永遠に続く孤独な名
『泣かないで下さい。アナタの願いを叶えて差しあげます。私の個人的感情のせいで傷つけてしまった四人の子供たち…。その内に秘めた願いを言いなさい。』
遼介が言った。
「いつでも皆に会いたい。」
続いて澪架。
「遼介やみんなの見てきたものに触れたい。」
そして真央。
「姫としてではない。一人の人間としての人生を経験したい。」
最後に由紀が…。
「みんなが幸せになれる未来を…。」
その時、部屋中に眩い光が溢れ、四人はとっさに目を閉じた。再び目を開けたときは美しい空や緑の中にいた。近くには白い大きな家が建っていて甘い匂いが鼻を付く。真央も由紀も澪架も目を見張った。ただ、遼介だけは固まったままだ。
「遼介…ここ知ってるの?」
澪架は硬直したまま動かない遼介が心配になって顔を覗き込む。澪架の顔を確認したとたん、遼介の頬を涙が伝った。
「ここは…ボクの家だよ。」
遼介が呟くと家の扉がキィィィと音をたてて開いた。でてきたのはさっきまで目の前にいたはずの遼子だ。
「ここは真央様たちの時代にも、澪架様の時代にも通じている中継点です。三人とも…いつでもココに来て下さい。それがアナタ方の願いですから…。」
「あなたの本当の名前は?」
遼介は遼子の姿をした神にたずねた。
「私は…葉月というのですよ。」
そう、あの心優しい神は四人にいつでもあえるという奇跡を起こしてくれた。
遼介と澪架の願いを叶えた自由に行き来できる扉。
それによって、真央と由紀の願いも叶えられた。
これからも俺達は自分の人生を生きる。
神がくれた奇跡の出会いを無碍にしないために…。
そして何より、自分自身のために…。