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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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彼の話の続き 寄生とは

志保子は凝視していた自分の前で 不気味に蠢く化物たちが 

「巣」の方へと戻っていくのを 天窓の覗き穴から見送ると 

事務机の椅子に座り直し呼吸を整え 気持ちを何とか落ち着かせる 

そうして彼が話してくれていた事を もう少し思い出そうと試みる。


私がねだれば 自分で読んだり調べたりした事を 分かり易いようにと

冗談や例え話を交えながら 一生懸命に話してくれる そのあれこれ悩んでいる

生真面目な横顔が とても大好きだったから 良くおねだりした事を思い出す


そして先程の話に まだ続きはあったはずと思い 顎に指を添えながら思案する

少し考えて私は「なんでそんなに詳しいの?」と 彼に尋ねた事を思い出す

彼はそれで「寄生獣」て漫画を読んで 気になって調べた事があったんだと 

照れくさそうに微笑みながらも話を続けてくれた


「いつ立場が逆転しても おかしい事では無いかもと さっきは言ったけど」


猿山のお猿さんが追いかけっこをしているのを 二人で眺めていると

思い出したように口にした彼の横顔を見て頷く


「多分 人間と同じように道具を使う生物が現れても 余程の事が無い限り

人間は負けないと思うよ」と そこで一旦言葉を止めて 考える仕草をすると

少し嫌な話になるけど・・と 言いづらそうにしながら話を続ける


「何でかっていうと「殺し合う」事にかけては 人間は人間同士でそうやって

変な言い方になるけど頑張ってきたから 相手の文明レベル凄く高いとか

余程の差が無い限り 例えば「俺はもう死んでいた!」みたいな武器とかだと

最初は困るけど その場合でも色々な手段で 原因を解析して対策を立てて

逆に自分達でも使い出すとかして 最後には対応出来るようになると思う」


そうしてベンチの方に 私をいざないながら


「それは何か難しい問題が起きたとしても それまでの経験と知識を土台に

「考えて対処する」事が出来るからなんだけど だから一番怖いのは 

その考える脳自体を支配されて 操られる事だと思うんだよね」


その言葉に 私は「催眠術とか?」と思いついた事を口にすると 彼は頷き


「寄生って言葉のがあるじゃない?他の生物の体内に住み着いて 共生する事

なんだけど 寄生による効果は宿主に良かれ悪かれ 様々な影響を及ぼすのね」


色々な種類があるんだけど・・と 彼は顎に手を添えて考えながら続けた


「まずは捕食寄生と云う 宿主の身体を内部から食い尽くして 最終的には

殺してしまうタイプ 有名なのはハリガネムシという細い糸みたいなやつで 

主にカマキリやコオロギに寄生するんだけど 元々は水の中にいる生物で

そこに戻るために寄生した生物を 川にダイブさせて自殺までさせるのね」


「カマキリのお腹あるじゃない膨らんでるトコ あれ中身が 

全部ハリガネムシの時があるくらいなんだよね」


「他にもブードゥー・ワスプという蜂は イモムシに自分の卵を植え付けて

孵化した卵から出てきたワスプの幼虫に イモムシを食べさせるんだけど

寄生してるイモムシを殺さないように 致命的になる箇所は避けて捕食するの」


「幼虫がある程度の大きさに育つまでは イモムシを用心棒として使って

近づいてきた他の生物に 凄く攻撃的な動作をさせるように操るらしい」


「そうやって一番無防備な幼虫の時期を安全に過ごしながら 

自衛が出来る段階まで育ったら イモムシを食い尽くして その亡骸を尻目に

サナギから出てきたブードゥー・ワスプは 空に飛び立っていくらしいんだ」 


「これなんかはイモムシは ブードゥー・ワスプの子供にとっては

自身の住む宿「住」であり食べる「食」であり身を守る衣服「衣」になるよね」


「他にも僕達が風邪なんかの病気と云うのは ウィルスて寄生生物が体内に入る

「内部寄生」や「細胞内寄生」と呼ばれるやつで」

「ウィルスは定義によっては 非生物とされる事もあるけど・・」

「他にも操るを特化している寄生生物で 猫に寄生す・・・」


そこまで思い出しながら その先が点いていたテレビの電源を切ったように

暗転してしまいどうしても浮かんでこない。

 

なんとか思い出そうと頭を捻るがどうしても思い出せず 

仕方なくそこまで書き写すと 今のうちにやれる事をしておこうと 


私は椅子から立ち上がったのだった。



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