三つ目の友情
これは、僕が出会った不思議なお姉さんのお話
〈登場人物紹介〉
○天野 友陽
小学四年生の少年
後悔ちゃんが見える
○後悔ちゃん
友陽が出会った幽霊のお姉さん
〈前回のあらすじ〉
後悔ちゃんの正体が分かったぞ!
「後悔ちゃんはどうしてここにいるの?」公園のベンチで彼女を見上げてそう尋ねる。幽霊なら病院とか墓場とかそういう場所にいるのでは?と思ったのだ。「ここってさ、青春してそうな奴がたくさん来るんだよね。」僕の方を向かずに遠くを眺めてそう答える彼女。「後悔ちゃんは青春してそうな奴が好きなの?」と聞くとこくりとうなずいた。
「わたしね、できなかったんだ、青春。」声のトーンを落としてそう呟いた彼女。「したくなかったわけじゃないんだよ。」おもむろに足を組んで(やっぱり足首は透けている)右手を頬に持っていく彼女。ポーズは大人っぽいが僅かに見える手首の丸さや手が沈む程フニフニな頬から子どもっぽさが感じられる。思わずその頬に手を伸ばして触れようとしたが、僕の手は彼女の頬をすり抜けた。
え?と一瞬驚いたが、彼女が幽霊であることを思い出して”漫画とかアニメの幽霊もそうじゃん”と一人で納得してうつむいた。僕の表情を見て何かを察したらしいお姉さんは「そうだよ少年、お姉さん幽霊だから触れないんだよ。」と言って、姿勢を低くして僕の顔を覗き込んできた。「だから、少年に干渉したりしないから安心して?」そう言って微笑む彼女。その後、おもむろに立ち上がって伸びをした。
「少年ってさ、今いくつ?」伸びをした体勢のままこちらを振り返る彼女。長い襟足がサラサラと揺れる。「あっ、小4、10歳です。」突然彼女が大人っぽく見えて、敬語でそう返すと「急に敬語使うのやめろよ~!」と無邪気に笑った。それから、ベンチに座り直して「10歳ってことは8コ下か~。」とまた笑う。
「えっ!?後悔ちゃん18!?」まさか成人しているとは思わず大きな声をあげて立ち上がる。「18ってことは大人ってこと!?」ベンチに座っている彼女の方を振り返ってそう言うと「そうだよ~。わたし大人。」と気の抜けた返事が返ってきた。僕は大人のお姉さんにタメ口をきいてしまったのかと申し訳なく思っていると、「そんな暗い顔すんなって!死ぬ前の話だから!死んでからどれくらい経ったのか分かってないから!だから、大丈夫だよ~!」と慌てて励ましてくれる彼女。そうかと納得しかけていたが僕はあることに気づいた。
「待って!?ってことは18よりもっと上の可能性あるじゃん!?何も大丈夫じゃないよ?」とうろたえると「確かに、一理ある。」といたずらっぽく笑った。
〈次回予告〉
後悔ちゃんが幽霊になった理由が分かる?