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変幻G在! ~ゴーレム頼りで異世界サヴァイヴ~  作者: いけだけい


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ep78 アイリス亭の前で一騒動

冒険者ギルドにて。


俺の査定表の内容を秘匿するため、"金戦華"の専属受付であるパメラさんに換金などの手続きを頼むことになった。


とりあえずは50万コールを現金で受け取り、残りは冒険者ギルドの口座に入金することとする。



「では承りました。あぁ、護衛依頼のほうもこちらで処理しておきましょうか?」


「いいんですか?」


「ええ。"金戦華"が受けた護衛依頼もありますし、そのついでに処理しておきましょう」


「じゃあお願いします」


「かしこまりました」



そうして、自分の報酬については口座へ入金しておくことにし、パメラさんは奥のドアから何処かへ行った。


実際にお金を動かす処理は、ギルド内でも厳重にセキュリティを固められた部署でしか行えないらしい。


少し待っているとパメラさんが戻り、俺に追加で尋ねてきた。



ガチャッ


「お待たせしました。お金の処理はどれも無事に済みましたが……ジオさん、ギルド長からランクのほうを上げても良いとのご連絡が来ておりますが、如何されますか?」


「ランク?あぁ……」



ロザリンドは黒いオークを倒した実績とは別に、監視役としても俺に期待しているようだったな。


なので箔を付けるためにランクアップの許可を出していたのだろう。


上げてもいい、ということは俺が決めていいということだな。


冒険者としてはまだ経験が少ないとは思うが、貴族であるスレッタさんの護衛もするとなればなるべく絡まれにくいようにしておくべきか。



「じゃあ、上げておきます」


「わかりました。では登録証を」


「はい」


「……確かに。では少々お待ちください」



そうしてパメラさんは再び部屋を出ていき、しばらくすると戻ってくる。



「お待たせしました。ご確認ください」



そう言って渡されたのは……Bランクと刻まれた俺の登録証だった。


また2段階アップか。


ギルド長の権限で可能だとは聞いていたし、都合は良いので素直に受け取っておく。


すると、ベルガさんが祝いの言葉を口にした。



「ランクアップおめでとうございます」


「あぁ……ありがとうございます」



そう返す俺にビーナが聞いてくる。



「何よ、嬉しくなさそうね。Cランク以上は他の冒険者から一目置かれるし、普通はお祝いされるぐらいにおめでたいことよ?」


「偶然みたいなものだからなぁ」



ビーナがいたから俺の窒素ゴーレムに黒いオークを引き込めたわけだし、こいつのお陰で奴を倒せたと言っても過言ではない。


なのでいまいち喜べないのだが、そのビーナは呆れたように言う。



「偶然でもまぐれでも、冒険者は結果が重要なんだから素直に喜べばいいのに」


「思うところがあるとそうはいかないんだよ」


「ハァ、難儀な性格ね」



俺の答えにやはり呆れるビーナだが、そんな彼女にベルガさんが言う。



「ビーナ、ジオさんが納得されることも重要よ。一応の進言をするとしても、御本人がそうだと仰るのなら我々がどうこう言うことではないわ」


「は、はい」



ビーナはとりあえず納得したようなので……これを以て報酬の手続きは終了となり、俺はベルガさん達と共にパメラさんの部屋を出た。





俺達はそのまま冒険者ギルドを出ると、ベルガさんとビーナの案内で部屋を確保してもらった宿へ向かうことに。


マリベルさんはギルドの宿舎へ向かうかと思われたが、今日はベルガさんと過ごす予定らしく同行を続けている。



ワイワイ……ガヤガヤ……



そうして、帰還した冒険者達で賑わう町の中をしばらく進むと……いくつかの商店などが並ぶ中、3階建ての飲食店らしき建物が見えてきた。


するとベルガさんがその建物を指して言う。



「あぁ、あちらです。"アイリス亭"と言って1階は食堂になっておりますが、2階から上は宿になっております」


「へぇ、そうなんですか」



見た限りでは……多少の傷みはあれど上等な部類に見えるが、食堂もやっている割には客の出入りが少ない。



「今って食堂はやってない時間なんですか?」


「そういうわけではありませんが、夕食には少し早い時間ですので」



俺の問いにそう答えたベルガさんは、続けてこうも言ってきた。



「まぁ、知っていればですが……不埒なことを考える者は来ませんので、それで客の出入りが少なめではありますね」


「知っていれば?何をでしょう?」


「えぇっと、宿の隣にも3階建ての建物がありますよね?」


「あぁ、はい」



確かに、宿の隣には3階建ての建物がある。



「そちらは"金戦華"の事務所でして、よく利用させていただいているのですよ。なので"アイリス亭"で起きた揉め事に遭遇することも多く、対処しているうちに揉め事を起こさない客ばかりになっているのです」


「なるほど」



つまりまぁ、大手の冒険者グループである"金戦華"が用心棒のような立場になっており、それによって厄介な客も少なくなっているのでスレッタさん達の宿として薦めてきたわけだな。


"金戦華"と一定の距離を保ちたい俺としては、お隣さんになってしまうことが少し気になるが……まぁ、スレッタさん達の安全確保が優先か。



「では中へ」


「はい」



そう思っているとベルガさんが入店を促し、俺は彼女に続こうとした。


だが……その瞬間。



バァンッ!



と、宿の出入り口が勢いよく開かれ、それと同時に何かが飛び出てきた。



「「っ!?」」


ババッ!



