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wars world 自衛隊戦記  作者: ほわいと
22/24

森の中のエルフ3

長く待たせてしまいすいませんでした。


日本時間 1月3日 午後16時3分 森林地帯 エルフの村


門をくぐるとそこは思っていたものとは違っていた。

てっきり隊員達はテントなどのようなものが張っているんだろと思っていたが、目の前にある家はしっかり丸太と丸太を組み合わせたしっかりしたものだった。

しかもそれが、十件以上は軽く建っているのだから良く隠せたものだと思う。


「はっはっはっ、あなた方もにびっくりしておられるようじゃ。ここに迷い込んでくる旅人と同じような反応をする」

「良く隠せたものですね。上から見たときには全然わかりませんでした」

「儂らはちと精霊の力を借りておるのじゃ」

「精霊?」


漫画などで良く聞く単語だが実際に言われてもいまいちピンとこない。


「具体的にお願いします」

「まあ、そうじゃの。村がある場所を森があるように見せてくれる、と言えば十分かの?」


大体は分かった。

しかし、ここで時間を潰している時間はない。

小銃をさっさと見つけ出して偵察任務に戻らなければならない。


「ピケット村長。実はここにこれくらいの鉄の棒を持った少年が来ませんでしたか?」


手で大体の大きさを示しながら尋ねる。

だが、うーん、と村長は唸るだけで答えが返ってこない。


「では、村を自由に歩く許可を頂けないでしょうか?。我々が探している少年を見つければすぐに退去しますので」


答えが返ってくることはないと真志はそうそうに見切りをつけて足で探す作戦に切り替えた。


「いいじゃろう。ただし条件がある」

「・・・・・条件とは?」


顔に笑顔を浮かべながら言った。


「なに、話をするだけじゃよ」


        ◇


「嘘だろ!」


コルはあの変な緑の服をした連中が追いかけてきたことに逃げなければいけないという焦りと、捕まれば何をされるか分からない恐怖が湧き出してくるのを感じた。


「どうしよう・・・・・どこかにあれ隠さないと」


どうしてもコルにはあれが必要だった。

生活するにあれを売ってお金にし、食べ物をを買わなければならない。

それだけ生活は困窮しているのだ。

隠し場所を探していると村長の家の前であの緑の人の一人と村長が会話しているのが目に留まった。

少し会話すると二人だけで家に入っていく。

そこでふとコルの頭の中を疑問が浮かんだ。

なぜ、村長はあんなにすんなり人間を村に入れたのだろう。

エルフは亜人というカテゴリーに入れられる。そのため、何年も迫害を受けてきた。

だから、精霊と上手く付き合える森に移住したのだ。

しかし、この村が作られて何百年も経つが人間をいれたことなど聞いたこともなかった。


「一体どうなってんだろう?・・・・ん?あれは」


村の周りは木を削り出して作った壁があるので必然的に出口は限られてくる。

出口は侵入者に対処するため正面の大門と反対側に小さな裏門があるだけだ。

その裏門から一人の男が走ってくるのが見えた。


「ど、どうしたんですか?そんなに慌てて」


見れば、隣に住んでいる青年だ。

いつも手料理を貧しいコルたち家族のところに運んできてくれる優しい人だ。


「ふ、ふふ、封印が解けたんだ。洞窟の!!」


思わず小首をかしげてしまう。

封印とはなんなのだろう。

そんなコルの様子を読み取ったかは知らないが、明らかにしまったという表情を浮かべた青年はそれ以上何も言わず広場の方へと走って行ってしまった。


「洞窟・・・・いい場所みっけ!」


洞窟ならばどこかあれを隠せる場所もあるだろう。

コルは一度家に戻り、あの鉄の棒を布で覆ってから持ち出した。

そして、鼻歌を歌いながら洞窟の方へと歩き出してしまっていた。


        ◇

村長に一人だけで来いと言われおそるおそる村長宅に入る真志。

中では、床に高級そうな絨毯が敷かれ、壁には動物の頭の骨が何体も飾られている。

一見してみれば、かつてPKOで訪れた地の村長宅に似ている。


「これは村長が集められた物なのですか?」

「ほっほっほっ、珍しいですかな?」

「ええ、まあ、日本で生活していては見ることのできない物ばかりです」

「そうですか。どうぞ、これにお掛けになって下さい」


そう言われ目の前にあるソファー?に「ありがとうございます」と言ってから座った。


「それで話とは?」


時間が惜しいので、無遠慮だがざっくりと本題に切り込む。


「あなた方に少し忠告しておこうと思いまして」

「忠告?」


違和感は感じていたのだ。

だいたい、この世界の人々は自衛隊の奇妙な格好などに強い警戒心を抱く。

だが、目の前にいるエルフの老人は違う。

この人は゛何か知っているのだ゛。


「あなた方は遠からず激しい戦いに巻き込まれる」

「帝国との戦闘ですか?」

「違う。もっと禍々しいものだ」

「禍々しいもの?それは・・・・魔物の類なんですか?」

「何なのかは儂にも分からん。ただ、ある少女にこの事を伝えてくれと頼まれたんじゃ」


なぜ、その少女は自衛隊がここにくる事を予期できたのだろう?


