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第26話

3人で蟹を食べ始める。


「美味いな……ライセンスの説明をするけどいいか?」

「お願いします」

「はいな」


ナリナミは食べる合間にライセンスの説明を始めた。


「まずライセンスのメリットについてだな。これがありゃあ身分証明になる」


顔の動かし方から、わたしだけでなくロロにも説明しているようだ。冒険者そのものへの理解を広げるのもギルドにとっては大事なことか。


「冒険者ギルドの集まりが認めてるモンだから通行証みたいに使えるし、銀行ってとこに金も預けられるんだ」


白き獅子団所属のころは所属証明の板を持っていた。あれの冒険者版だ。ということは、持っていい人物かどうか審査があるのだろう。


「便利ですね、持つ資格があるかどうかは見られるのですか?」

「そうそう。メリットの説明が終わったらそれについて話すぜ」

「はい」


首を縦に振りながら返事をした。


「冒険者にはランクがあって、ここセリトレイのイルカたちでは6段階だな。ランクは上から(クジラ)(サメ)(カジキ)(エイ)(スズキ)(ニシン)ってんだぜ。ギルドごとにランクの呼び名が違って個性があるんだ」


ナリナミはカバンから名刺ほどの大きさの板を取り出しながら話す。


「これがライセンスだな。オレのランクは上から4番目の(エイ)


ランクの紋章が刻まれた場所に指を差して説明される。素材は木でも金属でもないように見えた。


「上にいけばいくほど待遇がいい。優秀なやつは引き込みたいから、いい家を紹介してもらえるとかな。ここまでがメリットだ」

「わかりました」

「はいな」


ナリナミはわたしたちが理解したのを見てうんうんと頷いて話を続けた。


「で、肝心のライセンスの取り方。これは2つの試験を受けて合格することさ。1つは戦闘力試験。これを倒せるんなら大丈夫だと思うぜ」


彼は大皿の蟹に目を向けた。


「2つめは面接。なぜ冒険者になりたいか聞かれる。人を殺したいとか魔物の素材をひとりじめしたいとか、よっぽど変なことを言わなきゃこれも大丈夫」

「それなら心配なさそうです」


ロロが持っている蟹の脚から口を離して質問する。


「失効とかはどんな感じなんです?」

「ランクが(カジキ)以下だと1年間活動がみられないと失効になるな」

「活動……?」


ロロがわからないと言ったふうに疑問を口にする。ナリナミは素早く答え始めた。


「活動ってのは依頼を受けることだ。事情があって活動ができなくなるなら、ギルドに報告しにくれば融通は利くぜ。他に質問はあるかい?」


せっかくなら鮫ランクを目指したい。そういえばランクの上げ方を聞いていない。


「ランクはどうやって上げるのですか?」

「ああ、依頼をこなしていくと依頼の難しさに応じてポイントが貯まる。ランクが上がるポイントになったら試験がある」


彼は話しながら食べ終わった後の殻をボウルに入れる。そろそろボウルもいっぱいになりそうだ。


「あと普段の態度とかをこっちで審査して、合格ならランクが上がるよ。不合格なら改善点を言われる」

「依頼とポイント、あとは態度ですね。態度の改善点とは耳の痛くなりそうな話です」

「ははは、他人に横柄でなきゃなにも言われないよ。慈善活動しろってわけじゃないさ。他にわからないことは?」


わたしも殻をボウルに入れた。


「質問といわれると違う気がするのですが……ライセンスの素材が何か聞きたいです」

「ああ、きれいだろ。でかいウロコだよ」

「ウロコ、あれがですか」

「えっ!すごい!」


驚いた。四角く加工されているので、元の大きさはあれ以上ということになる。


「ドラゴンのようですね」

「龍かと思いました!」

「オレもそう思う。でもドラゴンや龍じゃないんだぜ?魚だ。定期的に近くの海に群れて現れるから、それを(サメ)ランク以上が狩ってるんだ」

「定期的、どのくらいの周期ですか」


ナリナミは一呼吸おいた。


「ふっふっふ、聞いて驚くな?50年だ」

「50年」

「50年!?」


ロロはしっかり驚いている。

わたしは大自然を感じた。なぜ彼らはその周期で現れるのだろうか?


「しかも、その50年に一度はあと半年後!」

「そうなんですか」

「えぇー!?」


ロロは2段階で驚きを表現するためか、今度は両手をあげている。


「って、アギノフは本当に驚かないのかよ!」

「驚くよう、前フリがあったのに……!」


ナリナミとロロがふざけて信じられないと言った顔をする。


「ふふ、すみません、反応が薄いだけで驚きはしています。大自然を感じましたよ」


実際、そのとき目を見開いていたし動きは止まっていた。


「なんだよそれ〜、あっはは!」

「驚いてはいたんですね!」


50年周期で特定の場所に集まる大きな魚。浪漫がある。


「その周期でよくライセンスにするのに足りますね」

「大大大集結って感じなんだと。もともと昔は島の住民が自分たちの村に危害が及ぶ前に狩りにいってたんだ」

「海の生き物が村……つまり陸に危害を?」

「伝説では島の中心部の木が飛んできた魚で折れたっていってる。群れのほとんどがかなり暴れん坊で、そうじゃないのはほんの一部ともいってた」


伝説。それは人が聞くと興奮するものだ。わたしは自分の心臓の鼓動が大きくなるのを聞いた。


「そして、狩りにいって帰って来れたものだけが鱗を持つことが許されていた。これがライセンスの起源だよ」


50年周期のことなのにここまでわかっていることがあるとは。どれほどの伝統なのだろうか?


「セリトレイのイルカたち、何年続くギルドなんです?」

「ギルドになったのはたしか200年くらい前だけど、組織とかライセンスの起源はもういつからなのか誰にもわからないらしいぜ!公認ギルドになってシラクーラに進出したのは、3ヶ月くらい前だけどな」


公認ギルド、ギルドは数多くあるがその中でも特に大きな信頼のあるギルドのことである。


笑い合ったり島のことを聞いたりして、楽しい時間を過ごす。やがて大皿は空になった。

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