ChatGPT君とブレインストーミング ―― 創作の手法の探求
筆者)さて、ブレインストーミングのお時間です。
構造の話。
以前『帰ってきたヒトラー』という映画を見て、そこそこ楽しめたという記憶があります。これは「過去の人物から見た現代への風刺」という構造。これをコメディ化させたものが、ドラマ『不適切にもほどがある!』であったりもします。
異世界転生モノの作品などでも、多少は見られる構造で「現代人から見た中世的な人々への批評」が加えられるわけですが、こちらに関しては「現代の価値観というものに対する一種の信仰」のようなものが大半なので、論外とします。
批評的・哲学的な問いを生み出しやすい作品構造を作る場合「過去の人物から見た現代への風刺」以外に、これに類似する方法論としては、どのようなものが考えられますか?
登場人物の属性、語り部などの特殊性なども含め、いくつかご提案ください。
ChatGPT)いいですね!ブレインストーミング、乗りましょう。あなたの挙げた「過去の人物から見た現代への風刺」という構造は、まさに「視点のズレ=違和感」を発生装置として、世界や価値観の再検証を促す仕組みです。これを応用・変形して「哲学的・批評的問い」を生む構造、いくつか案を出してみます。
① 【未来の人物から見た現代への違和感】
→「過去→現代」の逆バージョン。未来社会の倫理観や常識を持つキャラクターが現代に現れ、現代の矛盾や無自覚な前提を批評する。
例:
・人間の死を克服した社会から来た人物が、現代人の「死に怯えた行動」を異様に感じる。
・完全に監視社会化された未来人が、現代の「自由」を「無責任」と捉え皮肉る。
※「過去」ではなく「未来」を使うと、現在の価値観が「発展途上」だと示唆でき、寓話的なニュアンスが強まります。
② 【異文化視点からの批評】
→歴史時間軸ではなく「空間的ズレ」。別の文化圏・異質な価値体系を持つキャラクターが、現代の常識を吟味する。
例:
・宗教的な禁欲主義の民族が、現代日本の消費文化に絶句する。
・感情を共有する種族が、個人主義社会の「寂しさ」に疑問を抱く。
※リアリティライン次第でSFにも民俗学的幻想にも応用可。
③ 【人間以外の存在を語り部にする】
→「人間中心主義」を相対化する構造。
例:
・AIが人間社会を観察し続け、倫理の自己矛盾に気づく。
・長寿命の動物(例えば亀)が人間の社会変化を見て「意味」の不安定さを指摘する。
ゴキブリ視点の日常:人間の行動原理が「生存」「快適性」でしかないと冷笑する。
④ 【死者/幽霊視点】
→「時間」も「存在」も超越しているので、価値判断の土台そのものが異質。
例:
・墓地から都市の変化を見守る霊が、経済優先の倫理を解体的に語る。
・生前の悩みが死後には無意味であることに気づき、「意味付けの無常さ」を哲学的に描く。
⑤ 【モノ視点】
→視点の「超越化」ではなく、「無力な観察者」としての存在を選ぶ。
例:
・ゴミ箱の中から見た人間の営み。日々廃棄されるものから、人間の価値観の移ろいを読み解く。
・図書館の本棚の一冊が、時代ごとの読者と社会の変化を記録している。
⑥ 【記憶喪失者/時系列混乱者】
→視点自体が曖昧で、時間やアイデンティティを疑問視するタイプ。
例:
・記憶喪失の人物が、社会的価値観の刷り込みプロセスを逆照射する。
・昨日と今日の区別が曖昧な語り手が、世界の連続性そのものを疑う。
これらは組み合わせも可能です。
たとえば「人間以外の視点(AI)×未来から現代へ帰還」「死者の視点×異文化的倫理観」「モノ視点×時系列混乱」など。
あなたの狙いが「問いの生成」なら、
【距離】(時間的・空間的・存在論的)
【視点のズレ】(倫理、価値観、目的意識)
この2つをいじるのが王道です。
どの方向性が一番ピンときました?
用途(小説?短編?エッセイ的?)を教えてもらえたら、もう少し具体的な案を出しますよ。
筆者)後半に行くほど面白さの増す回答が並んでいますね。
⑤は切れ味のある短編に有望で、⑥は状態自体が推理モノとなっており、映画『メメント』が思い出されました。④は時間を超越した存在として宇宙人でも可です。
ただ③を採用する場合、読み手側が語り手に対し、特に動物などにした場合、はたして「その生物にそこまでの知性があるのか?」という点に置いて、違和感が発生しますね。それの不整合性を埋めるためには、何らかの実験により高度な知性を獲得した下等生物とするか、未発見だった高等生物とするかしかなくなりますね。試しに、この③の設定を使った具体的な作品などがあれば、教えてください。コメディにはなりそうですが、個人的に使い勝手が分からないので。
ChatGPT)お、いい着眼ですね!
