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無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
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他人を見捨てるという事

取り敢えず見ても良くわからない「ウオノエ(仮)」は、何となく昔観た映画の

エイリアンの様で 見た目も余り宜しくないので、プラスチックケースに戻し蓋

を閉める。念の為、ケースを戸棚から出したビニール紐でグルグル巻きにする。


そして何処に置いておくか少し迷ったが、正直こんなキモイものと、たとえ

死んでいるにしても同じ室内に居るのは嫌なので、玄関扉の先の通路の

他の人の部屋の方に置いておこうと考える。


もしそれで誰かに何か聞かれても知らぬ存ぜぬで通せば良いのである。

殆どの人はどんなに怪しくても、きちんとした確証がないと、なかなか他人を

強く責められないという弱点を突くのだ。


「何の事やら・・ククク・・」もしくは「記憶にございません」スキルである。

最近では号泣して場を流すという方法もあるが、一般人ならこれで余裕だと思う


そして口元に悪い「越後屋スマイル」を張り付かせながら玄関に向かうと

玄関扉のこちら側には、水が一杯たまった重いゴミケースが置いてある。


「一体、誰だよこんなの置いたの!」と思ったが、自分だったので

怒りの矛先を失い「越後屋スマイル」も消えていく。


仕方なくケースを抱えてUターンして、何やら釈然としない気持ちを抱えたまま

またテーブルの前に腰を下ろす。


そして行き先をあれこれ考えるのは一旦辞めようと考える。


明日の日の出から行動するにしても、夜までの時間は有限であり、ある程度は

余裕あるスケジュールを組まないと、一箇所に掛けられる時間が短くなり

見落としなどで二度手間の可能性も出てくるからだ。


FFⅪを辞めた理由も遊びで楽しむ為のゲームなのに、あれこれ頑張りすぎて

何か作業感が増してしまい、妙に疲れたからなのを思い出す。


よく考えてみると、他のネットゲームも似たような感じで辞めていたように思う

多分だが、比べる「誰か」が居たから張り合っていたのかも知れない。


おそらく最近の主流の「ガチャ」や「課金サービス」商法も、射幸心と「そこ」

を突かれて見えない誰かと張り合って、過剰な課金してしまうのかも知れない。


なので方向を変えて、もし誰かと出会ったら?を少し考えて決めておこうと思う


こればかりは相手の出方次第というしかないのだが、まずは少しでも現状の

原因究明と、この先の情報を得る事。そして志保子の住んでた所に向かう時と

彼女が今何処にいるかわかったら、そこに向かうための同行者を探す事も考える


もちろんこんな状況である。みんな自分の事で手一杯なのは当然として、

それでも家族の安否や自宅の現状がどうなっているか、知りたい人もいるはず

で、様子を見に行こうと考える人はいると思う。


同じ方向を目指す集団にさえなれば良いのである。

人間も含め動物などが何故、集団で寄り集まるかを考えればすぐわかる。


「弱い」からだ。


嫌な言い方だが誰かが餌食になっている間に、自分は逃げ出すための生贄・・

そう餌の役割と、何か困難があった時に、一応は協力して対処出来るからである


もちろん自分はそうじゃないと思う人もいる事だろう。

ただ思う事が現実で叶うかは、また別なのだ。

思う事が現実になるなら、少なくとも私は無職ではないと思うし。


そこでアニメやゲームで良く見るパーティ構成で考える。


前衛として敵の攻撃を防ぐ盾役の騎士や、肉弾攻撃の戦士と格闘家。

一応、竜騎士とか暗黒騎士とかいるが肉弾系でまとめていいだろう。


後衛として知識やサポートの魔法使いや、回復役の僧侶や賢者などがいたと思う

こちらは他にも盗賊とか弓使いとかも入るかもしれない。


戦闘メインのゲームだと魔法使いは火力職だが、ファンタジーの原産国である

海外の小説などでは、どちらかというと助言役とか謎の解読や解決をする

探偵のような役割である。


真実が書いてあるネットの世界では、 三十歳まで童貞だと魔法使いになれるの

だが、志保子と早い段階であれこれした私には、その資格は残念ながら無い。


賢者の方は・・先程シャワーを浴びながら思い出していた。

志保子(小学生バージョン)の旅館浴衣+長羽織で下半身のみ露出の、可愛らし

い音声付き素敵動画(思い出補正付き)が、脳内できちんと再生出来るので

それを使えば・・と思ったが、それどころじゃないので一旦は保留にする。


寝る時にでも・・と考える。


気持ちを切り替え思案する。私は大柄でも格闘技の経験も特にないので

前衛向きではない事と、人間離れした天才的な頭脳を持ってる以上、

タイプ的には後衛タイプと言える。


問題があるとすれば、頭脳の安定性と方向性が著しく不安定かつノーコンな

くらいである。


そして、まあ集団の構成次第もあるが、余り自分が不利になるようなら

単独行動になったほうが良いとも思う。

私が自分の生命や安全を犠牲にしてまで尽くすのは、志保子の為だけである。


老人や女子供を見捨てるのか?と酷い奴だと思われても、それは守られなければ

生きていけない、その人達本人の責任だと私は思う。

子供に関しては少しは可哀想とは思うが、私は英雄でも勇者でもないのだ。


そして女子供に入る。私がそれでも守りたいと思う志保子のように、誰かに

助けて貰えないのは、それまでの当人の他人との接し方で本人次第なのだ。

私に言われても仕方ない事だと思う。


「いらない子?そんな子いません。みんなちがって、みんないい 」という

言葉もあるが、そんなのは嘘である。嘘じゃなくても妄想であって 

それなりに生きていれば、いらないもの扱いは、必ずされてするのだ。


他人を見捨てる覚悟も必要かも知れない。


そこまで考えて空腹を覚えた私は、事故現場で見た死体や身体の一部を見て

無くしていた食欲も時間が経てば元に戻る、自分の余りの人間臭さに苦笑を

浮かべると


食事の用意をするため立ち上がったのだった。



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