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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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大人っぽい彼女の子供っぽい仕草 と 子供っぽい彼女の大人っぽい仕草

やっと仕事が落ち着いたので 投稿スピードが元にもどせそうです

広い歩道を花火が良く見れる 港へと急ぐ人の流れとは反対を

僕と志保子さんは ゆっくり二人で歩いてゆくと 

人気のない古房地公園に辿りつく


そして人混みを避けて二人で訪れた古房地公園のベンチの上

彼女は僕の肩に自分の頭を擦り付けながら 

甘い口調で抱っこをして欲しいとおねだりをしてくれたので 

嬉しさで弾む声音で それに答えて僕は 

小柄な彼女の華奢な肢体を軽く抱え上げてから 

ベンチに深く腰を降ろすと 僕らの右手に見える空を

綺麗に彩る花火を彼女が見やすいように

自分の開いた両足の間に横向きに座らせる


花火に見惚れる彼女の その美しい横顔に見惚れる僕は

胸が苦しくなるほど湧いてくる愛おしさで堪らなくなり

自分の胸元に彼女の頭を出来るだけ優しく抱き寄せると

彼女は少し顔をあげ その柔らかな唇を僕の首元に軽く当てて

ゆっくりと這わせると 耳元で「ありがとう・・」と小さく囁いてくれる


その体中がゾクゾクするような感触に痺れそうな頭で 

彼女の言葉への 気の利いた返しの言葉を探すのだが

探し出して手に取った言葉では どう組み合わせても

自分のこの気持ちを上手く伝える事が出来ない事をわかるばかりで 

どうにもしようもない僕は 彼女を抱きしめる力を

ほんの少し強めることしか出来ないのだった


そうやって彼女を抱きしめていると 胸元で彼女が小さく

あやくん・・今日は一杯 甘えて良い・・?」と

その甘やかな声で溶けてしまいそうな事を囁いてくるので

僕は何とか落ち着いた声音を作るが 少々しどろもどろな口調で

彼女に「いくらでも甘えて・・」と伝えるのだった


すると彼女は「でわ・・志保は喉が渇きました!」と

弾んだ声音で明るく伝えてきたので 

口元に溢れそうになる笑みを抑えながら

僕は頷いて ベンチの右手に置いてあった包風呂敷から

午後茶のミルクティーのペットボトルを取り出し

キャップを外すと彼女に手渡そうとする


だが何故か彼女は受け取ってくれず 視線はこちらに向けながら

餌を求める雛鳥のように 軽く顎を突き出してくるだけなので

もしかして飲ませてって事なのかと気が付いた僕は 苦笑しつつ

飲み口を彼女の口元に近づけると 正解だったようで

美味しそうに彼女はミルクティーを飲み出す


その姿が僕の父方の親戚の赤ん坊に 

一度だけ哺乳瓶でミルクをあげた時の事を僕に思い出させ

「リンゴ飴もあるけど なめる?」と

大人っぽい彼女の子供っぽい可愛らしい仕草に

つい綻んでしまう表情で尋ねると 彼女は嬉しそうに頷いてくれる


僕はペットボトルの蓋を閉めて こぼれないようにベンチに置き

また包風呂敷をごそごそと漁って 屋台で買っておいたリンゴ飴の包袋を取って

その口元に近づけると 彼女は笑顔で飴をペロペロと舐めだすのだった


彼女の小さいお口に合った 小さく可愛らしい薄いピンク色の舌を少し出して

リンゴ飴を美味しそうに舐めている姿は 妙に艶かしく 

子供っぽい仕草なのに 生々しい色気に満ちた大人っぽい彼女の横顔に

僕は思わず息を飲んで見入ってしまう


そんな僕の視線に気が付いた彼女は 子供っぽい自分の仕草に

少し恥ずかしくなったのか 口をすぼめて照れくさそうに笑うと

僕の手からリンゴ飴を優しい手付きで奪い 

僕の口元に柔らかく当ててくるので 少しだけ僕も飴を舐めてみる


もう充分に甘やかな状態にフラフラな僕は 

口の中に広がる甘さに思わず吐息を漏らすと

首元で彼女が「あやくん 美味しい・・?」と尋ねてくるが

照れくささで言葉が出ずに頷く事しか出来ず 

彼女から飴をそっと取り上げて包袋にしまい直すと

どっと押し寄せる疲れに溜息がこぼれてしまう


そんな僕を彼女は蠱惑的な笑顔で見つめながら

「今日・・キスするなら唇を甘く味付けしておかないとね・・」と

更にトンデモない事を悪戯っぽく囁いて来るのである


あまりの気恥ずかしさに どうしても緩んでしまう口元を右手で隠し顔を背けて

彼女に良い様に振り回されているのが少しだけ悔しくなった僕は

「甘えたがりのお子ちゃまなのに おませさんですね・・」と

ついつい憎まれ口を叩いてしまう


僕の憎まれ口に 彼女は少しだけムッとした表情を見せて唇を尖らせたが

何やらあくどい事でも思いついたような ニヤっと悪い子の笑顔をすると 

僕の右手を両の手でゆるく掴み 自分の方に引き寄せる 


そしてその謙虚なサイズの胸元に僕の右手のひらを押し当てると

さっきの悪い子の笑顔とは全く違う 恥ずかしげな表情で首を傾げながら

「子供・・・?」と静かな口調で尋ねてくる


サイズ的には謙虚ながら 充分に柔らかなその胸の感触と

彼女の言葉に 僕は何一つ返す言葉が見つからないまま

空に舞い散る花火の明かりに照らし出された

彼女の美しい顔と潤んで黒い宝石のような瞳を


ただ見つめるのだった




でわ次回で

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