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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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僕の浮気

一人ぼっちで教室から遠回りに下駄箱に向かう廊下は

帰りの会の時よりも 教室でのお喋りで時間を使っていたせいか 

だいぶ落ちてきた日に照らされ 僕は歩きながら 

あの二人が付き合ってデートをする光景を想像する。


だがほんの少し浮かんだ二人が並んだ光景だけで

胸の奥が締め付けられる感覚に思わず顔をしかめると

教室のドアの曇りガラスに映る自分は案の定ひどい顔をしていた


よかった一人で こんな顔 他の誰にも見られなくて 


そう思い宮田君たちに先に帰ってもらったことに少しほっとする。

そうして今日は 少なくとも五時間目までは 

本当に楽しい時間を過ごせていたのだ と思い直し 

それなら少し視点を変えて想像してみようと思い考えてみる事にする。


僕と志保子さんがデートする光景は何故か上手く思い浮かばない

どうしても高久くんの姿が浮かんでしまうのだ 

六時間目に余りにも見つめ過ぎたようだ 放課後のお喋りの時間もあったし 

もう僕は彼の虜のようだ。


仕方がないので志保子さんには一旦退場していただいて 

下駄箱で靴を履きながら

僕と高久くんがデートする光景を思い浮かべることにする。


その前にお弁当を作っていくとして 高久くんはお握りとサンドイッチ

どっちが好きかな などと僕の中に潜む乙女心に気を回していると

背後から声が掛かった。


「田口くん!まって」と


その声を聞いても僕は自分が呼ばれた感じがあんまりしなかった。

なぜなら僕は みんな田口な家族はもちろんほとんどの友人知人から

あや」と呼ばれているからだ。


他の田口かと周囲を見渡しても誰もいないので声のした方に振り返ると

なんとそこには志保子さんが片手に歩行杖をもち

片手を下駄箱に掛けた姿で立っていた


予想外の展開に動揺しまくった僕は思わず口走ってしまった。


「ちっ違うんです!」と

何故そんなセリフがでたかと言えば 彼女の姿を見てまず思ったのが

「高久くんとの浮気(妄想)がバレてしまう!」だったからである。


これまた予想外だった返事が返ってきたと思わしき志保子さんも

えらく動揺しているのか 可愛いお口をポカーンと開けてこちらを見ている。


なんとか誤魔化そうと「違うっていうのは違くって・・」と

何言ってるのか分からん言い訳をかましつつ

「今帰り?志村さん」と聞いてみる事にする


そうすると彼女は コクンと可愛らしく頷くのだがそのまま黙ってしまい

僕も言葉の接ぎ穂を失ってしまいお互いに黙り込んでしまった。


ちょっと困って「えーっと」とか「んーっと」というと

僕の次の言葉を待つように彼女は上目遣いでこちらを見るのだが

僕の方もうまく次の言葉が見つからず埒があかない。


埒があかなければこうやって志保子さんを見ていられるから

それもいいかも とも思ったがそれだと場所が悪すぎる。


「ここだと先生や同級生に邪魔されるかもしれない・・」

そう思い声を掛けてみる事にした。


「志村さん 良かったら場所を変えて少しお話しない?」




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