八つ目の友情
これは、僕が出会った不思議なお姉さんのお話
〈登場人物紹介〉
○天野 友陽
小学四年生の少年
後悔ちゃんが見える
○後悔ちゃん
友陽が出会った幽霊のお姉さん
青春をしているやつが好き
〈前回のあらすじ〉
後悔ちゃんが不思議な力で助けてくれたよ!
猫を追い払ってくれたおじさんのうちの一人に、「人気のない夕方の公園で何をやっているんだ!」と怒鳴られてしまった。
大人たちが全員帰ったことを確認してすべり台に近づく。助けが来た瞬間、ネットの周りの光が消え、すべり台の上の後悔ちゃんが崩れ落ちていくのが見えた。彼女の周りの光はなくなっていて、肩を上下させて呼吸をしていた。おそらく、ネットを動かすのに不思議な力を使ったのだろう。本当はすぐにでも駆け寄りたかったが、彼女は幽霊なので見えない人たちに怪しまれてしまうかと思ってやめた。
「後悔ちゃん、大丈夫?」崩れ落ちた体勢のままの彼女を心配してそう声をかける。運動をした後のように呼吸が乱れていて、背中を擦ろうと彼女の背中に手を伸ばした。彼女が幽霊であることを忘れて。
「わっ!」伸ばした手が後悔ちゃんに触れることはなく。その勢いのまま前に倒れてしまった。幸い、手をつくことができてケガはしなかった。一瞬、後悔ちゃんの中に入ったような不思議な感覚に包まれる。初めての経験に怖くなって慌てて立ち上がった。
膝についた砂を払っていると、やっと落ち着いたらしい彼女が立ち上がる。無意識に上を見ると彼女と目が合った。
「少年、大丈夫そう?ケガとか。」と聞かれたので、こくりとうなずく。「そっか、少年が大丈夫なら良かった!」と彼女は明るく笑った。(正確にはそう取り繕っているように見えた。)
「あの、僕が大丈夫ならって・・・」先ほどの言葉の真意を探るため、彼女にそう問いかける。「あ~。ほら!今どきの大人ってそーゆーのにうるさいじゃん?特に親?」という彼女の言葉にえ?と相づちを打つと、「”うちの息子にケガさせたのはどこのどいつだ!”みたいなの。」と言われた。「僕のお父さんはそんなこと言わないけどな」と返せば、「なに?虐待?聞かなかったことにした方がいいやつ?」と慌てる後悔ちゃん。けれどすぐに、「あっ!でも、お母さんが!」と言ってきた。その話、あんまりされたくないんだけどな。そう思っていると、「あっ!やっぱやめよう!今の聞かなかったことにして!」と顔の前で手を合わせる彼女。なんで?と聞き返せば、「誰にだって聞かれたくないことくらいあるでしょう?」と言われた。
その後、彼女が明るい話題に変えてくれて僕の門限まで二人でベンチに座って喋った。
〈次回予告〉
次回、友陽の学校エピソードが読める!?