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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
25/126

彼女がくれる鞭と飴

僕はスイカバーの棒を眺めつつ この耳に今も残るあの時の志保子さんの

可愛らしい「ダメだよ・・」の甘く囁き声と 


「心が痛い」などの生易しい比喩とは違い 文字通りの痛さで痺れた右手の

感覚を思い起こしながら あの時掛けられた強制(ギアス)によって

ポイ捨てせずにおいた この棒を使って如何に茶虎を打倒するか頭を捻る。


普段の僕ならば この棒で殴り叩き つついては刺すなどで茶虎排除を試みるが

そのような行為は多分 志保子さんの「お怒りスイッチ」に触れる事となる


またあの「万力のような」と表現せざるえない握力で 僕の手首を掴み

あの時のように締め上げられると想像すると 背中に冷たい汗が流れる。


その反面その後には あの時のように僕に優しく触れながら甘く囁く声で

叱ってもらえるかもしれない誘惑に心が動かされる。


「飴と鞭」という言葉があるが志保子さんのそれは 

どちらも余りにも強烈すぎて 彼女の可愛らしい言い付けに逆らう事を

当時の僕に躊躇させるに 相応しい効果があったのである。


そして僕は そういえば・・と当時再放送で見ていた「機動戦士ガンダム」に

出てくる「赤い彗星」の二つ名で知られる シャア少佐の名言を思い出す


「当たらなければ、どうということはない!」

多分だが少佐を知る者ならば彼のセリフで まず第一に浮かぶであろう

名セリフである。


アニメや漫画で得た知識で この後の人生も生き抜く事になる僕である。

この時も彼のセリフに 自分なりのひと工夫を織り交ぜて対処する事にした


「当てなければ、どうということはない!」である。


勘違いされては困るのだが 僕の目的は茶虎をボコボコにする事ではない。

僕の目の前に居座り 志保子さんの見せてくれている単行本を見るのを

邪魔する茶虎に「目の前に居たら邪魔でしょ?」と叩き込む事なのである。


もちろん僕より先に 志保子さんの膝枕を堪能した茶虎をボコボコにするのは

やぶさかではないのだが 今は色んな意味で危険である


そうして同じく再放送で見ていた「ウルトラセブン」に 出てくる諸星ダンと

いうウルトラセブンが 地球上で人間として過ごすための仮の姿をした男の人が

「ウルトラアイ」という眼鏡を掛けて「ジョワッ!」という掛け声とともに

変身していたシーンを思い出す。


そこからヒントを得た僕は 茶虎の視線を遮るようにアイスの棒を目に掛けさせ 

茶虎に己の犯した罪の深さを反省させようと試みたのである。


茶虎の前に手を出して見えないようする事も考えたがそれは危険である

何故なら やつには鋭い牙と爪があるのだ 噛まれたり引っかかれたりしたら 

自分に素直な僕は泣いてしまうかも知れないからだ


ここは人間らしく「道具」を使うべきなのだ。


僕の十分の一の以下の知識と知能しかもたない茶虎ならば

「道具」そのものに気を取られ それを操るぼくの手は安全という訳である。


そして急に茶虎の目の前にだすのは危険と判断した僕は 

少し距離をあけて徐々に茶虎の視界を塞ごうと 


スイカバーの棒を近づけるのであった。



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