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惑星サイダー  作者: あろ
生徒会「惑星」
2/6

1.生徒会に入ってみて

━━━━━━━━━━━━━━━━━


金星side


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俺は、高校からこの学園に入学したものの、

特にやりたいこともなく部活動も特に入らずにいた。


学校の授業を受けて、家に帰って、家の手伝いをし、

一通り終えたら自分の部屋で勉強して、

次の日また学校へ…。


そんな平凡な日常を過ごして、

高校生生活もあっという間に終わるのであろうと、

当時は思っていた。


「生徒会」に入るまでは―――。


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「なぁなぁ、聞いてる?!」


真横にいる水星が俺に、そう声をかけてきたが

うるさいくらいに元気な声で、うんざりする。


「なんだよ、鬱陶しい。」

「ちぇっ、つれねーの。少しくらい優しくしろよ~」

「これでも優しくしてるつもりだけど?」

「どこがだよ!」


水星が俺に反論した瞬間、


「そこ、うるさいぞ!静かにしろ!」


近くにいた天王星に怒られてしまった。


「!すみません…」

「…すみませんした~」


そう、ここは生徒会室。

2~3年で構成されており、現在8名がここに所属している。


この学園の生徒会は少し他と異なっており、

2年が3年から業務引継ぎをするため、補佐としてメンバー入りし

3年になってから正式な生徒会として活動できる、という仕組みだ。


そのため、定期的に集まりがあり、徐々に業務内容の引継ぎしていくのだが、

最初は根本的に何をするのか?などの目的や理念などを頭に入れておく必要がある。


要はオリエンテーションみたいなことだ。


ただ3年生も暇なわけではない。特に受験勉強の合間を見て、

業務をこなしたり、話し合いをしている。

正直担当教師もいないわけではないが、ここの学園は基本放任主義だ。

生徒会が決めた事をまとめて学園長に話を通すだけ。


なので、とりわけ一からきちんと説明を受けるというよりかは

資料みたいなものを渡されて各自で読む、といった形だった。


そこで堅苦しい文章が連なっている資料を見て、

いまいちよく分からず困っていた水星が

俺に聞いてきた、といったところだろう。

(俺自身、集中していて水星の話は聞いていなかった)



「というか、俺に聞くなよ…」



そもそも俺だって入ったばっかなのに、聞かれてもわかるはずがない。

頭にはもちろん入れるが、それを理解しようとする時点でお門違いだ。


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俺たち2年は、生徒会で会議するときに使用するテーブルのソファに座っており、

3年生は近くのPCデスクがあるテーブルに座って作業したり、業務の話をしている。


俺と水星の前にテーブルがあり、その目の前に地球と火星が座っている。

水星は1年の時から同じクラスだった為、顔見知りだったが、

地球と火星は生徒会に入ってから始めて知り合った。


地球は資料に興味ないのか読み終えたのか、

資料をペラペラと開きつつ、いかにも読んでいる風を装っている。

そんな地球の姿を横目で見ていた火星は、ドン引きしていた。

深くは話していないので、よくわからないが、

地球と火星自体も恐らくここで、始めて知り合ったのであろう。


「(なんだか、先が思いやられるな…)」


実は今いる2年は皆、1年時に生徒会に入るにあたり、

他薦ではなく自薦で立候補していた。


従来は生徒会は人気があり、立候補者も多く

演説や選挙なども本来は行われたりするようなのだが、

俺らの代は何故かそんなに人気がなく、

立候補者が俺を含めた4名しかいなかった。


そのため、従来では有り得なかったであろう

生徒会入りを自動的に果たしてしまった。

(過去在籍していた生徒会の皆さんには申し訳ない…)


しかし火星はともかく、なぜ水星と地球は

生徒会に立候補したのか、いまだに謎である。


「なにか、お困りのようですね?」


―――すると、先ほどまで土星と話していた木星が、

2年のいるテーブルに近づいてきた。


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「ふ~ん。なるほどね~」


ついさっきまで騒がしかった水星が、木星の丁寧な説明により、

分からないところが少し分かったようだった。

(実際に本当に分かっているのかは定かではない)


