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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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がっこうぐらし!から考える日常の壊れ方

夢の中 がっこうぐらし!の巨乳担当のりーさんの胸に触れる寸前で目が覚める

もう少しで揉めたのに・・と口惜しい気持ちで布団から起き上がり

冷蔵庫から午後茶のペットボトルを取り出し喉を潤す


テレビをつけ「がっこうぐらし!」が始まるまでの間 次は元気キャラ担当の

くるみちゃんの太股に触れたいと考えて イメージ強化の為に近所の本屋さんで

全巻購入した原作漫画をまた読み返しているとアニメが始まる。

アニメ玄人なら見続けるか切るか判断するという戦慄の第三話である


生き残った唯一の大人であり 先生でもある「めぐねえ」視点での

パンデミック発生当日の事件のあらましが流され物語は進んでいく。

パンデミック当初の徐々に「日常」が壊れてく様子が丁寧に描かれており 

あっという間の三十分だった。


見終わった私はこう思う。やはり物語の主人公は美少女に限る。

むしろそれ以外考えられないと思う。美少女が大変な目にあっているのを見れば

世界の半分は確実に同情するだろうし これがもし何かの間違いで主人公が

ただの無職のオヤジなら誰一人として気にも止めないと思うのだ


そんな自己否定的な事を考えつつ スーパーの袋から夜食用のパンを取り出すと

それ食べながら録画した「がっこうぐらし!」を見直し始める。


私は録画を見ながら もし仮に現実にパンデミックが起こったとしても 

家からほぼ出ない自分なら 会社や学校などで家から出なければならない人達に

比べれば 多少は安全で生き残れる可能性が高いと考える。

これがきちんと会社や学校に通っていたら大変だ


満員電車などで感染者がもし乗り合わせていたら 凄い勢いで感染は広がり

逃げ出す場所も戦うための武器を用意する間もなく みんなまとめて仲良く

ゾンビ化してしまいそうである。きちんとしていない無職で大正解。

そんな自分の先見の明に私が酔いしれている間にも物語は進む。


パンデミックは当初 玉突き事故から乱闘事件が発生した流れで始まった。

そしてただの事件事故として現場に向かった警察や消防の人達が

未知の状況であった為に感染してしまったのが分かり易く描かれていた


それを見て「がっこうぐらし!」のように すぐに発症する場合も大変だが

少し思案して これが感染したか判りずらい症状で かつ遅延性があった場合 

もっと大変だろうと考える。むしろ社会が崩壊するかも知れない


その場合 現場に向かった警察官や救急の人達が「動く時限爆弾」になって

警察署や消防署又は病院などで一気に広がりそうだ。

そうして状況が認知された時には 現場への指示や避難誘導などの救助活動が

出来る人達の不足による更なる混乱で収拾がつかなくなるかも知れない


こう思うと脳内ヒーロ気質な人や 一般人だって捨てたもんじゃないぜ!と

思う人もいるかも知れないが アニメなどでモブが「こっちだ!」といって

それに付いて行くと行った先で大体全滅しているので やはり危険だと判断する


他にも本当に状況が理解出来る前までは その症状や発生規模にもよるが 

感染した人か感染していない人かの区別も難しいかも知れず 発症まで

タイムラグがある場合 逃げ出した先で更なる発生源になる可能性が

とても高いと思う。感染経路が周知される前には 憶測や偽情報などによる

パニックが起こりそうだ


私自身も被災した東日本大震災の時にも 原発による放射能汚染が心配され

放射能に効く飲み物や食べ物など「そんなのある訳ないだろう・・」と

中学生レベルの物理の知識があれば分かるデマが出回ったりしたのだ。

お隣りの中国では何故か「塩が効く!」と買い占めが始まり 二十トン近く

買い占めたおじさんがデマだと知って途方にくれていたくらいである。

他にも真偽不確かな情報が震災発生後も数ヶ月間くらい続いたものである


ちなみに私が一日だけいた避難所では 地震の時に近くにあった高級車の工場の

出荷前の車が並べられていた駐車場で 大火災が起こり激しく炎上したのを見て

「高い車は燃えっぷりも凄く良い」と笑い話になっていた


そして感染してしまった人が「自分は感染したので出ていきますね」と

出て行ったりはしないと思う 周囲の人間にバレないように何とか隠し

人ではなくなる恐怖に怯え人の輪の中に無理矢理にでも留まると思う。


そんな恐怖に苛まされた人間が大人しく死ぬまでじっとしているか?というと

それはないと思う。「俺と同じ目に合わせてやる!」と周囲の人を意図的に

巻き込む人間は必ずおり「理解」したからこそ起きるパニックも考えられる。


そんな事を考えながら録画を見終わると座椅子の上で体を伸ばす

座椅子に座っているとはいえ同じ姿勢でいることに疲れ

また布団に横になりタオルケットにくるまると眠気が襲ってきた

「眠くなったら寝る」そんな猫のような生活を一年近くしていると

眠気を我慢する事が難しくなってくる


そうして私は目を閉じると 落ちていく意識の中で

今度こそくるみちゃんの太股を撫でられると良いなと思いながら

多分「学校」と「制服」という言葉が 彼女を思い出させたのだろう

初めて彼女の制服姿を見た あの冬の記憶を夢の中でもう一度見るのだった




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