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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
64/126

広がる惨状と現実感が薄い現状

何が起きたか分からないけど何か起きてる世界へ


そんな訳が分からない所に向かう物語の主人公は 今まで見た娯楽作品にも

皆無で 多分だが私くらいのものだろう もう少し状況が明るくなれば

助かるのだが 大体こんな場合は明るくなった途端に 欝展開とかになるから

それも考えものかも知れない。ニトロ作品ならそろそろ死ぬレベル


アニメで云えば前半の山場である第三話である


ただアニメで1クールなら残り九話くらい 今後もある事が分かるが

現実やOVAでは ここで打ち切りもあるので油断は出来ない

油断してたらお菓子の魔女に頭を齧られてしまうかも知れないし


そんな事を考えながら さっきまで不法侵入していたビルの横を通り 

その先を右に曲がって進んだ所にある 日立市を通る幹線道路である

山沿いの国道六号と海沿いの国道二四五号を 繋げる形で通っている

結構広めの道路へと私は向かうのだった

そこに渋滞して鈴なりに車両が 止まっているのが見えたからだ


歩道を進んでいくと 少しずつだが車両道路には 都内に住んでいた時に見た

事故現場のように 車のミラーやフロントガラスの破片や小さい部品が

あちこちに散らばっているのが見えてくる


私が歩く歩道の端にも 雨に濡れて泥だらけの衣服や片方だけの靴

そして中身が散乱している口を開けた鞄などが目に入り 不安になってくる


流石に魔女はいないだろうけど 嫌な予感が当たりそうで

ダンサーのようにくるっと回って 帰りたくなる気持ちで一杯になり

もし使えるならばルーラやデジョンで アパートまで飛んで帰りたい気分だ


ただ帰るにしても本当に危険になるか 何か状況が分かるまでは

もう少し粘ってみようと思い 周囲に注意を払いつつ進んでいく事にする


そうして進んでいくと 少し先に渋滞の最後尾とでもいうのだろうか 

引っくり返っている車や横倒しになってる車が見えてきて 

それが車両で作ったダムのようになっており 他の車の動きを封鎖する状態に

折り重なっているのが視界に入ってくる


ガソリンに引火し火災でも起きたのか 横倒しで真っ黒に焼け焦げている車や

歩道まで乗り上げてる車によって街路樹も折れて倒れている


封鎖された形で行き場を失っている他の車も 無理して動かそうとしたのか

お互いがお互いの進路を塞ぐように 鮨詰め状態になっており

以前 事件事故を中心に動画を上げてるサイトで見たような

玉突き事故の大規模バージョンのような有様である


その酷い有様に私は 寮のビルの破壊されたガラス扉を見た時と同じように

「なんかすっごい事になってる・・」とは思うのだが 

正直な話ネットに沢山あった 防犯カメラに映っていた事故現場の映像や

事故発生の瞬間を動画で見てきたので 恐怖に怯えたりはしなかったのだ


何というかモニター越しではない 目の前にある生々しい映像とはいうものの

物足りないとまでは言わないが「〇〇で見た!」くらいの感想しか思い浮かず

今の気持ちを言葉で表すとしたら「あー知ってる知ってる」状態といえる


一応は文字通りの地獄絵図の様相が広がっていると表現しても良いし

アニメや漫画では良くある光景だが 現実で実際に目の当たりにすると

どう反応したら良いのか いまいち良く分からないのである


モニター越しとは違い 空気に漂うガソリンの油臭い臭いや それにほんの少し

混じる血生臭い臭い 足元に散らばる破壊された車の部品やガラスの破片を

踏んでいる臨場感は感じるのだが この現実感の無さは一体なんだろうと思案し

少しして足りないものに思い付く


そうだ人間の死体が無いからだ・・


まあ実際にゴロゴロと転がってても困るのだが 

これだけの惨状で死体の一つや二つ転がっていないのも 逆に可笑しな話だ 

警察や消防が来ていて 死体にビニールシートが被せられているとか

怪我人が血だらけで横になって呻いている姿もなく 

それらが来る様子も来た感じもしない そもそも来るのか?とも思う


目の前に広がる惨状と それでも現実感が薄い現状に

私はそれにしてもと思う こんな大変な事が起きていたのに私は寝てたのかと


寝付きが良いし眠りも深いので 私の睡眠事情は不眠に苦しむ方には

申し訳ないくらい快適で 問題があるとすれば寝起きが悪いくらいであり

いくらでも寝ていられる体質なので 来世は猫辺りになりたいと思う


そんな事を考えると また強烈な眠気が襲って来るが

ここで来て帰っても 一体何の為に来たのか分からなくなるので

取り敢えずは渋滞の中心になっている 十字路まで足を運んでみる事を決めて


私は足を踏み出すのだった



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