表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変幻G在! ~ゴーレム頼りで異世界サヴァイヴ~  作者: いけだけい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/100

ep97 "宝石板"詐欺にご注意

"宝石板"の開封について聞くため、冒険者ギルドのギルド長であるロザリンドの部屋を訪ねた。



コンコンコン


「誰?」


「ジオです、ちょっとお聞きしたいことがありまして」


「?どうぞ」



一瞬の間があった返答だが、とりあえずは話を聞いてくれそうなのでゴーレムと共に入室する。



ガチャッ、キィッ……パタン



「失礼します。お疲れ様です」


「お疲れ様、ゴーレムの噂はもう届いてるわ。活躍させているようね」



今日も露出が多めな真紅のドレスを身に纏った彼女は、挨拶を交わしながら席を立つとゴーレムに近づきそう言ってきた。


町中や"遺跡"でゴーレムを連れ回していることがロザリンドの耳に届いているということは、「余計な揉め事を回避するために実力を誇示する」という目的を果たせているということだろう。


そう思っていたところ、彼女はゴーレムに手を伸ばして尋ねてくる。



「触っても大丈夫かしら?」


「どうぞ」


「じゃあ……」


スリスリ……


「へぇ、石で出来てるのね。欠けたりしないの?」


「核になっている魔石の魔力が続く限りはしませんね。傷を負う代わりに魔力を消費しているようですが」


「その辺りは普通のゴーレムと同じなのね。これってどうやってゴーレムになってるの?その辺に落ちてる石を使ってたりする?」


プルッ、ユサッ……



ロザリンドは興味津々なようで、屈んだり身体を傾けたりしながら質問を続けた。


その動きでドレスの中が見えそうになるが、本人としては真剣らしいので気にせず答える。



「えーっと……俺のゴーレムは魔石を目印にして、何処からか呼び出してるって感じですね」


「そう言えば、ここで霧や氷の壁を出してたわね」



ここでも外部向けの説明をすると、その時の事を思い出してか彼女は若干顔を赤くした。


自分から突っかかってきたせいなので俺を責めるような目はしていないが、恥ずかしくはあるのか話を進める。



「じゃあ今呼び出してみせられるの?」


「構いませんよ」



"格納庫"に存在しない素材を使ったものでなければ問題はない。


なのでそれを承諾し、新たに石のゴーレムを人型で出現させる。



フッ


「へぇ、呪文や儀式は必要ないのね」


スリスリ……



新たに出現した石のゴーレムも軽く撫でるロザリンドだが、今度はその感触について尋ねてくる。



「というか……表面がやけに滑らかね。これは自然とこうなってるの?」


「呼び出した際の素材によります。俺がゴーレムを変形させられますので、滑りやすい表面で攻撃を受け流せるようにそうしてます」



一言で石と言ってもいろんな石があるが、大体のものは磨けば滑らかになるからな。



「なるほどねぇ。でもそれだと足が滑ったりはしない?」


「あぁ、そこは考えてます。足の裏や手は滑りにくいように変形させてますよ」


「んー……あぁ、確かにざらついてるわね」



打撃や何かを掴むことも考慮してあり、それに使いそうな部位の表面は滑り止め加工をしてあるのだ。


詳しく言えば、小さなピラミッドが並んでいる状態だな。


これで衝撃をしっかり伝えることができ、滑って掴み損ねることもない。



「手の平や拳の打撃面もそうなのね、ほうほう……」


ペシペシ



それも確認した彼女はとゴーレムの胸板を叩きながら、思い出したように俺の来訪目的を聞いてきた。




「……あ、そういえば聞きたいことがあるからって来たのよね?何?」


「ええ。"宝石板"のことなんですが、中に入っているものが危険なものである可能性もありますよね?」


「そうね。マジックアイテムは呪われていることもあるし、それ以外のものも水かと思ったら強力な酸だったこともあるわ」



容器などに入っていたわけではないらしく、開封したその場にドバッと溢れて広がったそうだ。


もちろんその場にいた人間はただでは済まず、最も近くにいた者は大きな火傷を負ったとのこと。


罠じゃないかと思ったが酸に使い道がないわけでもないだろうから、何らかの容器の中で開封していれば被害は出なかったのかもしれないな。



「そんなことがあるんですか。そうなるとその辺で開封するのは危険なんですね」


「そうよ。だから弓矢や魔法で割ったりしてるわね」


「やっぱりそうなりますか。となると……開封するには広い場所が必要なはず。この町の中にそんな場所はあるんですか?」


「町の中っていうと……まぁ、なくはない……わね」



微妙に含みのある言い方だが……まぁ、予想はつく。



「何か問題があるんですか?」


「ええ。"遺跡"の中だから」



やはりそれを選ぶ者もいるのか。


"遺跡"の中で開封すると出てきたものが大きければ持ち出せなくなってしまうが、それでも秘密裏にという点を重視する場合は候補に挙がるのだろう。



ロザリンドが続ける。



「外部に大金が入ると知られるのはどうしても危険だからね。目立って悪いことを考える者も近づいてくるでしょうし、そんな連中に手加減は期待できないでしょう?だからなるべく秘密にするというのが最優先と考える者もいるのよ」