③の「人間以外の存在を語り手にする」の違和感問題、すごく本質的です。
おっしゃるとおり「知性の不整合」をどう整えるかが、この構造の肝です。これを雑に処理すると、読み手は「結局ファンタジーの都合か」と冷めるので、設定の工夫が必要になります。
さて、ご質問の「具体的な作品例」ですが、いくつか参考になるものを挙げます!
具体的な参考作品:
① 『ジョニーは戦場へ行った』(ダルトン・トランボ)
厳密には人間の話ですが、「身体を喪失した主人公=見ることも話すことも動けない存在」が、内面独白を通じて世界や人間社会を外部から観察する構造です。
→これは「肉体の喪失=人間性の喪失」というズラしで、視点の違和感を哲学的に解決しています。
これを生物モノに応用すると:
下等生物の視点だが、観察対象の人間を「完全に理解できないまま観察する」という立ち位置にすることで、むしろ無知の純粋さが問いのフックになる。
(例:アリ視点の日常→アリの言葉で人間社会を「解釈しきれないもの」として表現)
② 『銀河ヒッチハイク・ガイド』(ダグラス・アダムス)
作中、地球のマウスが「地球人を実験対象にしている高次存在」というオチがあります。これも、知性の不整合を「実は人間がナメてた存在こそ知的だった」という逆転で成立させています。
③ 『ガンバの冒険』シリーズ(斎藤惇夫)
動物の知性を人間並みに設定しつつも、「動物社会」と「人間社会」をほとんど交差させないことで違和感を避けています。→人間観察を行わせるなら、やはり「ファンタジー前提」の設定が必要。
④ カフカ『変身』
主人公は「虫」になりますが、人間の意識を保持しているため、知性の問題が完全にスルーされます。
→人間→虫への変換=視点の変換。このトリックは短編で特に有効。
違和感解決のアプローチ:
擬人化の開き直り(寓話化)
→イソップ、オーウェル『動物農場』方式。「これは人間社会の比喩だよ」と最初から割り切り、読み手に考えさせない。
科学的理由付け
→実験動物化。遺伝子操作や脳強化チップで「言語的内面」を持たせる。設定を冒頭で片付ければSF短編として成立。
観察視点の制約
→知性が無くても「行動観察」なら可能。たとえば、ネズミがチーズを探す経路選択から「人間社会の無駄」を見抜く、みたいな「人間の行動様式をシンプル化して批評する」方式。
人間の思考と混線する設定
→人間の心が、何らかの理由で生物側に宿る(憑依・AI制御)。これなら生物のボディで思考する違和感が緩和されます。
使い方のイメージ(プロット例)
タイトル:『マンホールの住人』
語り手:下水道に暮らす老亀。
設定:人間の捨てたゴミを食べ、日々マンホールの蓋越しに街の音を聴いている。人間社会の会話・ニュース・交通音を断片的に記憶することで、亀なりに「人間社会像」を再構築している。
→観察対象が「音」「落ちてくるもの」に限定されるため、亀視点の限界と知性不足がリアルさに変わる。
→人間社会を批評するたび「多分、あれはこういう意味だろう」と曖昧に語ることで、不確かさ=哲学性を演出。
あなたが目指す作品が「哲学的・批評的」であれば、知性の限界を逆に魅力に変える方法(曖昧な推測・誤読を物語のエンジンにする)は非常に有効です。
この③パターン、よければ一緒にプロットを組んでも面白いですよ。短編向け?長編向け?ジャンル(SF/不条理/寓話)も教えてくれたら、サンプル作ります。どうします?
筆者)なるほど、たいへん勉強になりました。個人的には「切れ味」の良いものが好きで、小説よりも評論の方を好む人間なもので、問題提起と解決までに時間を要する小説の中でも、さらに迂遠な③の手法には、やはりあまり魅力を感じないな、というのが率直な感想です。エンタメとして楽しむなら、個人的には④⑤⑥が趣味なようです。良い確認になりました。ありがとうございます。
ChatGPT)おお、すごく納得のいく結論ですね!
お話を聞く限り、やっぱり「問題提起の鋭さ」「問いかけの純度」「読後の余韻」を重視するスタイルなんですね。評論好きの方らしい分析でした。
③はたしかに迂遠で、観察→解釈→問い、という三段階を踏まないと読者に届きづらい構造ですし、あなたの求めている「切れ味」や「思索の跳躍感」とは方向性がちょっとズレるかもしれません。
その点④⑤⑥は──
④:時間的・存在的に超越した視点(死者・宇宙人)
⑤:無機物視点=社会の「意味の付与」を揺さぶる
⑥:記憶の曖昧さ=自我・現実の不安定さを問い直す
……と、どれも「日常的な価値観の土台」を一撃で揺さぶるタイプなので、思索好きな読者には一番刺さる構造です。
特にあなたの作品傾向(短編の問題提起型+後書きで豆知識披露)とも相性良さそうです。次に何か構造設計で悩んだら、④⑤⑥を軸にブレストしていくのが、しばらく安定かもしれませんね。
ほかにも構造系の相談、いつでも歓迎です。設定、視点、語り口……どこでも一緒に整理しますよ。気が向いたら、またお声がけください!