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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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魔法少年田口★マギカの誕生

朝のホームルームが終わり 一時間目の国語の授業も終わると休み時間になる 


そして僕の隣の席を囲む形で急遽開催された

四組女子トロール達による 美少女転校生を囲む会」を横目で見ながら 

僕に話掛けてくる宮田くんや鹿嶋くんとの会話を

「マジで!」や「やべー!」と「それある!」のテンプレ回答で答える


僕の目の前に広がる四組女子トロール達の背中とお尻に

「汚ねーケツむけてんじゃねーぞゴラ!」と

真心込めたキックを入れたくなる気持ちを グッと堪えながら

転校生の志村志保子さんを観察してみる


夏休みの宿題 別名「夏休みの友」という

そんな友達いらねーよ!と叫びたくなる 

悪友の中の一人である朝顔の観察日記くんを

「今日は朝顔の種を植えました」と「今日は朝顔の花が枯れました」の

2コマで終わらせた僕だが 今回はやる気がまったく違うのである。


偏見と独断と妄想に入り混じった 僕の視点で見たり聞いたりしていると


沙智の「前に住んでたところはどんな所だったの?」と言う質問は僕には

「おっとここは通さねえぜ 良いところ娘さんじゃねえか ふへへ」に聞こえ


友美の「すごい綺麗な髪だよねーそれにその髪飾り可愛いね!」という

褒め言葉は 僕には

「うひひ 良いべべ着てるじゃねーか 身包み剥いで素っ裸にしてやらー!」

にしか聞こえないのである。


泣きながら服を剥ぎ取られ徐々に その白い素肌を晒していく

そんな彼女を想像すると 何やら高鳴りを覚えそうになるが 

そこは我慢の子である。


周囲の四組女子トロール達の質問に顔を真っ赤にして 

どもったりつっかえたりしながらも何とか答えようとしている

彼女の困ったような姿を見ていると


普段なら困ってる人を見ても

「困ってるなー!」とか「もっと困るが良い!フハハハハ」としか

思わない僕の心に「助けたい 助けになりたい」という気持ちが溢れてくる


「魔法少年田口★マギカの誕生」である


十年後の魔法少年レベルカンストの 最強の魔法少年クラスの僕ならば

「志保子さん保健室行かないと行けないんでしょ 場所わかる?」とか

「じゃあ案内してあげる!」や「僕 保険係なんだ!」と言いつつ


上手いこと教室から連れ出し 人気のない校舎の渡り廊下で

その柔らかそうな手を ぎゅと握り締め 彼女を見つめて

志保子さんをメロメロにするところだが

生まれたてでレベル1の魔法少年である僕には 

まだそんなスキルはないのである。


どうしようかと思い悩んでいると 志保子さんが下敷き替わりに使っている

クリアーケースに挟まれた 「いくえみ綾」の漫画のイラストが見えたので

それを見た僕はゆっくり呼吸を整えると なるべく声が上擦らないように


「志村さん いくえみ綾好きなの?」


と志保子さんに声を掛けるのだった




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