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第41話

ギルドは宴会状態となっている。外にも中にも料理が運ばれ、町全体から人が集まってきていた。


わたしはロロ、ナリナミと合流して食事を楽しんでいた。人が集まりすぎるのを防ぐため、壇上に上がらせてもらっている。


「目玉の周りが好きです」

「変わったところが好きなんですね!」

「オレは腹の苦いところ以外全部同じくらい好きかな」


様々なものの組み合わせと焼いたり煮たり、脂の多い部分は揚げ焼きのようになっているものもある。

当然のように刺身はない。醤油やわさびが恋しくなってきた。ここにも魚醤はあるようだが。


「そういえばもらったライセンス、見せてくれよ」

「わすも!わすもみたいです!」

「いま手が汚れていて……後でにお願いできますか」

「そうか、じゃあ後でな」

「わかりましたあ」


手づかみで食べているのと拭くものがないのとで何にも触れられない状態だ。服もいつものに着替えてから食べればよかったと後悔している。


「集まっている今見せてほしいぞ!」

「ライセンスを見れる!?」

「拭くもの持ってきてくれ!」


周りの人たちにも聞こえていたようだ。近くにはイムロアやカボシもいる。彼らも最高ランクというだけあって人気があり、まだ会話は交わしていない。

わたしは食事会の始まった時は質問責めにあっていたが、あまりうまく答えられないのでしばらく食事に集中させてくださいとお願いしていた。


「友人だからってんでここにいられるけど、周りは(サメ)ランクとか(カジキ)ランクばっかですげえよ」

「壇上は強い人ばっかり集まってるんですね〜!」

「もし喧嘩になったらランクが強いやつには叶わないからな」


さすがは強ければよしの町だ。社会的地位と武力の強さの結びつきが強い。


「拭くものもってきたぜ!」


どこからか布が運ばれてきた。礼を言って受け取り、手の汚れを落とす。ライセンスをズボンのポケットから取り出した。


滑らかな、白い板に注目が集まる。そこには名前とランクを示す紋章、髪の色や身長等の特徴が彫られていた。


「「おお〜」」

「これが憧れの最高ランクか」

「拝んどこう」


入れ替わり立ち替わりで見物が行われている中、聞き覚えのある声がした。


「楽しんでるか?」


ドヅミだ。ギルド長なだけあって周りが空き、静かになった。


「はい、このような式を開いてくださり、感謝いたします」

「そりゃよかった。50年に一度しか味わえない魚、存分に堪能してくれよ」


ドヅミは周りを見渡した。


「おまえらもな!」

「「「はい!」」」


この返事の仕方、周りのほとんどは冒険者らしい。ドヅミは後ろを向いて元いた場所に戻ろうとしている。ファラクセロを生け取りにしたいことを相談したいのを思い出し、慌てて呼び止める。


「ドヅミギルド長、待ってください」

「おう、どうした」

「ファラクセロを生け取りにしたいのです。どこに彼らがいるか、何を使えばいいか、知っていれば教えていただけませんか」

「ほお?そりゃなんでまた」


簡単にファラクセロを仕留められたわたしがそう言い始めるのはよくわからないことだ。嘘をつく必要はないと判断し、このギルド専属のスキル鑑定士の力を借りたいからという事情を話した。


「ツラモをな、わかった。ファラクセロを操って変なことをするとかじゃないんで安心した!わはは!」


そんなことを思われていたのか……それともただの冗談で笑っているのだろうか。


「ならツラモを連れてファラクセロを探せばいい。海の中をまわるのにいい魔導具を貸し出せるのがこのセリトレイのイルカたちのいいとこだ」


ツラモと共に行動していれば生け取りにしなくてもいいかもしれない。そしていよいよセリトレイのイルカたちを大きくした要因である魔導具を見ることができる。


「ツラモさんとはいつ会えますか」

「今だな。この授与式に来てる。連れてくるから話をするといい」

「おねがいします」


ツラモとは早く会えそうだが、ファラクセロをどう見つけるかは検討もつかない。とにかく頼む時の文を考えよう。


あなたのパーティーである閃きのカモメについて行ってファラクセロを探します。代わりにこちらにも同行して、ライシロでわたしのスキルが邪王の加護でないことを証明してください。


こうだろうか。考えているうちにドヅミが何人か携えて戻ってきた。その中には竜人もいた。


「ありがとうございます」

「ツラモが入ってるパーティーの人間までついてきちまった」

「大丈夫です」


ひとりの女性が前に出てきた。穏やかそうな顔つきで、ナリナミほどではないが日焼けしている。閃きのカモメの団員の人間全体がそこそこ日焼けした肌だ。


「私がツラモ。アギノフといいましたか、何用ですか」

「あなたはとても信頼のあるスキル鑑定士だと聞いています。ライシロでわたしが邪王の加護というスキルを持っていないと証明してほしいのです」

「嫌です」


即答であった。わたしもすぐに返す。


「生きたファラクセロを調査する手助けをします」

「ファラクセロ……!?」


踵を返しかけていたのが止まる。明らかに揺らいでいる。


「あなたたちのパーティーに、わたしが一時加入します。どうですか」


ファラクセロが普段どう行動しているかはわかっていないはず。もし群れているのならそれこそ鯨ランクの人間が必要だ。

かなりの戦力がなければ探しにすら行けないが、わたしがいれば探しにはいける。


「鯨ランクの人間を少しの間パーティーに入れられる……っ、交渉成立」

「ありがとうございます」


閃きのカモメの団員を見ると、了解といったふうに頷いている。パーティーのことに関する決定権を持っているということはツラモがリーダーなのだろうか。


「早い方がいいので、今日から私といっしょに行動してもらう。食事会が終わったらまた会うけどいいです?」

「わかりました。どこに行けばよいですか」

「依頼掲示板の近くが見えやすいと思う、どう」


彼女が依頼掲示板を指差す。


「そうしましょう」

「また後で」

「ええ」


会話が終わり、それを聞いていたドヅミが背中を軽く叩いてきた。


「おお、実りがあったな!じゃ」


ドヅミ、ツラモと閃きのカモメの団員はその場から去って行った。

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