表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無職くんと薬剤師さん  作者: 町歩き
するまでが とても長すぎる決意
100/126

明るい日と書いて明日と呼ぶお手本

「ずっと俺のターン」 

その素敵で力強い言葉通りに僕は 

志保子さんの白く柔らかな太ももを念入りに撫でまくる


そして「あと少し もう少し」が「かなり長い すごく長い」は

割とよくある言葉通りに 大人しくされるがままの彼女に

僕は少々調子に乗ってしまったようだ


彼女の「あやくん・・抱っこ」と泣きそうな声音を耳にした僕は

「越後屋状態」改「悪代官スタイル」を解除して表情を

「真面目な田口くん」に戻すと 彼女を抱きしめるような感じで

ゆっくりと引き寄せ きちんと向かい合う形で僕の膝の上に座らせたのだった


僕の膝の上に腰を降ろしている志保子さんの 

その表情は「そらきれい」状態言って良いほどボンヤリしたもので

何をしても反省の二文字は存在しない流石の僕でさえも

少しやり過ぎたかな?と不安に思うくらいだった


ただ普段は僕より三ヶ月先に生まれたからか

僕に対してお姉さんのような振る舞いをする事が多い彼女を

こんな風にヘロンヘロン状態にする事が出来た事に対して

言い知れぬ満足感は僕の中に確かにあったのだ


気を抜くと口元にワイルドな微笑が浮かんでくる「ウルフ田口」誕生である


結局、僕のお見舞いスキルの発動及び炸裂によって彼女も

ヘニョへニョ宮田くん状態にしてしまった・・その事は反省しなければと思い

「だ・・大丈夫?」と恐る恐る尋ねてみる。


すると彼女は目に涙をためて頬を真っ赤にしながら

「こんな事・・まだダメだよ・・」と呟くと

俯いてしまい少ししてから泣き出してしまった


僕は初めて見る彼女の泣く姿に とても焦ってしまう反面

その可憐で美しい泣き顔に これはこれで堪らないと思いつつ

さきほど太腿を撫で回していた時も感じていた

「守りたいのに いじめたい」という相反する不思議な感情に

心を奪われてしまいそうになる


またそれに従って動いたら 泣かすどころか怒らせてしまうと考えて

彼女を軽く引き寄せると まったく抵抗する素振りもなく

僕の方にしなだれてきた彼女をしっかり抱きしめる


そしてなるべく真面目な声音と誠実そうな口調で でもその内面は

半ズボンが捲れて剥き出しになっている僕の太腿に触れる

彼女の同じ浴衣の裾が捲れて剥き出しの太腿の感触を楽しみながら


「すごく可愛くて つい・・」と良く良く聞いてみると

彼女を褒めつつも内容的には まったく謝ってない事を

口にしながら彼女の頭を優しく撫でる


それでも上手くいったようで彼女は 僕の頬に自分の頬をつけて

僕の首筋に回している自分の腕に少しだけ力を加えて

僕の頭を優しく抱き抱えるようにしてくれる


そして「まだ・・もうちょっと・・後でね・・」と優しい声音と口調で

明るい日と書いて明日と呼ぶお手本のような事を伝えてくれたのだ


上手く言いくるめることができた僕は口元に

「悪代官スマイル」を浮かばせながらこんな事を考える。

多分これが僕達が初めて交わした男の子と女の子ではなく

恋人同士としての約束なのだろうと


そうして後になって分かったのだがその事が


僕が彼女に 彼女が僕に 


お互いが他の異性と仲良く話したり 仲良く振舞っていても 

言い方は可笑しいかも知れないが「安心」出来る根拠には

なっていたような気が少しだけするのだ


もしかして・・約束を交わす行為というのは

それが口約束の恋人同士であれ 法律的に一応は約束された婚姻であれ

根っこは同じようなものだと思う


自分が相手のものになる 相手が自分のものになるという

お互いがお互いを差し出し合う事で 関係をより深める儀式のような気がする


そして少し年齢的にも 出会ってからの時間的にも早すぎる気もするが

それでもお互いに相手を求めている事が 言葉だけではなく身体でも

理解する事が出来た僕たちは そのまま抱き合ったままで

お互いが出会うまでの それまでの色々な話をするのだった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