九つ目の友情
これは、僕が出会った不思議なお姉さんのお話
〈登場人物紹介〉
○天野 友陽
小学四年生の少年
後悔ちゃんが見える
○後悔ちゃん
友陽が出会った幽霊のお姉さん
青春をしているやつが好き
〈前回のあらすじ〉
後悔ちゃんの不思議な力を目の当たりにした夕陽は改めて彼女が幽霊であることを実感した。
「なぁなぁ、友陽。」学校のお昼休み終わり、ドッジボールに行った帰り道に友だちの一人である佐藤 大地に話しかけられる。何?と返すと、「お前、最近俺たちと遊んでる時に帰るの早いけど、なんかあった?」
ここ二日ほど後悔ちゃんに会うために友だちとの遊びを早めに抜けて帰宅していたことを指摘される。「門限とかって言ってたけど、お前の親ってそんなに厳しかったか?」疑いの目を向けられて、「その、ほら、最近は不審者とか出るし。」と言いながら階段を登る。けれど、「お前の親、そんなタイプじゃねぇじゃん!お前、なんか隠してるだろ~?」とさらに疑われてしまった。
次の言い訳を考えていると、授業開始のチャイムが鳴った。「やっべ!授業遅れる!」そう言って残りの階段を急いで登り、廊下を駆け抜けて4-2の扉に入った。タイミングの良く鳴ったチャイムにはすごく感謝している。
全ての授業が終わった放課後、いつも通り友だちと遊びに行こうかと思った。しかし、今日遊ぶメンバーに大地がいることに気づいて「体調が悪いからごめん。」と断った。(もちろん嘘)遊びたい気持ちはやまやまだが、彼に変な疑いをかけられるのは嫌だったからだ。なんとなく、後悔ちゃんの存在は誰にも話さない方がいい気がした。昨日、猫を追い払った大人たちが彼女について言及しなかったから本当に僕だけにしか見えていないのだろう。(あれ?でも猫には見えていた?)
そういえば、後悔ちゃんが”見えても無視する人がいる”って言ってたけど、見えてるか見えてないかの判断ってどうやってしてるんだろう?僕は彼女からの”私が見えるの?”という質問にうなずいたけど、無視する人はその質問にすらうなずかないのでは?それに、どうして僕には彼女が見えるのだろう?僕が選ばれし小学生ってこと?それとも、何か他に理由があるのだろうか。思い当たる節は一つだけあるけど・・・。
頭の中でグルグルと考えを巡らせながら下校する。背中のランドセルの重さが今の僕にかかっている責任の重さと同じくらい重く感じた。
〈次回予告〉
いつもより早い時間に公園に向かった友陽が見たものとはー!?