第27話
「「「ごちそうさまでした」」」
リクアルキガニは3人で食べても十分満足できる量だった。夕食はいらないだろう。全員でテーブルとかまどの灰の片付けをする。
「皿は建物の中に返却口があるぜ。言い忘れてたけど使うときはその近くにある皿をとってこればいい。
食べ物のゴミも返却口の近くにゴミ箱があるんで、捨ててから皿を返却口に置くこと」
わたしたちはナリナミについていって返却口を教えてもらう。薪などが入っていた倉庫はギルド職員しか入れないとのことで説明はなしだった。
灰は近くに灰置き場があった。
片付けが全て終わる。
「ありがとうございました」
「ありがとうございました〜!」
わたしとロロは調理場のお礼を言った。
「こっちこそカニ食わせてもらってありがとうな、美味かった」
「いえ。それに、来てすぐに応対してくれて助かりました」
「とっても助かりました!」
ロロも感謝を示した。
「手が空いてた中でオレが最初に君たちに気づいたからな。他のやつでも同じように応対してくれたさ!」
爽やかな中にも謙虚さを感じる。ナリナミはいっしょにいて心地いい青年だった。
「そうですか。さて、まだ聞きたいことはありますが、そろそろ宿を探そうかと思います」
聞きたいことというのは『セリトレイのイルカたち』が開発、量産に成功したという新しい魔導具のことだ。
しかし聞いている時間はないだろう。空が暗くなってきていた。海風が今は止んでいる。
「宿かー……。一応宿のない冒険者がタダで寝泊まりするとこはあんだけど。もう今夕食は済ませたし、今晩はオレの家に泊まらないか?」
「いいんですか?」「ほんとですか!?」
「おっと」「すみませ〜ん」
わたしとロロは同時に返答をしてしまった。
「あっはは、息あってる!うん、歓迎するよ。オレの家、ちょっと狭いかもしれないけど寝るには十分さ」
今度は今日やったようにロロと顔を見合わせる。またロロが手をこちらに向けたので、わたしが先に言葉を発した。
「ではおじゃまします」
「一晩お世話になりま〜す!」
「オレがこの町初めてかどうか聞いたときも顔を合わせてたよね!あ〜面白い!」
ナリナミはお腹をおさえている。
「よし決まったね、ついてきて」
彼の家は海に近いところにあった。海に面して少し高台になった場所に何軒か家が建っていて、そのうちの小さい一軒にわたしたちは入った。
「ただいま〜」
「おじゃまします」
「おじゃましま〜す!」
中は昨日泊まった宿の部屋の2倍くらいに見えた。そういえば昨日はアニーにいて、今日はシラクーラだ。ロロのおかげもあって、白き獅子団の勢力圏から6日で出ることができたのだ。
ライシロから追放された日を1日目として2日目にロロと出会い、3日目4日目をクアティエ・ホテルで過ごし、5日目にアニーに到着。そして6日目の今日、白き獅子団の勢力圏から出た。
「はーっ……」
セオドアに見つかる可能性が非常に減少したということを考えると、体から力が抜けてへたり込んでしまった。
いきなり膝と手をついて前のめりになったわたしを見て、ロロとナリナミは心配そうに近づいてきた。
「気分が悪いんですか!?」
「疲れてるのか……?」
わたしは顔をあげられなかった。どうにか言葉を発する。
「安心、したんです……もう、大丈夫なんだと……」
わたしはこんなにも緊張していたのか。体に力を入れ直して、立ち上がる。
「精神の問題ですから、原因の説明は長くなります。寝る前に、お話してもいいですか」
ロロとナリナミは真剣な顔で首を縦に振った。




