森の中のエルフ2
家内の問題で誤り、小説の一つを消してしまいました。楽しみにしていた皆様、本当に申し訳ございませんでした。
日本時間 1月3日 トュレン王国 森林地帯
木々が揺れ、小鳥たちが魅力的に鳴く中を一人のエルフが走っていた。
道はない。
だが、彼らはこの森に住む妖精だ。
道は周りの゛木々゛が教えてくれている。
すぐに少年の村が見えた。
一目散に自分の家へと駆けこんだ。
「おかあさーん!」
愛する母のを呼ぶ。
「なんだいコル?おや!なんだいそれは!?」
少年――コルに向けて彼の母は問うた。
そう少年が持っているのは細長い棒?のような物だ。
崖の上の川で休憩をとっていた変な緑色の服を着た者から奪って来たものだった。
「変な緑の服をした奴から奪って来たんだ!見たことないから、きっと高く売れるよ!」
「あんた・・・盗んだのかい?」
「え・・・うん・・・・」
母親の厳しい口調にコルは身がすくんだ。
「・・・家の・・・・家計の足しになると思って」
「それはいいの!!私が気にしているのはつけられてこなかったかってこと!!!」
コルは首をブンブンと首を横に振った。
あんな崖を飛び降りることができるのがここに住んでいるエルフ族だけなのをコルを含めた全エルフの周知の事実だ。
「そう・・それならいいわ・・・・怒鳴ったりしてごめんなさい」
そう言って安楽椅子に腰かけるとふぅとため息をつき、それっきり動かなくなった。
コルは汗で濡れた体を流そうと思い、゛鉄の棒゛を財産をしまう頑丈な箱に入れ魔法で封をした。
魔法の掛かり具合をしっかり確認して家を出た。
「やあ!コル」
家を出ると隣に住んでいるコルの親友のディルが声をかけてきた。
「やあディル!どうしたの?」
ディルは息を切らし、肩で息をしていた。
そんなコルの心配をまるっきり無視し、興奮した様子で話し込んできた。
「俺見たんだよ!」
「何を」
「あ、あのな!信じられない話かもしれないけど、今、北の崖の方から緑色の゛鉄の箱゛が3つ!走ってきたんだ!たぶんすぐにここに来ると思う」
「え!?」
いつもなら何を馬鹿なと笑い飛ばしていただろうしかし、それが盗みをした連中が乗っていた不思議な乗り物だと理解するのに時間はかからなかった。
盗みを働いた連中がここに向かって来ているという事実がコルに冷静さを失わせたのだ。
「ど、どうした?」
ディルもコルの変化に気付いたようで心配した様子で聞き返した。
「い、いや何でもないけど・・・・村長には話したの?」
「話そうとしたよ!けど、警護の連中が信じてくれなくて・・・『何が緑の不思議な鉄の箱だ。大人をからかうのもいい加減にしろ!!』って逆に怒られた」
しゅんとした様子でその時の様子を話してくれるディル。
コルが額から汗を流しているのはきっと暑いからだけではないだろう。
「ごめん!俺用事あるから!!」
強引に話を切ってコルはその場から逃げだした。
あの場に居続ければ自分のせいであいつらを呼び寄せたかもしれない罪の意識に耐えられそうになかった。
だから湯浴み場まで色々な人に話しかけられてもすべて無視した。
1月3日 午後 14時57分 トュレン王国 森林地帯
「たく、かかったかかった。迂回路見つけるのに時間がぁあああああ!!」
宮本真志は銃を損失したことについて無線でこっぴどく叱られ、しかも貴重な時間を削り崖の迂回路を探したことで今すぐにでも基地に帰ってベットにもぐりこみたい気分になっていた。
無論、そんな甘えは自衛官として許されないが。
幸い不可抗力であったので説教タイムは短かった。
「で、隊長。ここでホントにあってます?幸い、車両が通れるだけの道が整備されていますが・・・・これってもしかして」
「ああ、そうだろうな。二号車、送れ」
「はい、こちら二号車。どうします?これ」
玲奈が無線に出る。
彼女にも若干、声に緊張が現れていた。
