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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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家に帰るまでは遠足

会社の寮として使われているビルの一階で

調理室から食材の入ったダンボールを運んだ私は 

玄関に置いてあったレクレーションルームと

男女の寮室から運び出して置いた戦利品の山を見て

結構な分量になったそれをどう運ぶかを考える


やはりここは普段接している 漫画やアニメを参考にしようと思う

山賊とか盗賊がどっかの屋敷から荷物を運ぶシーンを思い出す。


子分1「おかしら!すげえお宝の山ですぜ 今夜は宴会でさ!」

お頭 「おう おめえたち 今夜は無礼講だ お宝を運び出せ!」

というあれである。


残念ながら何時でもおかしら状態の

ソロプレイヤーでプロぼっちな私には子分がいない


そうすると いくらでも物が入る魔法の鞄や四次元ポケットを持たない

私では自分で持たないといけないという事になる


荷物を両手に抱えてだと都合が悪い 何かあった時に

手が塞がっているのは不都合である あと手に持った荷物で視界も悪くなる


現実をなるたけ見ないようにするのは

私の得意分野だがそうも言ってはいられない


もう少し参考になる事はなかったかな と思い

中学生の時に見たスレイヤーズというアニメを思い出す


「見てくんないと暴れちゃうぞ!」という 

かまってちゃんの最終形態のようなキャッチコピーのアニメで 

なかなか独特な雰囲気のキャラクターが織り成す ファンタジーアニメなのだが

語りだすとノーベル賞取れるレベルの文章量になるので割愛する。


その中で天才少女魔道士の主人公が ストレス発散と臨時収入を兼ねて

良く盗賊団に襲いかかっていたのだが 主人公が襲う前の

盗賊によるお宝回収シーンを思い出そうと試みる


かしら「野郎ども 馬で運び出せ!」


というセリフを思い出し「馬か・・」と 周囲を見渡すがもちろん馬はいない

まあ実際にいて 声高らかにヒヒーンと鳴きながら走って来られても困るのだが

それに何か大きい方ぷりぷり出しまくりながら走るらしいし・・


なんか読むと頑張りたくなる漫画の一つである「銀の匙」で

馬術部の他校との試合で馬に乗って現地に行くときに

一人は「大きい方回収係」をしながら

歩いてるシーンを見た事があった事を思い出す


逆に居なくて良かったかも知れない

ならば と代わりになるものを考える。


そういえばと思い管理人室に入り確かあったよなと見渡すと

お目当てのものが見つかった


折りたたみ式の台車である。

折りたたみを解除して少し走らせてみると あまり立て付けが良くないのか

ガタゴトと音がする。このままではスニーク状態が切れてしまう・・


そこで管理人室を少し漁り ビニールテープと手拭き用のタオルを見つけると

タオルを細く切り裂き紙縒こよりにしてタイヤの部分にテープで止める 

接地面が柔らかい素材になれば 音もかなり抑えられるからだ。


サイレンサー機能搭載型台車という字面だけなら 

何か格好良さげな台車に戦利品を積み込むと 私は外へと踏み出した


そして会社の寮施設が入ったビルの探索を終えて 

回収した荷物を台車に乗せ 玄関先に仕掛けてあった釣り糸をくぐらせるように

まず騒音防止システム搭載の台車を外に出すと 私も外に出てそのまま周囲の

安全を確認をする。


セミの鳴く声が響くばかりで あいかわらず人影も人の気配すらもない。


しかし油断は禁物と少し離れたところの通りの確認や 

車が余り駐車されていないガラガラの駐車場にも視線を向ける。


駐車中の車が無い事で とても見通しが良くなった駐車場を見ながら

元々将来への見通しは悪かったが さらに悪くなった感じのする今の私の

将来の見通しに またちょっと気分が落ちかける。

これはいけないと 楽しい事を考えようと台車に乗った戦利品に目を向ける。


まず現時点で もし「だれか」に出会ったら の準備は万全かについては


「何か大変な事が起きたので貴重品だけでも場所を

移動させておこうと思いまして」と

持ち主のふりをして 上手くたぶらかしつつ情報を引き出そうと考えており


これがもし寮の住人など持ち主 本人だった場合は ごめんなさいして

「食べ物がなくって困ってたんですぅ!」と

相手の足にすがりつきながら 嘘泣きしつつ情報を引き出すか

光の速さで家とは反対方向に 逃げ出そうと考えていたのだが

それも杞憂に終わりそうで少しほっとする。


だがまだ油断は出来ない「家に帰るまでが遠足」という言葉があるように

家に着くまで油断は出来ないのである。


それにその「だれか」が安心して話をし合えるかどうかは

これは出会って見ないと分からないという問題がある


いくら情報が欲しいからとは言っても 

相手が誰でも良いという訳ではないからである。


例えばの話だが、髪型がモヒカンで体のどこかにトランプのマークを刺青し 

刺付き肩パットを装着、これまた刺がついたバイクに乗り込み

背中に火炎放射器を装備した男が 相手だった場合の事を考えて欲しい。


あなたは話しかけたいと思うだろうか?

私にはとても無理である。


そんなのに下手に話かけたら

「汚物は消毒だー!」と焼き殺されてしまうかも知れない。

ただでさえ暑いのに さらに熱くされても敵わないのである。


やはり出会うなら可愛らしい女子高校生が良い いや女子中学生も許容範囲


もしくは大学入学直後くらいなら 女子大学生もまあいいかと思いつつも

でも制服は大事だよな と思い直す。


それともそれとも将来性を考えて女子小学生から 育むというのも悪くないかも

知れないなどと叶いそうもない妄想に 頭を悩ましながらも


私は家路を急ぐのである。




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