さんが 聴覚感知のモンスターに絡まれて
あらぬ方向に走っていってしまい モンスターの大群にフルボッコにされていた
光景を思い出したからである。
ログメッセージに映った 戦士さんの「たす・・・」という言葉と
「やることやったー!」な感じで元いた場所に戻っていくモンスター
そして倒れて死体になっている哀れで無残な戦士さんの横で
悠然と釣りを楽しんでいる高レベルなプレイヤーの姿
あの時の悲しみに満ちた光景が今でも私の網膜に刻み込まれており
彼の犠牲で学んだ事が私の糧になっている。
そう思うとリアルでは会った事のない戦士さんは 元気だろうかと思いつつ
地図を見てまたあれこれ思案する。
色々と確かめたい事はあるのだが まずは食料品の確保だろうと考える
食に対してそれほど拘りがない私は インスタント食品でも良いのだが
現状のような状態だと 流通経路もどうなっているのか分からないので
コンビニやスーパーから運んでくるかは 取り敢えず置いておくとして
食料品があるかどうかの確認はしておこうと考える。
なのでコンビニやスーパーの多い方向になるべく足を運ぼうと
効率が良さそうなルートを地図と睨めっこしつつ考え
他にも安全なポイントを作りながら進むようにしようと
ポイントになりそうな建物などがないかチェックしていく事にする
トラブルが発生した時に 自宅以外の安全と思えるポイントを作っておかないと
トラブルから逃げる移動距離が増えて 慌ててお陀仏などは困るからである
まあ既にトラブルの ど真ん中みたいな感じではあるのだが・・
セーブは小まめにというゲームの知識が 私を賢く導いてくれてると思うと
DLC商法で嫌いになりかけてたスクエニにも感謝の心が溢れるというものである
それにしても・・と思う こんな状況ながらも
まるで初めてはじめたネットゲームをするような気持ちは
何とも言えない高揚感が湧いてくるものである
多分だが「地図を見る」という行為が この高揚感の元になっている気がする
地図を見て行き先を決めて あれしてこれしてと悩んでいると
まだ「ちゃんとした危険」に会ってないからというのはあるが
少しだが心が浮き足立ってくる
事故現場で生まれて初めて生で見た事故による遺体や その一部を見た事で
かなり落ちていた気持ちも 少しだけだがマシになってきたように思う
そう考えて外で動いていた事もあり 汗で汚れた身体を洗おうと
着替えを出してテーブルから立ち上がると「ウオノエ(仮)」が入った
プラスチックケースを少し眺め 取り敢えずはサッパリしてから調べようと思い
私はシャワーを浴びるためにお風呂場に向かったのだった