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変幻G在! ~ゴーレム頼りで異世界サヴァイヴ~  作者: いけだけい


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ep75 バレたっ!?

「なるほど、意識だけを止める能力か。事実なら厄介な能力ね……ンンッ♡」



黒いオークについての報告を聞くと、ギルド長であるロザリンドはそう呟く。



「「「……」」」



そんな彼女をベルガさん達が微妙な顔で見ているのは、見えない中でも俺とロザリンドが何をしていたか概ねわかっているからだろう。


彼女が負けを認めた後、壁状にした霧でベルガさん達に対する目隠しとし、更には氷のドームで防音しておいたのだが……多少は身体が落ち着いても、情事の残滓が見え隠れしてるしな。


紅潮した顔と厚手の裏地越しに先端を主張する胸、そして時折身体をひくつかせているのは、先ほどまで俺が彼女の身体を弄り倒したからだ。


流石に最後まではシていないが。


その様子にベルガさん達3人は期待するかのような目で俺を見てきたりしたのだが、とりあえずは本来の目的を果たすということで黒いオークの件とマリベルさんの転勤について話したところである。


マリベルさんについては特に何事もなく受け入れられ、ギルドの職員用の宿舎を今日から使えることになった。


宿舎の部屋は単身者向けらしいのだが、その数には元々余裕を持たせてあったようだ。


忙しくて人手が必要な場合などには、その余らせている部屋を仮眠室として利用するそうな。


結婚した人なんかは町の中に別の部屋を借りるとか。


そういうわけで滞りなく進んだマリベルさんの件だったが、黒いオークについてはその能力からロザリンドも危険度が高いと判断したようだ。



「それで……ンッ♡……コホン、これがそのオークの()()と武器ね?」



ロザリンドは机に置かれたモノとハンマーに目をやり、小さく身体を震わせつつもそう聞いてきた。


俺は彼女に答える。



「はい。しばらくその場に留まっていましたが、他に魔物は出てこなかったので意識を止める能力はそのオークのものだと思うのですが」


「しばらく?怪我人でもいたの?」


「いや、えーっと……」



ビーナから()()をしてもらっていたのだが、ここでそれを俺から言っていいものかと躊躇した。


するとビーナ本人が口を開く。



「連れ込まれた地下で装備や服を使えなくされまして、代わりになるものを周囲で探しておりました」



あぁ、お礼の件は伏せておくつもりか。


言う必要もないだろうしな。


そう思っているとロザリンドが確認する。



「あぁ、なるほどね。えーっと……身体は無事だったのかしら?」


「はい。オーク()()犯されずに済みました」


「「「……」」」



そのビーナの発言に、他の3人は目を細めると俺を見た。


……察したか。


まぁ、ビーナの態度から俺が無理強いしたとは思われなかったようで、特に咎めるような気配はないのでその目を気にせず話を進める。



「えー、とりあえずこのモノを鑑定してもらえないでしょうか?意識を止める能力を持つオークを本当に倒せているのか確かめたいので」


「そうね、わかったわ。倒せていなかったら結構な大事(おおごと)になるでしょうしね」


ギッ……トットットッ……


「んっ、っと……」


ススッ、スーッ、スススッ……



そう言うとロザリンドは席を立ち、近くにあった青白く大きな金庫へ向かう。


大きいと言っても彼女の胸辺りまでのものであり、少し屈んでお尻を突き出すと金庫のドアに指で何かを描き出した。


文字ではなく模様のようだが……暗証番号のようなロックの役割なのだろうか。


俺はベルガさんに尋ねる。



「あれ、俺達が見てても大丈夫なんですか?」


「問題ありませんよ。本人がやらないと開かないそうですし」


「あぁ、そうなんですか」



と、納得しかけた俺だったが……本人にしか開けられないのなら、何かを描くというロックは不要なのではないだろうか?


あぁ、でも本人と言うだけで解錠できるのであれば、意識を失わせてロックを解除させるという手が使えてしまうのか。



カチャッ、キィッ


「……っと」



そうして金庫の扉が開かれると、中から小箱を取り出したロザリンドが戻ってきた。


鑑定のマジックアイテムにしては小さいな。


以前に見たのは大きな虫眼鏡みたいなものだったが。


するとベルガさんがその小箱について尋ねる。



「そちらをお使いになるのですか?」


「えぇ、これのほうが詳しく調べられるから」


パカッ



そうして開かれた小箱の中に入っていたのは……眼鏡だった。


細めの赤いフレームで、レンズは細長いスクエアタイプだ。


レンズが小さい分、鑑定結果が小さく表示されて見づらくなったりしないのだろうか?


