六つ目の友情
これは、僕が出会った不思議なお姉さんのお話
〈登場人物紹介〉
○天野 友陽
小学四年生の少年
後悔ちゃんが見える
○後悔ちゃん
友陽が出会った幽霊のお姉さん
青春をしているやつが好き
〈前回のあらすじ〉
後悔ちゃんと明日も会う約束をしたよ!
友だちとの遊びをいつもより少し早めに切り上げて走って公園へと向かう。昨日は帰宅が遅くなり、お父さんに叱られてしまったので今日は時間に気を付けよう。そう思いながら公園に入ると、「おっ、少年じゃん!」と頭上から声が降ってきた。
声のする方を見上げると、ジャングルジムのてっぺんに座った後悔ちゃんと目が合う。僕と目を合わせた彼女はそのまま立ち上がり、ジャングルジムから飛び降りた。思わず目を瞑る。
「少年、驚きすぎだって~!」そう言って楽しそうに笑う彼女に「そりゃびっくりしますって!死ぬかもしれないんですよ!」と返すと、「わたし、既に死んでるんだけど。」と笑われた。
「少年、学校はどうよ?」彼女に促されるままジャングルジムに背中を預けると彼女が口を開いた。「楽しいよ。」と返すと「そっか、よかった。」と微笑まれる。その後はしばらく沈黙が流れた。
「後悔ちゃんはどんな小学生だったの?」頭の上で手を組んで空を見上げる彼女にそう質問する。彼女はその体勢のまま「うーん、普通の小学生だったよ」と返してきた。「普通ってどんなだよ。」と彼女に聞き返すと、「普通は普通だよ。」と答えにならない答えが返ってきた。「ほら、色々あるじゃん。勉強ができたとか運動ができたとか、友だちが多かったとかさ。」そう言って彼女を見上げると、視線に気づいた彼女がこちらを向く。
「その話、面白くないよ。」ポツリと呟く彼女に「昨日も言ったけど、面白い話を期待してるわけじゃないよ。」と言うと、「幽霊に干渉するのはおすすめしないよ」と昨日と同じ言葉が返ってきた。
「おすすめしないだけで、ダメなわけではないんでしょ?」と前もって考えておいた言葉を返すと、しばらく悩む素振りを見せた後、「後悔するよ。」と囁かれた。
「僕が後悔ちゃんと仲良くしたいだけだから。」と言うと、「仲良くって、わたし、幽霊だよ?キミに触れないんだよ?」と控えめに笑われた。「別に触れなくてもこうやってお話はできるじゃん!」彼女にそう返すと「変わってるね、少年。」と曖昧に笑われた。
その後も学校のことや友だちのこと、家族のことなどを彼女と話した。彼女は僕の話に楽しそうに相づちを打ってくれた。けれど、彼女自身のことはほとんど話してくれなかった。
〈次回予告〉
夕陽と後悔ちゃんを恐怖が襲う!?