第19話
ホテルで過ごす間は火傷を治すために安静にすることにした。魔力を練って治るように念じることに1日を費やそう。
今日はロロの動きが少しぎこちない。どうしたのか聞くと、恥ずかしそうに頭をかき始めた。
「実は昨日のは流石にやりすぎだったみたいで、少し筋肉痛なんです〜」
「それは、どうもすみません」
「これくらい、どうってことないですよ!」
ロロは筋肉痛だと言いながらも街に出ていった。
いいものがないか市場を見て回り、自分もなにか売れるものがあれば売ると言っていた。ご飯の時間にはちゃんと戻ってきていた。
「ただいまです!」
夕方、ロロが帰ってくる。
「いいものはありましたか」
「ありました〜!じゃん!!!」
荷物から巻かれた織物が4つ取り出された。
「織物、ですか」
「ふっふっふ、このあたりは水が織物に向いてて、特に毛織物が特産品なんですよ!生産者が売りにきてて、品質の割に安かったので買いました!」
織物に向いているということは、ここに流れているサーフィー川は軟水だ。ここらへんの地名は知っていても、特産品や水質までは知らなかった。
「アギノフさんのほうは怪我の調子はいかがですか〜?」
「だいぶよくなりました。左腕以外、ほとんど痛みもありません」
塗り薬と魔力の合わせ技で左腕以外の火傷は治りかけていた。
「それはよかったです!」
「塗り薬のおかげですよ」
「回復魔法に押され気味で、あんまり売れはしないんですけれど、持っててよかったです!」
ほんとうに嬉しそうだ。
「売れないのに持っているというのは、なにか理由が?」
「あの薬は行商人の里の特産品と言えば良いのでしょうか、だから、持ってるんです!」
「そういうことでしたか」
回復魔法。とても便利だがスキルを持っているものは比較的少ない。
皮膚の傷ならともかく体内部の傷を正しく治す想像というのはしにくいので、新しく習得するのが難しいのだ。生まれつき持っていたものがスキルレベルを上げて医者や看護師になることが多い。
同じ理由で希少性が高いスキルは他にも存在するが今はそれについて考える必要はないだろう。
今日も昨日と同じように食事をした。メニューが違っている。
「今日もおいしいですね!」
「おいしいです」
明日の朝には出なければならないのに明日の夕食はどんなメニューなのだろうと想像してしまった。
部屋に戻り、体を拭いて寝た。
朝、目が覚める。だいたいいつも7:00ぐらいに起きるのでそのくらいだろう。朝食は7:30だ。
ロロも起きてきた。
「おはようございます」
「おはようございま〜す、ふああ」
あくびをして窓に近寄り光を浴びる彼女を見て、わたしも光を浴びておく。天気はいい。気持ちのいい朝だ。
髪を整えたり、下着姿から服を着たりして準備をし、朝食を済ませてソレイユの迎えを待った。
わたしは魔力を練って左腕の回復に努めていたが、ロロは暇そうにしている。たまに部屋の中で体術の型をしていた。
10:00ごろに従業員に呼ばれ、荷物を持ってエントランスに向かう。
エントランスに着くと、迎えに来たソレイユを見つけた。
「準備、といっていいかはわかりませんが……できました。研究所に向かいますが、よろしいですか」
「はい」
「はいな」
フロントに声をかけてチェックアウトをすませる。
「ありがとうございました」
挨拶に会釈で返し、ホテルを出た。