それを聞いてみると彼女はこう答えた。



「この眼鏡の場合、レンズに表示されると言うより視界そのものに表示されるから。代わりに使ってる本人にしか結果が見えないんだけど」



なるほど、一般的に使われる虫眼鏡みたいな鑑定道具よりも表示範囲自体は広いのか。


俺はついでに尋ねる。



「魔石はどうするんですか?入れるところがなさそうですが」


「これは"遺跡"で見つかったマジックアイテムだけど、魔石は使わない物なの。ただ、調べられる回数が3回までと決まっているのよね」


「え、じゃあ鑑定できる回数が貴重なんじゃないですか?」


「回数は一定の時間で回復するから大丈夫よ。1回分回復するのに3日掛かるけど」


「なるほど。必要なときだけに使うのなら問題ないんですね」


「そういうことね。まぁ、普段はそう使うこともないから……じゃあ、鑑定するわね」


スチャッ



ロザリンドは俺の問いに答えると、メガネを掛けて魔石を見つめた。


ふむ……中々似合ってるな、女教師っぽくて。


そんな感想を抱いていると、1分ほどして彼女が口を開く。



「うん、これは対象の意識を止める能力を持つ者ね。コマンド級らしいわ」



表示されたのは"思考停止"という能力で、推察どおりの効果であったらしい。


レベルの表示はなかったらしいが、他に"肉体強化"と"精力増強"のレベル3があったそうだ。


気になるのは、ギルドが設定していると思われる魔物のランクが、どうして鑑定道具に表示されるのかだが……


あぁ、鑑定結果を元にしてギルドがランクの設定をしているのかもしれないな。



「「「ほっ……」」」



その結果を聞き、俺達は揃って安堵する。



「とりあえずは一安心といったところね。他に同じ能力を持つ者がいなければだけど」


「そういうこともあるんですか?」


「ないとは言い切れないわ。魔物によっては似た能力を持つものもいるし、存在しないと思い込むのは危険でしょうね」



現れたときに対応が遅れるからか。



「商隊や旅人には伝えるんですか?」


「伝えたほうがいいわね。もしも同じ能力を持つ魔物が現れたとして、後からその能力のことを知っていたとバレたらギルドが批判されてしまうもの」


「そうなると、その魔物の襲撃を恐れて商人や旅人が減ってしまいそうですが」


「倒されていることを併せて公表しておけばいいわ。その黒いオークが現れた辺りの調査もして、何もなければとりあえずは大丈夫だと考えるでしょう」


「そんなものですかね?」


「そんなものよ。そもそも、長旅をする時点である程度の危険は覚悟しておくものだしね」



まぁ、魔物だけでなく盗賊もいるしな。


その盗賊らしき集団の遺体についてはオーク達に襲われた経緯で話してあり、ロザリンドは盗賊だろうと断定した。


いくつかは冒険者の登録証を回収してあるので、それを伝えると後ほど1階の受付に届け出てくれと指示されている。


そうして黒いオークそのものについての話は済んだのだが、続いてロザリンドはハンマーについても鑑定するかと尋ねてきた。



「で、ハンマーの方もついでに鑑定しておく?」


「いいんですか?回数のほうが……」


「これを使う機会はそんなにないわ。"遺跡"の中で現れる魔物は現時点で一番深い所のものまで調べてあるし、マジックアイテムだってそうポンポン見つかるものでもないから。使うとすれば……"例外個体(イレギュラー)"と言われるような、特殊な魔物が見つかった場合ぐらいね」



