魔海戦 前編
真志達が日本にいる間、特区でも戦いが始まろうとしていた・・・・。
日本時間 1月1日 午前7時30分 シーミス沖 ゛特区基地゛
「はぁーねむいーー」
起床してから1時間は経っているはずなのに眠そうに目を擦っている龍雅がいた。
「真志は日本に帰っちゃったし、最近は海自に出動要請もこないから暇だな」
龍雅はただただ海を見続けていた。
特区駐屯地 指令室
「うーむ、これはどうしたものかね?」
岡崎陸将は地図を見て唸っていた。
「そうですね、ここのところやけに行方不明者が多いです」
幹部の一人が言う。
事件の発端はシーミストの商人の話だが、ある日、商品を乗せて船を出したそうだ、その時行方不明船の一つに遭遇したそうでその船が目の前で真っ二つになるのを確認したそうだ。
船が真っ二つになった船の甲板を触手のようなものが這っていたという情報もあった。
ここ1週間の間になんと十隻もの船が行方不明になっていた。
「シーミスト王国でも捜索が続けられているそうですが、見つかったのは船の残骸だけだそうです」
「この件に我々は動けないしな・・・・・」
そう自衛隊は防衛大臣の承認がなければ動けないのである。
「王国の要請があれば動けるんだが・・・・・」
災害派遣でもそうだが市町村の要請があり防衛大臣の承認が受けられれば派遣することができるのだ。
「それは難しいでしょう・・・・講和が成立したとはいえ、まだ我々を異世界から侵攻してきた残虐な軍隊という認識がまだ多いようなので・・・・・」
その時、ドンとドアを破るかの如く一人の幹部が入ってきた。
「ドアはゆっくり開けるもんだろうが・・・・」
「すいません!ですが、急いでお伝えしなければならないことがあります」
やけに興奮気味の幹部が告げたことはその場の全員を驚愕させた。
「な・・・・治安維持の一環として行方不明者の探索を行えと?」
「そう書かれています」
「けど、どうやって要請したんだ?」
「外務省を通ってきたそうです」
「うーむ」
幹部たちは考えていた。
どの艦を送ろうかと。
「あいつでいいんじゃないか?」
「ええ、あいつしかいませんね・・・」
この場にいる全員が一人の艦長を脳裏に浮かべた。
「で、俺になったと?」
龍雅はいかにも嫌そうな顔をしながら言った。
「まあ、そんな嫌な顔をすんな」
「まあいいですけど、どうせ暇でしたし・・・・」
日本時間 1月1日 午前11時30分 イージス艦『みかづき』
「出港30分前になりました。出港準備作業に入ります、艦長」
「わかった」
『みかづき』の久しぶりの出港なので乗員達は張り切っている様子だった。
「出港準備ー!」
「艦内警戒閉鎖。前部員錨鎖つめかた」
しばらくし、報告が上がってくる。
「艦内閉鎖チェック終わり、不良箇所なし」
龍雅が口を開く。
「航海当番配置につけ」
錨の巻き上げが一旦ストップされる。
「出港三分前、ラッパ用意」
2分が経ち、再び声が上がる。
「出港一分前・・・・」
「ラッパ用意よし」
「出港用意」
ラッパ手が軽快な出港ラッパを吹奏した。
「出港よぉーいっ!」
艦長が命じる。
「錨上げ!」
メインアンカーが船首に収まった。
「甲板片付け!」
「錨甲板よろしい。通常航海となします、艦長」
そして、『みかづき』は駐屯地を後にする。
そう、彼らは知らないのだ。
これから起こる海戦がシーミストで語り継がれていく、伝説的な海戦になることを・・・・・・。
また、投稿が遅れてしまい申し訳ございませんでした!!言い訳に聞こえるかもですが、家の事情があり書けませんでした。改めて、すいませんでした。
後、出港作業の一部が抜けています。