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wars world 自衛隊戦記  作者: ほわいと
15/24

故郷 後編

「一月一日の夜だからなー」

「わかった、わかった」


真志はそう言うとドアを強引に閉めた。


「シェリー今度からそういうことは言わないでくれよ」


シェリーはクスクス笑いながら答える。


「ええ、分かったわ、ああ、ホントニホン人は面白いわクスクス」


真志は、ダメだこりゃ、と諦めて寝床をどこにするか、確認した。


「二人ともどこで寝る?」

「(そういえば寝るところなんて考えてなかったわ・・・・あ、そうだ!)」


シェリーがなにか思いついたような顔をしたので真志はなぜか嫌な予感がした。


「マサシとがいいわ・・・ダメ?」


こんな事を言われたら断ることが憚られてしまう。


「俺のところ狭いがいいのか?」

「ええ」

「本当に?」

「ほんとに」


ここまでしつこく聞いて気持ちが変わらないのだったら仕方ないと真志は一人で納得し、しぶしぶokした。


「(まあ、こんな美女と同じ部屋で寝れるんならむしろ感謝しないといけないのかな・・・)」

「で、パティはどうする?俺のとこで寝るか・・・?」

「いえ・・・わたしわぁ・・・おかあさまとぉ・・・寝させていただきますぅ」


やっぱり、少し口調がおかしいかったが、親しげに話していたようだし大丈夫だろう。


「まあ、ゆっくり過ごしていけよな」


それからは、割と平和な毎日であった。


年を越す前には紅白歌合戦を見て、翌日にはお雑煮を食べて新年を楽しんだ。


そして、問題の同窓会の時間になった。

車の中ではシェリーが昨日見た紅白歌合戦の事をどれだけ素晴らしかったか語り、パティは大分打ち解けてくれたようでお雑煮がとてもおいしかったと喜んでいた。


「よぉ真志、時間通りだな」


感心したように店先で待っていた黎が言う。


「みんなもう集まってるのか?」

「おう、みんな一足先に来てるぜ。時間通りに来たお前が最後さ」


焼肉屋に入ると伝えに来た時に来た者達の他に担任の先生やあの時いなかった、仲間が揃っていた。

どんどん肉が運ばれて来て、なぜか肉焼き担当になった真志が焼いていく。

不満を漏らすと、素っ気なく受け流されてしまう。


「こんなに肉を食べたのは初めてだわ」


と、肉を口いっぱいに頬張っていた。

パティも静かだがおいしそうに食べているようであった。


「まさしぃ、いい子もってるじゃなぁい」


酔った志穂が言う。

真志は慌てて弁解する。


「だから、違うって・・・・・」

「うそぉついてもぉバレバレよぉ?」

「嘘なんかついてないって!」


だが、必死の弁解も虚しく、誤解が広まった。

担任の先生まで、マジかよ、という顔をしていた。

また、あの苦しい説明を繰り返し、なんか腑に落ちないけどまあいっか、みたいな感じでおわった。

そろそろ、出された肉が尽きてシェリー達が眠くなり始めた頃だった。

真志はシェリーはこっちで数えると25歳だがまだまだ子供っぽいところもあるシェリーを複雑な表情でみた。


「なぁ真志」


先生が唐突に切り出してきた。


「なんですか?先生」

「せんせいはよしてくれ、もう引退したんだから」

「けど、自分にとっては先生はまだ先生です」

「そうか・・・なぁあの子ほんとにお隣さんの子なのか?」


真志はびっくと体を強張らせた。


「本当はなんかあるんじゃないか、俺にはお前の態度からしてそうとしか思えない」

「それは・・・・・」


真志が言うことができないでいると店の入り口の方から悲鳴がした。

そして、緑の服を着た者達がこの平和なはずの日常へと介入してきた。

もちろん、自衛隊員ではない。


「おたくら、ロシアか?」


図体のでかい男が前にすぅーと出てきた。

顔は無表情で気味が悪かった。


「ドウコウシテモラオウカ」


あまり、うまいとは言えない日本語が聞こえてきた。


「はぁー」


深い深いため息をついた。

もちろん、自分を排除してから連れて行くつもりだろう。


「そう簡単に渡すわけにはいかないんだよね」


まるで、漫画に出てくる主人公のセリフを言い真志は身構えた。

一触即発の空気があたりを支配した。

だが、その空気も新たな介入者によって破られてしまう。

銃声が鳴り響く。

誰の者かも分からない悲鳴がする。


「クリア!」


第三者ーアメリカ特殊部隊Navy SEALsだった。


「ニゲヨウ、キミタチハネラワレテイル」


まだ、少し違和感がある日本語だったが特に気にしなかった。


「シェリー、パティ、ずらかるぞ!」


パティは寝ていたようだがシェリーが叩き起こし、いそいそと SEALs隊員についていった。


「あ、あ・・・真志・・・どうゆうことなの・・・?」


まだ、ショックが抜けきらないのかみんなの顔から血の気がなかった。


「はーー正直に言いますと彼女たちはあっち・・・いや新しくなったな、特区から来た者さ。俺はその護衛ってとこかな」


9㎜拳銃のスライドを引き、薬室に初弾を送り込みながら、平然と言い放った。


「じゃあ、みんな楽しかったよ、また、会おうぜ」


呆然としながらもみんなは俺が手を振るとなんとか振り返してくれた。


「予定は?」


SEALs隊員から予定を聞き、真志はバンの後ろに乗っているパティとシェリーの元へと向かった。


「空港は待ち伏せされてる可能性があるから、車で東京を目指すぞ」

「大丈夫なの?」

「大丈夫さ、8時間くらいかかるから寝てていいぞ」


真志は内心、なにも起こらなければいいと願っていた。



更新遅くなってしまい、本当に申し訳ありませんでした。

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