"例外個体"は強力であったり特殊な能力を持つなど、初遭遇で倒せない場合が多々あるらしい。


だが、倒せなかったとしてもその体の一部を持ち帰ることができれば、その能力や特性を鑑定して次の機会で活かせるようにするようだ。


となると……ゴブリンやオークなど、人型の"例外個体"はモノを集中して狙われたりするのだろうか。


モノを狙う冒険者達……想像すると微妙に嫌な光景だな。


まぁ、それは置いておいて話を進める。



「そうなんですか。でも必要なときに回数が足りないっていうのも良くないですし、人工の鑑定道具で見てもらおうかなと」


「でも人工の鑑定道具じゃ詳しくは調べられないし、呪いのような悪影響のある効果があっても気づけずに被害が出て手遅れになるかもしれないわよ?」


「え?」



人工の鑑定道具はそこまで性能が高いわけではなく、能力や効果の詳細まではわからない。


なので、表示された能力名などでは推察できないような効果があると気付けないそうだ。


その中に呪いなどもあるということか。


元の世界ならともかく、魔法やスキルが存在する世界なので実害として存在するんだろうな。


このハンマーを売るにしろ使うにしろ、呪いが掛かっていて取り返しのつかないことになるのは避けたい。


ただ……



「ここまで持ち歩いても何も起きなかったんですが」


「それはそれで良かったけど、マジックアイテムがその能力を発揮したときにしか効果が発動しない場合もあるわ。それが呪いだったという場合もあるし、呪いとまでは言えなくても良くない効果だったりするのよ」


「例えば?」


「んー、わかりやすいのだと……あぁ、身体が軽くなって素早くなるって短剣があったけど、同時に身体が麻痺するって効果のものがあったわね」



感覚がなくなるので、まともに動けるのはほんの僅かな時間らしい。



「それは使いづらそうですね」


「でしょう?つまり使おうとしたときに思わぬ効果が発揮される可能性もあるから、機会があるなら詳しく調べておいたほうがいいのよ」


「じゃあ、せっかくだしお願いします」


「わかったわ」



ここまでの話を聞いた俺は、鑑定眼鏡(命名ロザリンド)での鑑定を頼むことにする。


その結果はこうだった。



「このハンマーはマジックアイテムね。呪いはなかったけど、"伝搬(でんぱん)"という効果がレベル5で付いてるわ。魔法やスキルを、対象から別の対象へ次々と伝えられるようね」



伝搬というと、物理現象や物事が伝わって広がるという意味だよな。


ここで俺は黒いオークの"思考停止"という鑑定結果を思い出す。


あちらはレベルがなく、()()()意識を止めるとのことだった。


重要なのはその対象の数だ。


このハンマーの鑑定結果から推察すると……"思考停止"は単体への能力で、ハンマーの"伝搬"という効果によって商隊全体へと効果対象を広げられたのではないだろうか?


それを話してみると、みんな合点がいったという顔をする。



「なるほど。意識を止めるという強力な能力を、あれだけの人数に使えるというのは少し出来すぎな話だと思っていましたが……」

「このハンマーの効果があってのことだったのね。納得だわ」



ベルガさんとビーナがそう言って頷いていた。




そうして……ハンマーまでも鑑定を終えると、ロザリンドが神妙な顔で尋ねてくる。



「ジオ、それで黒いオークを討伐した件だけど……500万コールほどで構わない?」



お、"完全認識阻害"のゴブリンと同額だな。


フランからそちらの件も聞いているだろうし、同程度の脅威だと認定したのか。


するとロザリンドは続ける。



「あとはそのオーク達によって出た被害が確認できればだけど、それが犯罪者でない限りは追加で出してもいいわ」



被害が大きければ脅威度はもっと高く評価され、その分追加で報酬をくれるのか。


気前がいいな、ここは"遺跡"で潤っているからだろう。


もちろん異論はないので俺は頷く。



「それで結構です」


「じゃあ、手続きの書類を用意するわ。ジオだけ残ってて」


「では、我々は外でお待ちしてます」



そう言ってベルガさん達が部屋を出ると、ロザリンドは書類を書き始める。



サラサラ……


「……っと。はい、これを受付に出してね」


スツ


「はい、どうも……」


ガシッ!


「っ!?」



書類がこちらへ突き出され、俺はそれに手を伸ばすが……ありがとうございます、と言おうとしたところでその手を掴まれた。


当然、俺はその意を尋ねる。



「あの、何か?」



その問いに、ロザリンドはにこりと微笑んだ。



「貴方って……いろんな物をゴーレムとして使えるスキルを持ってるのね♪」



バレたっ!?

お読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字・誤用などがあれば報告をいただけると助かります。

よろしければ評価も付けていただけますと幸いです。

カクヨムで先行公開しておりますので、先が気になる方はそちらをどうぞ。

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