準備
日本時間 9月5日 13時32分 シーミスト沖 自衛隊基地
「正当防衛なので今回の件は不問に処す」
真志は正当防衛射撃をしたことについて呼び出されていた
「まあ、仕方ないだろう、だが、始末書は書けよ。期限は明日までがんばれよ」
「は、失礼しました!」
そういって真志は部屋を出た。
「やっぱ岡崎陸将は話をわかってくれるな」
急に外の新鮮な空気を吸いたくなり、外に通じるドアを開けた。
潮の香りが鼻孔をつく。
「さーて、戻ろうかな」
そう言い、待たせてあった作業艇に乗り込む。
真志は海の上に建った、駐屯地を見た。
この駐屯地は政府がいろいろな企業に協力を要請したため1か月程度で完成したのであった。
費用はなんと、3521億円だそうだ。
莫大な金がかかっているため、作りはとても頑丈だ。空爆にも10回はたえれるらしい。
10分もかからず目的地に到着した。
真志は送ってくれた隊員に礼を言い、医療テントに入った。
「どう調子は?」
真志は今はもう起きている少女に言った。
「.......」
沈黙が痛い。
「俺が聞くと素直に答えてくれるんだけど、他の人は警戒しちゃうんだよな~」
「お前がロリコンだからだろ」
「ちょっと表にでようか」
ものすごい殺気を放ちながら龍雅が言う。
「はは、冗談だよ冗談」
やっと殺気が収まった。
「ところでこの子の名前は?」
「パティ パティ クロエムと言うらしい、パティと呼んでだそうだ」
まるで漫画のワンシーンに立ち会っている気分になってしまう。
「あの....龍雅さんちょっといいですか?」
おずおずとパティがしゃべり始めた。
「クレア王女に会わせてもらえませんか?」
「ん?どうしてだい」
真志は嫌な予感がした。不幸にもそれは当たってしまっていた。
「我故郷トュレン王国が帝国軍に襲われているのです!」
「今はなんとか持ちこたえていますが..1か月もすれば陥落するでしょう」
「どうか会わせてください!はやくしないと...みんなが...みんなが!」
龍雅はしばらく考え込みこう言った。
「分かった、会わせられるようにしょう」
そして、医療テントを出て行った。
慌てて真志は追った。
「おい、わかってるのか!」
「わかってるってなにを?」
「そう簡単に会わせられるかよ!俺達は自衛隊だ、他国の戦争を誘発させるようなことはできない、いや、やっちゃいけないんだ!」
「わかっってる、俺だって『みかづき』の艦長だ」
「じゃあ....」
やめろ、と言おうとした時、龍雅がそれを遮った。
「だからって見捨てろと!彼女の目を見たか!最後の希望を託してた俺たちに頼んだんだ!」
その言葉を聞いて真志は言葉を失った。
「名目が必要なら作ればいいだろ!やってもないのにむりむりいってんじゃねえよ!」
「.......」
確かにそうだと思った。
ならやってみようじゃないか。
「それと、まだそうと決まったわけじゃない。もしそうなったとしても全力を尽くすまでだ、結果が楽しみだな」
そう言って真志のおでこにデコピンをした。
2か月後.....
日本とシーミスト王国の講和が締決した。
シーミスト王国に帝国からの手紙が届いた。
その内容は、トュレン王国が陥落したことを伝えた。
日本政府はシーミスト王国の必死の要請を受け、ついにトュレン王国を奪還するため自衛隊の派遣を決定した。