「おい、敬語で話せよ…」

「あ、わりぃ」


ボソッとつぶやいただけである、と思いながらも

このままの調子だと先輩に対してもタメ口で話しそうだったため、

俺は水星に釘をさす。


「会長、多忙なところお時間いただいてありがとうございます。

自分も正直分からない部分もあったので助かりました」


水星が失言しても困るので、俺は水星よりも先に

生徒会会長である木星にお礼を言った。


「いえいえ、また困ったことがあればいつでも声かけてください」

「あ、結局金星も分からなかったんじゃ~ん!」


横から水星が茶々入れてきたが、そんなのは無視だ。


俺らのやりとりを見て、微笑む程度で木星は注意をするどころか、

その後も、何だかんだ嫌な顔もせず色々と話してくれた。

接している姿は1学年しか変わらないのに、

とても大人びていて、心の器も大きくて尊敬する。



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木星は、常に生徒会以外の誰に対しても、丁寧に接する。


しかも、鉄壁の微笑み顔で、感情的になっているところを

ほとんど誰も見たことない、と噂で聞いたことがある。

それを常に為すことは、ある意味凄いことではあるが、

正直俺は、この人に会うまでは不気味というか怖いとすら感じていた。


しかし、実際に生徒会に入ってみて観察してみると、

意外とそうでもないということが分かった。


水星に対してもそうだが、突発的に不思議な言動をする地球に対して

不思議そうに見つめていたり、少し驚いた感じを見せたりもする。


また彼が面白いと感じた時は、少し表情が緩くなる感じで、微笑む。


全生徒の前だと、どちらかというと自信たっぷりで

余裕の微笑み顔といった感じなので、

最初はナルシストとか自信家だと勘違いされることも多い。

そのため、そのような表情をすることに最初は驚いた。


あと、もちろん困っているときにこうして声かけてくれるのもそうだが、

火星が終始困ってそうな表情していると、

大丈夫だろうか?といった心配そうにしている表情をして

様子を見ていることもある。


このように、実際に接してみると表情は意外にもコロコロ変わっていて、

確かに感情を取り乱すようなことはないが、

そこまで鉄壁!といったようなものではないと、

ここ数日見ていただけでも分かった。


ただ、こういうタイプは怒らすと絶対怖いんだろうな…とも思うので

穏便に接したい、と思ったりもする。



どちらかというと、鉄壁の表情をしているのは、

―――土星のほうだ。



━━━━━━━━━━━━━━━━━



土星は、表情も崩れないどころか、

口数も少ないし基本話しかけないと話してくれない。

たとえ、生徒会のことで分からないところを聞いたとしても、

「うーん…木星に聞けばいいんじゃないかな?」と、バッサリ切られる。


さらには、毎回いつの間にか消えていなくなる。

もちろん生徒会室に入るのだが、奥に給湯室があり、

土星は業務を一通り終えると、いつもほとんどそこにいる。


給湯室にはIHコンロや電子レンジ、冷蔵庫など設備が整っているのだか、

いつの間にかそこにいて、急に現れたと思ったら

手作りのお菓子をもって出てくる。しかもそれも毎回だ。


最初はお菓子を購入してきたのかと思い、木星に聞いたところ

きちんと手作りで、なんでも料理やお菓子作りが好きのようだ。


俺は知らなかったのだが、実は土星は家庭部に所属し

あんな感じでも部長もしているようだ。


腕前は、市販で売っているものと

大して味が変わらないと思えるほど美味しいものだった。


正直俺は、土星のほうが何考えているか分からないし、

話すにも常にシャットアウトされるため、

どうすればいいか分からない。


また話しかけにくいのは天王星もそうなのだが、

彼の場合は短気で口調がきついだけで

話した内容に対しては、きちんと受け答えはしてくれる。


ただ水星や地球が的外れな言動や、答えても意味がないようなことをしたりすると

「自分で考えろ!」と突き放したり、問答無用で怒ったりすることも、

しばしばなので、その場合は海王星がすかさずフォローに入ってくれる。


海王星は、いわゆるアニキ肌な感じのタイプなので、一番面倒見はいい。

木星とはまた違った感じで、色々気にかけてくれている。

注意するというより、気をつけてな?みたいな感じなので、

おそらく後輩からも信頼も厚いタイプだろう。


また性格も明るいので話しかけやすいし、

終始緊張しているような火星でも

海王星に対しては自分から質問しやすいようだ。



━━━━━━━━━━━━━━━━━



このように、俺は生徒会に入ってまだ間もないが

個性豊かな人たちと数日間関わり、

なんだか今までの生活には戻れないような…

そんな感覚を覚え始めている。


と、同時に今後は2年だけで進めていくので

このメンツで…と考えると不安もあり、

とても順風満帆には行かなそうな気もしている。




でも、生徒会入り、初日に木星が言っていたことを思い出す。


「この学園で過ごした高校生活が充実していて、思い返せば有意義なものになったな、

と思えるような学園にしていきたいですよね」



微笑む顔が、自信にあふれるような余裕のものではなく、

意思の強さがにじみ出るような、決意を感じるものに変わったのが

一瞬にして感じ取れた。



「そのために私は生徒会に入り、生徒の皆さんのおかげで念願だった会長になりました。

ただ私一人で、より良い学園にすることはできません」



今いる3年や2年のメンバーを見て、木星は続けた。



「ここにいる、生徒会メンバーの皆さんの力が必要なのです。

なので、皆さんの意見や改善案などあれば、遠慮なく言ってください」



そう言って木星は、生徒会にいる全員の前で頭を下げた。




この時、俺は驚いたと同時に、正直そこまで考えて

生徒会入りをしたわけではなかったので、考えを改め直した。




平凡ではなく、充実した高校生活―――。




「(今後も色々とありそうだが、それも悪くないな…)」


そう思っている自分に少し苦笑しつつも、

これから生徒会で過ごす日々に胸を躍らせていた。


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