第22話
朝になった。準備をして宿、川蹴り鴨の巣を出る。
朝食は貝のスープとパンを食べた。貝は塩漬けにされて保存されていたらしい。スープにすることによってちょうどいい塩気になっていた。
スープは200ドエル、パンは160ドエルだった。
パンは昼食のためにも買った。何かおかずがほしいところだ。貝のスープを売っている男性に塩漬けの貝だけ買えないか聞いてみる。
「いいよ、スープと同じ値段で6個だ」
買おうとして、水っぽいものをしまう場所がないことに気づいた。
「少し待ってください」
ロロに何か持っていないか聞こうと隣を見ると、すでに荷物から袋を取り出しているところだった。
「それに貝を入れるんですね?」
「はいな、水を通さない袋です」
見たところ水筒に使われるものと同じ素材で作られている。
「助かります」
スープ売りの男性に向き直る。
「12個ください」
「はい、まいどあり」
買っていたパンが入っているカゴに貝を入れた袋を詰め、シラクーラへ歩き出す。
アニーからシラクーラへ向かう道は探すまでもなくロロが覚えていた。彼女の言っていた通り看板が立っている。
「シラクーラへ、よし、合ってま〜す!」
一応確認して、道を歩き始めた。
「この辺はちょっと強い魔物がでますよ〜。わすの体術スキルにかかれば倒せるぐらいですが!」
ロロがこの道について話し始めた。注意して聞いておこう。
「経験者の話ですか、危険なところなどは教えてくださいね」
「はいな!といっても、アギノフさんの強さなら大丈夫だとは思いま〜す!」
ロロの中でのわたしの強さ評価はとても高くなっているようだ。体の強度については魔法での強化ができないことは頭に入れておいてもらいたい。
「いえ、情報は大事ですから。それに攻撃魔法が得意なだけで防御はとても弱いんです。ロロさんはとても丈夫ですよ」
「それじゃ、背中は任せてください!このあたりの魔物相手なら指一本触れさせませんから!」
ロロは自分の技術に自信がある。宿で暇な時に体術の型をしているくらいだ、強くもなるだろう。
「ふふ、任せました」
歩いていると、海が見えて来た。
「あ!海が見えてきましたよ!」
異世界のわたしは初めて見る。
「そうですね、光っていて綺麗です」
「あれ?アギノフさんって海を見たこととかあるんですか?」
反応が薄かったからか、ロロに疑問を持たれた。一瞬どう答えるか迷う。
「どこかの絵で見た記憶があります」
嘘はついていない。なぜかわたしが別世界から来た精神であることは、あまり人に教えたくなかった。
異世界のわたしの体だから、異世界の人間のまま人に接されたいのだろうか……
現代のわたしとして人に接されたら、異世界のわたしの人生を横取りしている気がして、後ろめたい。すでに横取りしているようなものだが。
「海が見えたということは、もうすぐですか?」
「いいえ、まだまだです。この速さだと、もしかしたら野宿することになるかもしれないぐらいで〜す!」
「そ、そうですか……」
明るく言われたが、体力がわたしの課題であることが身に染みる言葉であった……