「その少女はいまどこに?」

「分からん。もう2年も前の話じゃからの・・・・」

「2年!?」


門はその頃まだ開いていない。

どうして、なぜという疑問が頭を駆け巡った。


「他に何か言ってましたか?」


また、少年の行方を聞いた時と同じように唸り、何か思い出した顔をした。


「ああ、そうじゃった!確かあなた宛てじゃった」

「私ですか?」

「゛お兄さんは大丈夫ですか゛と」

「!!」


あまりに衝撃的な言葉に真志は自分でも気づかぬうちに立ち上がっていた。


「(なぜ、龍雅の心配を?しかも聞いてみれば、自衛隊がこの国を奪還するために上陸し、我々がこの村に立ち寄ることすら予期していた?。彼女は一体・・・・・・・)」


と、真志が考え込んでいるとバンッと荒々しく開けられるドアの音がした。


「村長!た、大変なんです!!」


見たところ青年のようだ(ただ、寿命が長いエルフに青年と言うべきかは迷うところだ)。

その青年は壁に手をつきながらこちらにゆっくり歩いてくる。

だが、体力も限界だったのだろう。崩れ落ちるようにしてその場に倒れ込んだ。


「大丈夫か!!」


慌てて駆け寄るのと同時に、近くで待機しているはずの玲奈を無線で呼んだ。




「隊長、特に異常は見られませんでした」

「ありがとう玲奈ちゃん」

「その呼び方、やめてください」


もう慣れたという感じで玲奈はそっぽを向いた。

一方で村長は青年から話を聞こうとしていた。


「それで、何が大変なんじゃ?」

「あいつが・・あいつが復活したんです・・・」

「あいつ・・・グレイプニルか!?」


村長が大声を上げる姿はついさっき知り合った真志達にも新鮮に映った。


「あの・・・・グレイプニルとは?」


意を決し、永井が訪ねた。


「あやつは昔、一人の古代人が封じられたといわれておる怪物じゃ。伝わった話じゃと口からは火を吐き、体には8本の触手があるらしいのう。その力を使い、街を3つも滅ぼしたとか」

「なんか、B級映画に出てきそうな怪物なのに、なかなかえげつないことをしますね」

「びぃきゅう?」


そんな村長の疑問の声を華麗にスルーしながら真志達は話を続けた。


「精霊の力では無理なのですか?」

「精霊達でもあの怪物相手では無理でしょう。せいぜい、足を止める程度・・・・おい、誰か村中に使いを出せ。一刻も早くここから離れるのじゃ」


彼に呼ばれた男たちが家を出て村中に散らばっていく。


「隊長、早く目的を果たしませんと」

「ああ、分かってるよ。けど、これじゃあ探しようがないな」


グレイプニルが来ると言われてから村は慌ただしくなっていた。

家々の前には荷馬車が何台も停まっており、住民たちが必死に荷物を詰めていた。彼らの邪魔をするわけにはいかない。


「地道に聞き込みをしよう」

「刑事じゃあるまいし、それでは見つかりませんよ」

「これ以外に方法ないだろ?永井、小隊から数名引き抜いて聞き込みをしてくれ。残りの隊員は避難誘導な」

「了解」


後は、時間との勝負だ。


     ◇


南にある洞窟に着いたコルは奥から聞こえてくる岩が崩れるような音に身を竦ませていたが、勇気を振り絞り中に入った。


「うわーなんだこれ?」


洞窟なので暗くじめじめしているのを想像していたが、内部の様子は少し違った。

ところどころ、引っ掻いたような傷がある。大きさは引っ掻いた程度のものではないが。


「ここにもいい場所無いなーもっと奥に行こうかな」


入り口付近から奥のほうまで続く道には窪みなどこの鉄の棒を隠せるだけものが一切無い為、コルの足は自然と奥へと向かう。

それに比例してあの岩を削るような音も大きくなっていく。

しばらく、歩くと道は途切れ代わりに大きな扉がその姿を現した。

この大きさなら大型の魔獣でも入れそうだ。


「よいっしょっ!!」


扉は錆びついているのか重く、かなり力を入れて押さなければ開かなかった。

どうやら、目の前には大きな空間があるようだ。今まで通ってきた道のような息苦しさはない。

だが、少し違和感を覚える。

この空間にはほぼ光はない。

かろうじてそこを空間だと認識できるのは壁に生えている光を放つコケとコルたちエルフの目の特殊性ゆえだ。

しかし、それを以てしても照らせない闇がある。不気味にもその闇は゛動いている゛。


「ん?って!うわああああああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・」


コルが疑問を抱くよりも早く何者かが足を掴み、闇へと連れ去っていく。

少年の悲鳴は空間に木霊していたが、やがて聞こえなくなった。


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