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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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身体が「はぐれメタル状態」 と 心が「はぐれメタル状態」

私が「志保子」そう「志村志保子」に初めて出会ったのは

小学校五年生の夏休みに入る 少し前の七月の半ば

とても暑くでも風が心地良い日の五年四組の教室である


ここまで思い出して気持ちを切り替える。


現実でも絶賛迷子状態なのである。むしろ「はぐれメタル」状態で

硬いわけでも逃げ足が速いわけでもなく しかも私は私を倒しても死ぬだけで

経験値は一杯貰えないのである。そもそもレベル制なのかすら謎の仕様


ここで思い出まで迷子になったら 

流石に不味いと考えて無理やり気持ちを現実に引き戻す。


思い出した事を 少し話すとすれば「志保子」と親密になる前の私は 

アウトドア派で友人達と良くジャングルジムにて ドンキーコングごっこと

称してジムを上がってくるマリオとルイジ役の友人にサッカーボールを

ぶつけて叩き落として悦に入ったり


当時飼っていた芝犬の子犬を散歩に連れて行き 朝から晩までぶっ通しで

自分の遊びに無理やり付き合せ過ぎた為 多分疲れてしまったのだろう

帰り道で柴犬が歩くのを拒否したので 仕方なくおんぶして帰ったくらいには

外で遊ぶのが大好きな少年時代を過ごしていた


あのままもし成長すれば 夏でも冬でも日に焼けて季節感の欠片も無い

爽やかな好青年になっており 失職してもすぐさま行動に移し再就職を

きちんと決めて 会社の寮なんかで暮らし始めていたのかも知れない。


そして先ほど私が この手で不健全・不適切と写真の加工処理をした 

達也君と明美さんの 達也君的ポジションに居たのかも知れず 

そう考えると「志保子」には感謝しなければならない。

写真にあんなバカッター丸出しの顔で大げさにはしゃいだ姿で

写るような人間に私はならなかったのだから。


これは私の勝手な決めつけだが 公共の場や写真などでワザと楽しそうに

大声で話す・叫ぶ。大げさにふざける はしゃいだ姿で写るというのは 

多分そうしている当人たちが 実はそれほど楽しくないと心のどこかで

理解しているからだと感じるのだ。だから「ワザ」とそうするのだし


似た感じの実例を挙げるなら 大音量で音楽を掛けて車を運転している輩も

よっぽどの難聴でもない限り 誰かに「気にして」貰いたいんだろうと考える


必要以上に大きくしたがるのは実物が卑小だからだと私は思うのだ。

私は現状「はぐれメタル状態」だが彼らはずっと心が「はぐれメタル状態」

何だろうと思ってしまうのである。


そしてそういえば「志保子」は とある事情で外では殆ど遊ばず 

何時も自宅で 物静かに本を読んだり好きな絵を書いたりしていたので

彼女と親密になればなるほどに 私もそのライフスタイルに染まっていき

そのライフスタイルゆえに 外に出ないでも全然平気になり

そう考えると恐らく現在の会社倒産からの引き篭もりという

「嫌な事から全力疾走」と云うべき 精神的土台をある意味形成したのは

「志保子」といっても過言ではないかも知れない。


「おのれ 志保子め・・・」感謝九割逆恨み一割の気持ちを頭を振って紛らわす

取り敢えず「志保子」の事は少し考えないようにしようと思う。

彼女の事を思うと嬉しさで胸が詰まり罪悪感で足が止まってしまうから


アパートに帰り布団に入りタオルケットにくるまって

目を瞑ってから思い出そうと思う そうすれば先日のように夢で

また会えるかも知れないのだから そう決めて私はソファーから立ち上がる




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