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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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何が起きたか分からないけど 何か起きてる世界からの帰還

「あ~らよ♪ 出前一丁」


そんな気分で少しだけ頑張ってテンションを上げながら家路につき

帰りは別の道を通って 色々と確かめながら帰ろうかとも思ったが 

正直なところ体力も気力も ほぼ尽きかけてヘロヘロ状態なので

来た道を歩きにくいがそのまま帰る事にした


「もうやめて・・田口のライフはゼロよ!」といっても良い状態である


考えてみてもみなくても 今日は寝起きから碌な事がないのである

確かにこんな大変な事が起きてる時に 寝ていた私も悪いのだが

それにしても余りにも非道い扱いである


「あんまりだよ こんなのってないよ・・」と 仲間を弓でぶち抜いた

それはぶち抜かれた相手のセリフじゃ・・と 私に感じさせた

どこぞの魔法少女のような気持ちで それでも何とか帰宅する


部屋の鍵をしめ 冷蔵庫から飲み物を取り出し口を潤しながら

運んできた「ウオノエ(仮)」が入ったバックからタッパを取り出すと

念のため単行本をしまってある プラスチックケースの中身を取り出し

タッパをその中に入れて二重に密封する 


昆虫類は死んでると思うと 急に凄い速さで動き出すから油断は禁物である


少し呼吸を整えながら 外に出た事で少しだけ増えた情報をまとめて置こうと

考えて現時点で分かっている情報を 整理するため書き出していく事にする


①まず何か起きており防災放送が流れている 

②内容が非常事態宣言発令 移動制限区間地域 挙動不審な人物から避難の三点

③ありえる可能性は 自然災害 流行病 放射能汚染と書いていき

少し考えて戦争 内乱 暴動と書き足していく。


ありえない話ではないのである。前回の大戦もたった七十年前であり

日本の歴史だけで見ても長く見積もって 二百年ちょっとしか戦争が無い時が

なかったくらいである。その間にも各種暴動などは起こっているのだから

短くなる事だって充分ある ラブライバーなどイベントごとに暴れているし


戦争や暴動なら不審人物からの避難も ある程度は考えうる事に思える

でもそれ不審じゃ無くって 危険人物なんじゃとも思うが保留にしておく


続けて分かっていることを書き足していく


④近隣住民で生きてる人は避難したか見当たらない

どこかに避難したのなら 何処に?という疑問と思い当たる

学校や公民館などの場所を思い出しながら 足を運んでみようと考える


⑤自宅から大体一キロ前後の距離にある道路では 大規模な玉突き事故のような

状態であり 救助や現場検証などが行なわれた様子も行われそうな様子もない


焼身死体と手足の一部分の残留は見つけたが それ以外の遺体は見当たらず

事故の規模から考えて どの程度が妥当なのかは分からないが

遺体の数が少ないと感じた と書いておく


ついでに焼身死体の一体の口から何故か 

かなりの大きさの「ウオノエ(仮)を発見した事も書いてみて 二重に封印し

更に重しを乗せた状態で置いてあるプラスチックケースを眺める

少し「ウオノエ(仮)」を調べたいが 頭の中を整理する事が先だと判断して

取り敢えず後回しにする事にする


さらに続けて分かっていることを書き足していく


⑥電話は使えるがどこに掛けても繋がらない

⑦テレビは映らない

⑧ネットも繋がらない

と書いた後 映らず繋がらないと気がついた日付けと時間も記入する。


ここまで書き出しながら不思議に思うことがある。

何が起こったにしたにせよ ここまで人が居ない事など有りうるのだろうかと

活動範囲が狭かった事は否めないが 何か事が起きた場合でも警察や消防

加えて役所関連は 割とギリギリまで対応に当たるものだと思う


そこで前に自分が考えた事に思い至り 背筋が少し寒くなる


もしかしたら何かしらのパンデミックが起こって 

以前考えたように「そこから」被害が拡大したのだとしたら 

今のこの状況も充分に考えられるからである。


震災の時を思い出す。食料など生活物資の配給の際 日本では他国と違い

物資を巡って争いなども起こらず 買い出しなどでもきちんと列を作って

待っていた事は自分も目にしていたので分かってはいる。


だがそれも政府をある程度は信頼しているからである。

待っていれば助けてもらえる もしくは「もらえるだろう」という

安心感があればこそであり 「もしそこがもうダメならば?」と考えると

動揺して手に持っていたペンを取り落としそうになる

 

落ちた気持ちで外を見ると もうかなり薄暗くなってきている。

そろそろ電気をつけようかと思い立ち上がり掛けて 

外に明かりが漏れて平気なのか考える。


実は夜になれば あちらこちらである程度は明かりがつき 

次の日にでも そこを尋ねてみようかと思っていたのだが 今のような状況で 

こちらの所在を分かるようにしておくのは危険なように思える


こちらに気が付くのが「まともな人」ならいいがと思い 

それをいったら「無職」はまともなのかと少し悩む。


そこで戦利品を入れてきたダンボールとガムテープを使って

明かりが漏れないように目張りする事にした。


こちらからは必要分は外が確認できる工夫を凝らしつつ 

試しに電気をつけ外から確認してみると 大丈夫なようで少しほっとする。


周りを見渡してみると街灯はまだ機能しているようだ。マンションなどの

廊下の常夜灯も灯っているが 他に何処も電気が灯っていない事に気が付き

その事に思案しながら部屋へと戻る。


防災避難所と記された地図を 確か防災リックと一緒にアパートの

ポストに投函されていた事を思い出し リックの外側のポケットを開くと

中にあったので取り出し 自分の知っている情報を自宅周囲五キロほどの

詳細が記されている地図に記入していく事にする。


コンビニやスーパー・ガソリンスタンドや灯油屋 ゾンビ物でお馴染みの

ホームセンターなど知りうる範囲で記入しつつ 今は人手に渡った実家の場所や

当時 志保子が住んでいたアパートを場所も一応チェックしておく


もうもしかしたら何処かに避難していないかも知れないが 

こんな状況である 志保子に一度は会いに行ってみても良いのかも知れない

そんな事を思いつつ他に何かないかと考えるため


私は手元の地図を見つめるのだった





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