「゛彼ら゛を刺激するな。矢を放てば・・・・撃て」
「了解」
しばらく車を走らせると、木で作られた壁のような物が見え始める。
壁の上部は槍のように尖っており、登るのは得策ではなさそうだ。
「うわーあんな壁、どこぞのサバイバルホラーゲームでしか見たことないぞ」
同じ車両に乗っている隊員が率直に自分の感想を言った。
苦笑いしながら、全車に無線をかけた。
「全車、銃をいつでも撃てるようにしておいてくれ。あと、三号車、キャリバーに給弾しておくんだ」
「2号車、了解」
「3号車、了解」
壁の中央にある門に前まで来ると車列は停止した。
なぜならば、門の前に集まる者達によって制止されたからだ。
「止まれぇ!!」
その声は裏返っていた。
その理由を誰かが口にする前にシェリーが言った。
「まあ、こんな鉄の箱が道を走っていれば誰だって驚くわね」
そんな事を言っている内にもエルフ達の警告は続いた。
「何者だ。姿を見せろ!」
言い終わるやいなやぞろぞろと森の中からエルフ達が現れ、車列の後方を塞がれてしまう。
「ああ、もう!仕方ない俺が行く」
「え!隊長!危険過ぎます」
「誰かが行かないと矢が飛んできそうだ。指揮官である俺が行く。何か異論があるのか?」
少し脅すような口調に永井は黙るしかない。
「決まりだな」
高機動車のドアを開け、森の大地を踏む。
もちろん、エルフ側はどよめいた。
「なんだアイツは!?」、「変な服装よね」など色々な声が聞こえる。
それも、リーダー格のエルフが「静まれ!!」と一喝すれば収まった。
「そなたは何者だ!名を名乗れ!!」
「私は日本国陸上自衛隊、特区派遣部隊所属、宮本真志2等陸尉です。私どもは・・・・・・・・」
だが、肝心の目的を伝える前に横やりが入った。
「ニホン国?そんな国は知らん!!さては我らをたぶらかすつもりだな!貴様はどうせ山賊だろうが!!」
真志は内心では、はぁあああああ!?、と大絶叫していた。
自分たちはまだ名を名乗っただけで目的を告げてもいない。
「いや、我々は山賊ではなく、目的があってここに来ただけであって――――」
「問答無用!!全員、弓を構えろ」
どうやら事態は最悪の方向に転がり始めたようだ。
『隊長!発砲します!!」
隊員達には危なくなれば自分の判断で撃って良いと出発前に言っている。だが、今は銃をぶっ放していい時ではない。
「待て!!」
『しかし!』
その間にも、弓は限界まで引き絞られ、こちらに向けられる。
「総員!はな――――」
「待つのじゃ!!!!!」
しかし、リーダー格のエルフの号令は最後の一句を言う前に新たな乱入者によって遮られた。
「そ、村長!」
現れたのは、年老いたエルフだった。
杖をついているがその足取りはどこか危なげであり、時々付き人であろう女性に支えられていた。
「いけません!そんな体で歩かれては」
リーダー格のエルフは悲痛な叫びを上げながら、村長に訴えていた。
だが、その頭に容赦なく持っていた杖を村長は打ち付けた。
「馬鹿者!!客人に対しなんという非礼をしてくれたのだ!!!」
だが、最後まで聞かずにそのエルフは地面に倒れこみ、意識を失った。
タイミングを計ったかのように後方から数人が現れ、そのエルフを運んで行った。
「あなたは?」
「ほほほ、紹介が遅れたの。わしはこの村の村長をしておるピケットだ。この村にあなた方が留まる間だけだが、よろしくのう゛ジエイタイ゛のみなさん」
なぜだか、今までと何かが違った響きを持った言葉だった。
真志がそのことについて疑問を抱くと心を読んだかのようにピケットは答えた。
「儂はそなたらが現れるのを待っとったのだ。しかし、ここで長話をするわけにはいかん。中に入られよ」
真志はその言葉に驚愕した。
「(待っていた?)」
だが、その意味を考える間もなく真志は何かに惹かれるように門の中に進むように全車に命じていた。




