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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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お漏らしは乙女の特権 と お水の大切さ

ホールの柱に掛かっていた 館内案内板に記されていた見取り図を

メモ用紙に一階ずつ書き写すと まずは右側から探索しようと考える

管理人室の隣は調理室兼食堂のようで 手前の調理室から調べ始める


扉を薄く開け手鏡で中を覗くが 動くものは居ないようなので

中腰で音を立てないように静かに室内に入ってみる。


食堂と調理場を仕切るカウンターが左手側に カウンターの向こう側が食堂だ

そして右手側には 冷蔵庫や盛りつけ台や流し台があるのが見える

高校や大学の時に通った学生食堂のような感じだ。


少しだけ頭を上げて食堂を見渡してみる。

床には割れた食器や踏み躙られた食べ物 中身の溢れた調味料とその容器などが

他にもテーブルはひっくり返り 椅子も横倒しで転がっているのも見え

土足で歩いたような足跡も多く見られる。


やはり「何か」が起こり慌てて逃げ出した感じだ。


食堂の方にも動くものが見えないので調理場を先に調べる事にする

こちらも床にはお玉やら菜箸などの調理器具が散らばっている

包丁を見つけ手に取ってみるが 少し迷ってから元に戻す

モップの先に付けて 即席の槍のようにしようかと思ったが

下手に威力をあげて 居るかどうかがわからない「何か」なら

まだしも「普通の人間」に出会った時に警戒される恐れがあるからだ


自分が逆の立場で もし槍をもった男に出会ったら 乙女のように悲鳴の一つも

上げてしまうと思う。下手したら漏らしてしまうかも知れない。

悲鳴もお漏らしも乙女がするからご褒美なのだ。私では多分 罵声が飛ぶだろう


それに下手に怯えさせ先手必勝とばかりに不意打ち食らったら目も当てられない

戦いたい訳で無いのだ 必要分の武装で今はまだ充分だろう。


次に冷蔵庫や冷凍庫を開けて中身を確認すると、色々な食材が目一杯に

詰まっている。冷凍食品やら野菜やお肉など多種多様である。


そこで ふと思い至る


今のような状況でも少なくとも電気は通っているようだ。

じゃあ水は?と思い蛇口をひねると水が出てくる


無音の室内では蛇口から出る水は とても大きな音に聞こえ慌てて 

手近にあったボールを 蛇口に近づけて音が小さく聞こえるようにする。

途切れることなく水が出てくる事を 確認すると蛇口を閉めて 

ボールに溜まった水を流しにながす。


何時まで使えるかは分からないけれど 現状 電気と水は使えるようだ

電気の方については 確か向かいの空き地にアパートをもう一棟建てるので

そこも同じように使えるように 大家さんが 大きな太陽光発電のパネルと

蓄電装置を設置したので パネルが壊れるか天気がずっと悪い状況でもない限り

ある程度ではあるけれど安心は出来る


ガスに関してもプロパンガスなので 外に置いてあるボンベが

空にならない限りは平気だと思う。


震災の時も思った事だが 引っ越してきて 都市ガスからプロパンガスになり

二倍近くになったガス料金に辟易する事もあったが 何か災害が起きた時に

パイプラインが切れると どうしようもない都市ガスや水道に比べて

配給元が傍にあるというのは心強い。でももう少し安くして欲しいと思う・・


部屋に戻ったら水だけでも 貯めておいた方が良さそうだな・・

震災の時に嫌というほど実感したが 水が無いと本当に困るのだ

喉を潤す 頭や体を洗う トイレを流す 掃除や洗濯など

ありとあらゆる事に水は使う上に 他所から運んで来るとなると

とても重くて大変なのである。


被災した中でも比較的軽微な被害だった 日立市内の私が住む地域でも

電気や水の復旧には一週間前後掛かったくらいである。

それでも「人間」が居て その人が修理等が出来る「技術者」だったから

きちんと以前のように復旧が出来たのだ。まだ狭い範囲しか見てはいないものの

最悪の「もしも」を考えて行動した方が良いと考える


カウンターにメモを置くと周囲を警戒しつつ 調理室にあった食料品の在庫や 

アパートに戻ったら やっておこうと気が付いた事をメモを取ると廊下に出る


扉を閉じると 管理人室から持ってきていた付箋とセロハンテープを

組み合わせると 扉の足首の高さにそれを貼り付ける 

誰かが扉を開けたら付箋が外れるので わかるようにする為である


同じ室内に居たり旅館や屋敷に泊まったら最後 居合わせた人々の

死亡確率を急上昇させる 名探偵コナン君で見た事を思い出したのだ


食堂の扉にも同じように付箋をセットすると非常階段扉をチェックすると

鍵が空いていたので掛け直し こちらも付箋をセットしておく 


そうして私は次は左側の方を調べようと歩き出すのだった




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