「持ち出せないような大きな物だったら、消えてしまって損することになりますよね?それでもってことですか?」


「慎重な者がいれば、だけどね。大手のグループだと喧伝するために外で開封したりするわ」



大手なら下手に手を出してくる者はいないと考え、組織としての実力を誇示するのに利用するようだ。


最大手の"総撃"などは代表者が貴族だと聞いたし、それでなくても戦力的に無理だと判断されるのだろう。


ただ、気になる点がある。



「それで"遺跡"の中を選ぶ場合もある、と。でも秘密なら貴女が知っているのは何故ですか?」


「それはまぁ……私もそうしてたし、他のそうしてる人達から見聞きしてたからね」


「あぁ、そうなんですね。というか……貴女も冒険者だったんですか」



その言葉に彼女は胸を張る。



「でなきゃギルド長なんて出来ないわよ。冒険者って荒っぽいのが多いから、それなりの実力がないと言うことを聞かないって連中が多いし。まぁそれでも素行の悪い連中はいるけど、ギルドの目を気にせずにというほどの連中はそこまで多くないわ」


「イスティルじゃギルドの中で受付嬢に手を出そうとしたのがいましたけど……」


「あぁ、それは田舎のギルドで止められる職員が少なかったからでしょう。ここはそれなりに多いから、少人数ならあからさまに狼藉を働く者も少ないのよ」


「なるほど」


「まぁ……目立たないってだけでいないわけじゃないけどね」



今度は肩を竦ませて言うロザリンド。


俺も一応は監視役という立場になっているし、スレッタさんの護衛もあるので気をつけないとな。


そう思っていると……彼女は俺に尋ねてくる。



「で、"宝石板"について聞いてきたってことは手に入れたの?」


「わかりますか」


「そりゃあ、聞いてきた内容が内容だしね」



まぁ、そうだよな。


誤魔化しても良かったが……"鑑定"のマジックアイテムを使ってもらえるように頼むことがあるかもしれないし、なるべく誠実に言っておいたほうが良いだろう。


というわけで、俺は持っていた布袋の中から1枚の"宝石板"を取り出す。



ゴソゴソ……


「はい、これです」


「ふむ……見た目は本物ね」


「え、偽物もあるんですか?」


「あるわよ?高価なものが出てくるかもしれないって言って詐欺師が売りつけるやつ」


「そんなのもいるんですか……でも、何も出てこなかったらすぐにバレるんじゃないですか?」


「バレるわね。そもそも高価なものが手に入るなら自分で開封してるでしょうし」


「ですよねぇ」


「それでも本物を証明するためにって自分で開封して、事前に用意しておいたちょっと良いものが出てきたように見せる奴が偶にいるのよ」



手品か?



「それで本物を扱ってるように思わせる、と」


「そういうこと。厄介なのはそれで騙される人が偶にいるってことなのよ」



"宝石板"は珍しいのだし、見かける可能性が高い冒険者でもパッと見た限りでそれが偽物だと判別できない。


一応、騙される人が減るようにとギルドで本物を参考にして見本を作り、誰にでも見られるようにしてあったそうだが……



「その見本を参考にして偽物が作られたみたいで、逆に判別しづらくなったから片付けたそうよ」



とのこと。


その結果、"宝石板"は珍しいものだから売ってくれる人はいるわけがないと通達することになったらしい。


だが……



「それでも騙される人はいるんですか」


「その通達が届きにくい人もいるからね。主にスラム街だけど、困窮してる人は言っても聞かずに大金を夢見て買ってしまうみたい」



一発逆転を狙ってか。


働き口は限られているし、別の土地へ行くにも金は掛かる。


荷物が少なかったとしても魔物や盗賊がいるので、自衛できなければ冒険者を雇わなければならないからな。


となると困窮した状態から抜け出すのは容易でなく、冒険者の荷役などで凌ぐかこういった賭けに出るしかないと考えてもおかしくはないか。


スラム街に行く予定はないが、騙されそうな人を見かけたら止めてあげよう。


にしても……スラムか。


俺の能力がずっと使えるとも限らないし、困窮する可能性があるとなれば金を貯め込んでおいたほうが良いな。


冒険者以外では"アイリス亭"で開く浴場の収入もあるが、他にも稼ぐ手段を考えておこう。


物を自由に変形できるので、ちょっとした小物を安く大量に売るとかな。


何なら100円均一のような売り方でもいいし、需要がありそうなものを聞き込むか。


まぁ、これはスレッタさんの護衛が終わったらだな。


今はそっちに集中しないと。




"宝石板"詐欺の話が終わり、今俺が持っている"宝石板"についてロザリンドに尋ねられる。



「で、どこで開封するの?」



価値の高いものが出たとして、オークションに出せば落札額に応じた手数料がギルドの利益になるらしい。


だからか、彼女は俺の"宝石板"から現れるものに期待しているようだ。


手放すとは限らないのだが……開封する数が多ければ売る可能性はあるか。


まぁそれはいいとして、開封場所を決めないと。



「うーん……」



秘密にするなら"遺跡"の中かな。


"四方攻め"の部屋など、人の目がない場所は人の多い1階にもあるわけだし。


大きなものであれば持ち出せずに消えてしまうが、"宝石板"の数は稼げそうだからそこは数で補えばいいだろう。



「じゃあ、"遺跡"の中で開封してみます」


「そう。必要なら"鑑定"のマジックアイテムを使ってあげるから持ってくるのよ?」



お、こちらから言わなくても"鑑定"してくれると言ってくれたか。


都合よくそう返してくれたロザリンドに俺は頷き、今回はこれでお暇することにした。

お読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字・誤用などがあれば報告をいただけると助かります。

よろしければ評価も付けていただけますと幸いです。

カクヨムで先行公開しておりますので、先が気になる方はそちらをどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