呪詛
浮気・ヒモ・DV・レイプ、あらゆる女性に対する悪を尽くし続ける男が居た。
ある日男が行きつけのバーで飲んでいると、見知らぬ女が男の横に座った。
男はこの女を持ち帰っておもちゃにしようとあれこれと甘く囁くが、女は聞き流すだけだった。
ふと、女は男の太ももにその華奢な手を乗せ、静かに耳元で囁いた。
「私にはわかるの・・・。あなた・・・必ず死ぬわよ。」
無表情で語る女と、男の何もかもを見通したような仄暗い瞳で女に見つめられた上に『必ず死ぬ』と言われ、男は怖くなって金を置いてバーを去った。
それから男は外に出ることが怖くなり、とうとう1人で家に引きこもり、最後には自殺した。
遺書には
『ごめんなさい。許してください。』
と書かれていた。
ある日、例の女がバーに行くと、噂を聞いたバーテンダーが噂の真相を聞いた。すると女はあの以前の不気味な様子とは裏腹にカラカラと陽気に笑って答えた。
「あたしの友達があいつに浮気されたって聞いたから、ちょっと懲らしめただけよー。なのに間にうけちゃって。」
「懲らしめたって・・・何をしたんですか?」
バーテンは気になって思わず固唾を飲む。女は上目使いでニヤリと笑ってみせた。
「『あなた・・・必ず死ぬわよ。』って言ったの。人間ていうか、生きてるものって必ず死ぬじゃん。それを何を勘違いしたんだろうねぇー。」
女は豪快に笑いビールをジョッキであおいだ。
だが、やましいことだらけの男にとって、その言葉は呪いにしか聞こえなかったのだろうとバーテンは思い、背筋が寒くなった。