走馬灯のように脳内を駆け巡る妖怪猫達 と マジですCAR気分
かなり近場に落ちたらしい落雷の音に驚いて目が覚める。
激しい雨音とベランダのシャッターを叩く風の音を聞きながら
「ベギラマなど効かん!」と大魔王ゾーマの気持ちで呟きつつ
枕元にある目覚まし時計を見ると五時三十分を指している。
我が家の目覚まし時計はアナログタイプなので 台所の曇りガラスから入る
外の明かりを見ても 夏場だと似たような明るさの朝か夕方か区別がつかず
今日のように雨模様の天気だと尚更である
夢の中で出演しなかった くるみちゃんの太股に触れなかった事を嘆きつつ
志保子に会えた事に嬉しく思いながら 仕方なくリモコンでテレビをつけるが
テレビはどのチャンネルを回しても砂嵐である。
不思議に思い布団から起き上がると フラつく足取りでテレビの電源を
確認するがきちんと電源は入っている。
テレビは故障したのかと考えながらパソコンの電源を入れ時間を確認すると
どうやらもう夕方のようだ。
眠気の取れない頭を掻きながら まとめサイトでも見ようとするが
今度はネットが繋がっていない事に気が付く 自分がわかる範囲で
色々と試してみるが結果は変わらず艦隊これくしょんが出来ない事に少し焦る
お手数ですがエラーの原因をお願いします。の表示と
走馬灯のように脳内を駆け巡る妖怪猫達の姿が思い浮かぶが
何の解決にもならない事に気が付き原因究明に乗り出す
まず料金の未払いかと思ったが口座引き落としなのでそれはないと思い直し
念の為に通帳を取り出し確認するが 引き落としの記録がある
「どういう事なの・・」と寝ぼけた頭で更に考えるが
マジですCARの画像が浮かぶだけで これまた問題の解決にはならない。
寝起きで頭が回らないので面倒になり、
またごそごそとタオルケットに包まり布団に横になる
ドラクエ等でも宿屋に泊まれば次の日には
すっかり回復している事を思い出したからだ
何かあってもすぐに行動を起こさず後回しするようになったと思う
何をするのも面倒を感じるようになってしまった
この先ちゃんと社会復帰が出来るんだろうか
そんな不安を感じつつも また眠りに落ちていく・・・
何かが玄関扉を激しく叩く音に気が付き暗闇の中で目が覚める。
寝る前よりかなり激しさをました雨音とシャッターを叩く風の強さに
少し驚きながら そういえば週末は大型の台風が近づいてくると
テレビの天気予報でお天気お姉さんが お出かけには注意して下さいと
深刻な顔で伝えていた事を思い出す
家から出ない無職の私が「私は大丈夫」と モニターに映るお天気お姉さんに
礼儀正しく伝え返していた事を思い出しながら 扉を叩く音も多分風か雨の音
だったのだろうと また眠りに付くために目を瞑り落ちるように深い眠りに入る
大分経って更に激しさを増した外の雨音と風の音で また目覚めてしまった私は
尿意を覚えたので起き上がり トイレで用を済ませて布団に戻ろうとした時
雨音と強風の立てる音の合間から微かに声が聞こえる
耳を澄ますと どうやら市役所が流している防災放送の音声のようだ
しかし我が家はスピーカーがある放送塔から距離があるので
今日のように風雨が強い日だと音が風に流されて途切れ途切れにしか聞こえない
「・・・き・・です。ひ・・・して・・・さ・・・」
外から聞こえる放送に耳を澄ませるが何を言ってるのか良くわからない
これが初代ドラクエの復活の呪文なら復活出来ずに悶絶するだろう
仕方なくベランダのガラス戸とシャッターを開けるが
凄い風雨のために やはり良く聞こえず部屋の中にまで雨水が入ってくる
そうしてベランダのほうに顔を突き出して耳を澄ませてみても
さっきと変わらず不明瞭なので仕方なく諦めて顔を引っ込める。
シャッターを閉めガラス戸を閉めようとすると 魚の腐ったような酷く生臭い
悪臭が鼻に飛び込んでくる。雨で下水でも溢れたのだろうか・・そう思いつつ
ガラス戸を閉めるとテレビとパソコンに電源を入れるが
どちらの状態も寝る前と同じで変化がない
仕方なしにテーブルの上にある漫画を手に取り 布団に横になりながら
スタンドライトの小さな明かりで流し読みしていると
防災放送の声が微かにだが聞こえる。時計を確認すると夜の三時十五分
正確に時間を測ってはいないのだが前回の放送から大体一時間後くらいである
珍しいこともある
「防災日立です。日立市役所からお知らせです。十八時二十三分
日立市で震度三の地震がありました。この地震による津波の心配はありません」
普段ならこんな感じの放送が流れるのだが 地震発生から数分後一回のみであり
今のように繰り返し放送される事など震災の時以来である
台風の注意でも呼びかけているのだろうか
台風の時期になると毎年のように「ちょっと田んぼをみてくる!」と
出掛けて行き用水路にダイブして死亡する事故が後を経たないが
正月の餅による老人キラーと台風の時期の用水路ダイブは日本の風物詩である
みんなが知っている事を何度も放送していたら苦情が殺到すると思うが・・
そう考えてどのくらいの台風なのか知りたいが
テレビもネットも繋がらない状態では部屋にいる限りは無理であり
シャッターを打つ風雨は驚くほど激しさを増している
放送の内容も気には掛かるが この風雨の中を放送塔まで行くのも
流石に億劫なので読みかけの本をテーブルに戻すと 起き上がって
もう一度テレビとパソコンに電源を入れるが相変わらずのようだ
溜息を吐き電源を落とすと 色々な説明書や契約書等が入った引き出しから
プロバイダーの書類を取り出し起きたら電話しようとテーブルの上に置く
スタンドライトを消し布団に潜り込み面倒臭いなと思いつつ また眠る