俺達は咄嗟に飛び退いて()()を避けると、その直後に宿の中から威勢のいい女の声が聞こえてくる。



「来て早々にうちの従業員に手ぇ出すとはいい度胸じゃねぇか!覚悟はできてんだろうなぁっ!」



そう言って現れたのは……女にしては背が高めの、普通の服装にエプロンを身につけた気の強そうな美女だった。


赤い短めの髪に白い肌をしており、エプロンの上からでもわかる起伏に富んだ肢体の持ち主だ。


歳は30前後に見えるな。


「うちの従業員に」と言っていたことから、彼女も宿の関係者ではあるのだろうが……となると言われている相手は人間か。


俺は先ほど避けたものを見る。


服装はどこかで見た気がするが、顔がボコボコになっていて誰だか判別はつかないな。


そう思っていると宿の女がこちらに気づき、ベルガさんに苦情を言ってくる。



「あっ、ベルガ!アンタの口添えで受け入れてやったけど、そいつはダメだよ!」



ベルガさんの口添えで?


ということは……()()はベスケイドか!


スレッタさんの御者をやっていた男で、そこそこいい顔をしていたはずだ。


しかし今は見る陰もなく、呻きながら地面に転がっている。


あの女がこれをやったのか?


だとしたら、迷惑な客が少ないのは"金戦華"のせいではない気もするな。


そう思っている間にベルガさんもあれがベスケイドだと確認したのか、宿の女に事情を聞く。



「えっ?あの、何があったのですか?」


「部屋に案内した後、気の弱い娘を騙して部屋に連れ込んだんだよ。部屋に怪しいものがあるから確認してくれってね」


「えぇ……」


「案内した娘じゃなく、わざわざ気が弱いのを選んでってのが小賢しくて気に食わないね」



そう言った宿の女にベルガさんは確認する。



「申し訳ありません。あの、スレッタ様達には……?」


「他の娘に事情を説明させてるよ。ん?来たね」



バタバタバタバタッ



その言葉から程なく、奥から走ってくる足音が聞こえてスレッタさんが現れた。


ベレーナさんも一緒だな。


彼女達は焦ったように頭を下げる。



「も、申し訳ありません!連れの者がとんでもないことを……」

「あの者の処分は如何様にも」



騙して部屋に連れ込んだんだし、その後にどうするつもりだったかは明らかだ。


となるとやったことがやったことなので、今後のことも考えると擁護する気にはならなかったらしい。


そんな彼女達に宿の女は答える。



「まぁ未遂で済んだしアンタ達はいいけど、あの男は法的に処分させるよ。ここだってコルドール王国の一部なんだし、法だってコルドールのものが適用されるからね」


「は、はい。本当に申し訳ありませんでした」



スレッタさんはその言葉に異を唱えることもなく、ベレーナさんと共に再び頭を下げた。


その様子を見て、転がっていたベスケイドが動き出す。



「っ!」


ザッ



スレッタさん達が自分を庇わないとわかり、奴はこの場から逃げ出そうとしたようだ。


もちろん、俺はそれを許さなかった。



ガシガシガシガシッ!フワッ


「くっ!?」



手足が氷の"手"に掴まれ、宙に浮かされるベスケイド。



「っ!?」

「な、何だあれ!」

「白い手?マジックアイテムか?」



俺の仕業だと知らない周囲の人は驚いているが、それを知っているベスケイドは振り返って俺を睨む。



「クソッ、またお前かよ!邪魔ばっかりしやがって!」


「えぇ……ちゃんとこの町まで連れてきただろう?」


「そっちじゃねぇよ!スレッタ達のことだ!お前がいなきゃとっくにいただいてたのに!」


「いや、どうやってだよ。2人ともその気はなかったらしいが」


「そんなもん、野営のときにでも縛り上げればいいだけだろう」


「わぁお」



ハッキリと、スレッタさん達を襲うつもりだったと言ってしまうベスケイド。


その発言に俺が驚きの声を上げると、続いてスレッタさん達がこちらにも聞こえるほど大きく呟く。



「最っ低……」

「屑が」



まぁ、言われるよな。


2人の表情は非常に険しく、俺に()()()()()()をしている時とは大違いだ。


しかし、奴は野営のときを狙っていたのか。


スレッタさん達は馬車の中で寝ていたらしいので、その馬車が使えなくなれば襲いやすくなるということなのだろうが……ん?


そうなると、ベスケイドは馬車が壊れることを見越していたのか?


年季は入っていたようだが、すぐに壊れるほどならスレッタさん達も村を出る前に気づいて修理していたはずだ。


となれば、ベスケイドが馬車の故障を予測できていたのは……あぁ、そういうことか。



「お前、馬車に細工したな?」


「「っ!?」」



俺の言葉に、ベスケイドだけでなくスレッタさん達も驚く。


ベスケイドは企みが露見したことに、スレッタさん達は衝撃の事実にただ驚愕したようだ。


すると……



ダダダダダッ……


「この手は何だ……?何があった!?事情を説明しろ!」



そこへ誰かが通報したのかやって来た衛兵達は、氷の"手"に捕まったベスケイドを見てそんな声を上げた。

お読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字・誤用などがあれば報告をいただけると助かります。

よろしければ評価も付けていただけますと幸いです。

カクヨムで先行公開しておりますので、先が気になる方はそちらをどうぞ。

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