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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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志保子デコレーション

少しずつセミの鳴く音が大きくなっていく蒸し暑い夏の朝

私は拠点の一つにと考えていた一軒家の二階のひと部屋で大工作業をしていた


押し入れの天井板をリックサックから取り出した万能ノコギリで

自分が通れる広さに外すと そこから天井裏に侵入し軽く掃除を済ませて

毛布などを敷いて居住性を多少だがましにする


そうして家内にあった懐中電灯や他の諸々の物資と一緒に

三日分程度の水とカロリーメイトなどの常温でも持ちが良い食品を隠しておく


非常時に何か物資が必要な場合 今の私がそうであるように

先ずは一軒家などでは無く コンビニやスーパー ホームセンターなどに向かい

そこで本来「あるべき場所」を 例えばの話で食品なら冷蔵庫などを

探すのが定石だからである


冬物の衣類箱が詰まった押し入れの その天井裏に物資が隠されているとは

この一軒家の住人ですら なかなか思いつかないだろう


もし私と似たような思考回路を持った人間が他に居たとしても

それじゃ一体何処にあるか?となると 隠した張本人の私以外は

そんな事は何でも知っているコナン君以外には分からないだろうし

それを探す事に手間と時間を費やすならば 他の店舗に向かうはずである


こうやって何か事が起こり逃げ出した時に 

一時的な避難場所を あちらこちらに作っておけば

いざ逃げるという段階での逃走距離の短縮と 

自分は知ってる内部構造や隠れ場所シェルターとしての機能で

生存確率が少しでも上げれれば良いのである


そうして私は汗をかきながら黙々と大工作業をこなしつつ 

その常人の三歩先をいく頭の中では 先程「スーパー元長」で閃いた

「志保子クッキング」の新メニューについて思考を加速させていた


「志保子クッキング」の新メニューと呼んだが よく考えると調理と云うより

系統としてはケーキやお菓子などのデコレーションに近いので

「志保子デコレーション」と呼ぶべきなのかも知れない


なかなか語呂の良い名称に気を良くした私は 想像の翼を更に広げてみる


無職からJOBチェンジを果たして「パティシエ田口」となり

コック帽子を被り白衣を身につけた自分の姿を思い浮かべる


そうして頑張って再会し 良くわからない何かから助け出した志保子を 

中学時代そうしたように言葉巧みに服を脱がし 生まれたままの姿にしながら

両腕をベットに縛り付けて逃げられないようにした後は

彼女の白く美しい肢体に生クリームやチョコレートをトッピングする

「菓子職人」ならぬ「志保子職人」と呼ぶべき自分の真剣な表情を

思い浮かべると その素敵な光景に胸が高鳴ってくる


そんな自分の想像に満足な気持ちでいる私に 

心の奥底からお前はその程度の男じゃないだろうと

叱咤激励の声が聞こえた気がしたので もう少し深く思案する事にする


そして私の職人魂が違う意味で七色の輝きを放ち 

素材の良さを更に引き立てるアイデアが湯水のように溢れてくる


志保子の華奢で子供っぽさを残した全裸も確かに魅力的で素敵だが

靴下だけは履かせるとかも良いかもしれないとアイデアが一つ沸くと


他にもマフラーと手袋だけ身に付けさせるのも良いかも・・とか

それとも・・志保子の可愛らしい「私を食べて♥」も確かに良いが 

自分の一部分に生クリームを塗って「俺を食べて♥」も良いのでは・・と

恐ろしい勢いで数々のアイデアが湧いてくるのである


自分の隠されていた方が良かったかも知れない恐ろしい才能に

戦慄しながらも拠点を作る作業を終えて一息つくと


自らの想像で「僕タワー」あらため「私タワー」が直立するのを

何とか鎮めながらジャイロに乗り込む


そして次の目的地である「久慈小学校」に向かうため


私はアクセルを回すのだった








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